第15話 自分達の武器の事 後編
「なるほど、確かにそれは学校の図書室や市の図書室では知れぬ事じゃな」
「はい。武器の選択は命を預ける事。それに関して侮ったつもりはなかったんですが・・・」
委員長の道場はデカいとは思ってはいたが、ホントにデカかった。実際、来た事は無いが、やけにでかいお屋敷あるなと思った事あるのだ。まさにそれとは。委員長曰く、全国に弟子を持つ為であるとか。そら、そうか。狭い道場で人が多く入るのは無理だわな。年始の挨拶やら、その辺もあるだろうし。
「ふむ。相談ならば、孫の同級生だ。いくらでも乗ろう」
「ありがとうございます」
道場主で委員長の祖父である糸崎 猛翁にしばし、黙考されたが、なんとか約束を取り付けることが出来た。しかし、代わりに何かの取引があるっぽい?
「孫に聞けば、お主等18になるまで免許を預けて色々やっとるらしいの?」
「ええ、まあ。御興味おありでしたら、こちらに今迄やって来た事柄のレポートのコピーありますけど?」
「ほう、見ても良いのかね?」
『割と引かれる内容なんですけど、それでも良ければ』
思わずアキラとハモる。いやあ、だって、レポートの中に紙おむつと汚物関連とかあるしね。しかも、クッソ真面目な文体で。とりあえず、首肯されたので渡すとジーっと読み込まれる。この間が実に長い。どうかな?
「なるほどの。やはり、相談する相手として、間違っておらんか。のう、お主等、儂の道場からダンジョン探索者は出すべきと思うかの?」
おおっと、そう来たか。ふむ・・・?時代の波までは言わないけど、実戦は付け刃では危険という事が分かってるからこそ悩んでるって所かね?
「そうですねえ・・・・・・」
実は近い内、佐々木さんに提案しようとした事柄がある。うん、今がその時か。委員長に睨まれそうだが、そこら辺は致し方ない。マジで危険だからね。
「まず、道場の規模を考えると、探索者に師範もしくは、師範代クラスを派遣するのはありだと思います」
「その心は?」
「レポートにも書いてますけど、近い将来、完全にダンジョン超人と一般人に明確に分かれると思うんです」
「ふむ」
これはもう実際に自衛隊と言う実例が居て、ダンジョンが出来てから時間が経過している今、実際に起こっているだろう事である。もう、レベルが上がったであろう人は日常の大会とか参加出来ないだろうなあ。
「もちろん、師範や師範代さんがダンジョンに入ってしまうと、大会などに出れなくなるとは思います」
「じゃあ、駄目じゃない」
うん、実際に今までなら、委員長の言う通り、ダンジョンの事を考えずとも、このまま、道場を運営してれば良かっただろう。ただし、その上に規模が小さければと言う条件が付くが。
「でも、絶対現れると思うんですよ、酔った馬鹿野郎が」
「なるほどのう、自衛に必要か」
小さな道場なら恨みやターゲットにはされないだろう。しかし、委員長の道場は全国に弟子が居る。つまり、知らない所で恨みを買ってるかもだし、大きい道場に力試しとか言って乗り込んでくる馬鹿が居るかもしれないという事だ。と言うか、後者が実際に出そうだからなあ。
「そういう事ですね。後、これはこれからダンジョン事業のお偉いさんにも進言するつもりなんですけど、女性の方は攻略と言うとアレですが安全な探索方法が確保されるまで入らない方が良いと思います」
ワオ、委員長の目が光った。こっわ・・・・・・だが、コレは本当に女性にとっては危険だから、言っておかねばならない。
「おそらく、猛さんも考えの内に入ってないと思うんですが、モンスターは多種多様です。その中に、勿論、自分達のような人型モンスターが居るでしょう」
「ああ、確かにの」
流石は、実戦形式の道場主にして、戦争時代の生き証人。ピンと来たようだ、実に良く分かってらっしゃる。
「委員長とアキラはピンと来てないみたいだから言うけど、モンスターはゲームの存在じゃないよ?いつから、モンスターに欲望が無いって決められた?」
「「っ?!」」
