第91話 鍛錬 後編
「オッケー。残したぞ、トオル」
「サンクス。じゃあ、やりますか」
あれから下を目指す道中の4階層での戦いで残るのは薙刀を持つ足軽スケルトンと対峙する。そしていつもの集中で相手を見る。攻撃範囲はいつも通り見える。だが、今回集中してみるべきは魔石の色。あ、やっぱりだ。これを斬れば安全の意味である白の中に透明な玉のような部分が見える。更に目を凝らす。すると、透明な物は魂のように動いている。そうか、こいつだな?おそらくはこいつがドロップ品消失の原因であるであろうアンデッド自身の魂だ。いや、正確にはアンデッドを動かし、こいつを消さずに消滅ないし魔石が割れた時にドロップ品諸共に消える・・・名付けるならギミック魂とも言える何かだろう。
「なるほどね」
ちなみに魂と言っても意思がある訳では無いようだ。ランダムに動く・・・こうゲームのNPCのように一定の場所を動いている感じだ。だが、動く物体なので正確に攻撃するのは難しいだろう。自分みたいなスキルがない限りは。
『カカカカカカッ!』
「ふっ!」
襲い掛かるスケルトンの薙刀の穂先を石突きで弾き、槍を回転させて、今止まっているギミック魂に軽く刺すように突く。
『カッ?!』
どうやら、ギミック魂自体は耐久性は低いようで、刺しただけで消えたのを確認。すると、スケルトン自体も討伐の証である消滅をしていく。そして・・・
「よしっ!」
落としたのはコアメダルではなく、これまでドロップされないとされた魔石と先程の薙刀。
「やったね、お兄ちゃん!」
「あ、でも、今日は撤退・・・」
「トオル!」
集中高めすぎて、力が抜けていく。倒れそうになった所をアキラにおんぶされて、今日の探索は撤退するのだった。
「なるほどねえ」
翌日、疲れも取れた昼間に帝国ホテルのいつもの一室で昼を御馳走になりながら佐々木さんに報告している。
「ある意味では海外のアレは間違いではなかったと」
「ですね。魔石に何かあるという着眼点は良かったと思います。んで、肝心の魂の移動についてはもう少し検証が必要ですけど」
そう、調べるべきは魔石に取り憑くギミック魂の動きである。まあ、勿論だが・・・
「大蛇ダンジョンではやらないように注意喚起が必要になるでしょうね」
「だなあ」
八岐大蛇がそこに気づいた時に細工しないとも限らないし、そも、あのダンジョンのモンスターを操るのは大蛇自体である。一見ギミック魂を討伐してドロップ出来たかのように誘導し、困難なドロップ方法を試した探索者が騙され死亡して、挙句、奴の配下として蘇るとか冗談にもならない。そこら辺の調整は佐々木さん任せである。
「で、提出されたスケルトンのドロップ品の鑑定結果はこうだった」
【武将スケルトンの魔石:これ為るは武将の魂にして、武士の魂、我を武将の魂と合一せよ。されば・・・】
【古ぼけた薙刀:古き時代の武将の薙刀。今はその力失いしモノ】
「ワ、ワァ・・・」
「つまりはそういう事なんだろうねえ」
そういう事しかありませんよねと佐々木さんと苦笑し合う。コレをどうするかはまた後々だな。今は体力回復してあのダンジョンの最下層を目指さんといかん。違うぞ、現実逃避ではないぞ?ないぞ???
トオル君のやらかしエントリーだ!と言うお話