まあ、ぶっちゃけ話、性欲である。女性は死ぬなら良い方、足が動かないや武器が持てない状態の言い方アレだが、孕める腹があればどうするかなんて言うまでない。言葉の意味が理解出来たアキラも委員長も顔が真っ青である。
「そう、例えば、ゴブリン、オーク、コボルト。これらはゲームでは雑魚だね。だが、ここは現実だ」
「獣とは違い、考える脳があると言う事かの?」
「はい。だからこそ、今までは被害はなかった。だが、これからは違います」
そう、ならば今まで何故被害が無かったのか?簡単だ、そんな人間の女性でもしっかりした装備、つまり、自衛隊などの軍隊であったからだ。だが、民間委託と言う形が始まったこれからは違う。下手すれば、貧弱な装備で下に行く、所謂映像映えを狙った連中が出てくるだろう。また、金があまり無いからと言って、貧弱な装備のまま潜ろうとする者も出るだろう。その愚かすぎる選択の末路は勿論言うまでない。
「すでに被害が見えない所で出ているかもしれません」
「なるほどの、儂の反対する懸念はこれが答えで良いか、孫よ?」
「は、はい」
あ、なるほど、委員長もなんだかんだでダンジョンに道場の後継者として行かなければならないかもしれないと危機感を感じていた。で、祖父に相談してた感じかな?だが、祖父の猛さんも何かしらの危険を感じてたってとこか。んで、委員長には祖父の説得にちょうど良いかもしれない人材に自分が選ばれたってとこか。
「ただ、階層を限定するならアリかと」
「ほう?」
「色々レポートを出す代わりに近況を教えてもらってるのですが、1階層なら、ラビットと言う、地球の兎より油断はなりませんが、それでも弱めの魔物しか出ないそうです。ホーンラビットやウルフを相手にするより楽な相手になるそうで」
まあ、いきなり1階から殺意マシマシ!はなあ・・・・・・まして、未成年探索者に任せる階層に殺意高いの居れば、非常事態とは言え、政府も止めるわなと言うお話である。で、ラビットを討伐出来るようになって、2階層からあのウルフやホーンラビットが居るので分からされるって事である、お約束過ぎるわ。
「なので、あえて、1階層限定で行うのが手だと思います。と言うかですね、こう言ってはなんですけど・・・」
「ぬ?何かあるのかね?」
まあ、話は委員長含む女性の敵発言に近くなるけど仕方ない。
「トイレです。我慢出来る、委員長?」
「「ぶっ!」」
あ、委員長とアキラが同時に噴き出した。
「いや、セクハラ的な意味じゃなくてね。出来る?尿意が襲ってきた瞬間のトイレの数時間我慢」
「ああ、なるほどのう」
猛さんも分かったというか、それがあったかと頷かれる。男ならまだいい。尊厳開放は割と簡単だからね。女性の場合、我慢する方を選ぶだろうが、尿意、もしくは便意が襲い掛かってくる場合、いつも通りの集中や戦闘が出来るだろうか?断言しよう、無理だとね。
「で、委員長。現在聞く限りだが、1階出たすぐ先に女性専用トイレが敷設してます。慣れない内に1階以上先を潜る自信ある?それとも、尊厳開放して良いように紙おむつ履いて集中出来る?」
「無理です」
打ち上げられた魚のように倒れて畳をダンダン叩く委員長。まあ、現実のダンジョンだからね。ゲームみたいに男女全員ズンズン進める訳じゃないしね。女性の場合は生理もあるから下手に股間汚れると困るだろうしね。
「まあ、そう言う訳で、委員長と言うか、女性の方は1階限定か、しばらく様子を見るのが賢明だと思うよ。万一があってからでは遅いしね」
話し終えると委員長に猛さんもほへ~とこっちを見ている。え、何?
「「ホントに16歳(なの、かのう)?」」
ひっでえ!!この後、武器について、色々聞いた後、道場つながりで巌さんのとこの座学に資料を送ってくれる事になった。なお、こちらの道場からも門下生が通う事になって、巌さんがびっくりされたのは言うまでない。
やはり武器に関しては実戦を知る武闘家。餅は餅屋って事ですね。そして、同時に女性探索者の弱点のお話。まあ、うん・・・・・・女性に尊厳開放しろ!と言うのはマジで無理ですわな




