第89話 突入、樹海ダンジョン!
「阿!」
「吽!」
現在地、樹海ダンジョンの1階層である阿吽の像がある門。あの像が動き出して表情も変わるとかなり怖い。が、この日の為に佐々木さんと自衛隊の皆さん、そして探索者が頑張ってきた成果を見せる時!
「この太刀持つ我等に資格ありや、なしや?応えよ!」
佐々木さんが前に出て、透き通るような色をした太刀を見せる。青にも見えるし赤にも見える、あるいは緑にも見えるし黄色にも見える、すなわち緋々色、つまりはヒヒイロカネで作られた太刀である。天岩戸があったとされる近辺に現れていたダンジョンで自衛隊員や探索者の皆さんがヒヒイロカネと思われる鉱石の採掘を、スカアハさんによる指導で精錬方法を御用達の鍛冶師チームが極めるまで1年半。更にここに来るまでに三種の神器が納められてる拝殿で毎日祈祷の上で置いておいたのである。多分、これで合ってると思うんだが、どうだ?
「「見事なり」」
「「我等が見守りし門を今こそ開く」」
「「人よ、人の子らよ、門の先は試練への道にして修羅の道」」
「「開きし道を見事抜け、最奥にて蛇神を討つべし」」
「「さすれば、日の国に新たな道が開くであろう」」
そう言うと、2体の像は動かなくなった。いや、正確には門の両脇でこちらを見守るようになった。おそらく、ここが最初のセーフゾーンになるだろう。
「では、攻略開始と行きましょう。それと例の物の用意もお願いします」
「あぁ、任せてくれ。各員、準備開始!」
自衛隊の部隊長さんがそう言うと、富士の樹海ダンジョン付近に止めてあった自衛隊の車からタンク付きの噴霧器が大量にセーフゾーンとなった門近くに搬入される。さあ、ここからが八岐大蛇ダンジョン攻略の開始だ。じっくりと御安全に行くぞ!
『ワ、ワァ・・・』
始まった大蛇ダンジョン攻略戦、我がチームメンバーはドン引きである。なんでって?
「キシャァアアァァァ・・・・・・ァァッ」
大蛇が支配するだけに蛇やリザードマン系のモンスターが多いのだが、用意された噴霧器から出る白い煙を食らい続けると、なんと眠ってしまった。そう、噴霧器の内部の正体は・・・
「液体窒素ってこんなに効果あるのね」
勿論、噴霧器もただの噴霧器ではない。当たり前だが液体窒素だと並の鉱物で出来た容器では持ち運びは難しい。では、どうするか?魔物素材の出番である。チューブなども魔物素材から作り上げた逸品である。容器内部で渦巻く零下の空気をノズルを引くと発射という訳である。気分はゴースト退治映画のアレ。これも2年間の成果である。更にもう1つ。
「おぉおおおおおぉぉぉぉぉぉ・・・・・・」
八岐大蛇と言えば、怨霊の頭領の面もある。それに対する対抗として清めの塩を溶かした噴霧器も用意した。それを食らった幽霊系のモンスターが消えていく。それ以外は探索者達が剣で、魔法で駆除していく。
「今回1回で探索済ますわけでもないんだろ?」
アキラの言葉に頷く。まあ、当たり前と言えば当たり前だがダンジョンは広い。しかも、このダンジョンは踏破のみが目標ではない。八岐大蛇に有効なお宝やドロップアイテムを探す必要もある。今日は確認、後日何日かかけて大蛇への道筋を見つける、そして、時が来たら大蛇退治となるだろう。
「今回はお試しの意味もある。これで狙った通りの成果が出れば、おそらく今後の世界中でのダンジョン探索・・・そして、伝説の3大陸のダンジョン探索が大幅楽になると思うよ」
確信レベルの話だが、このダンジョンには確実にあるはずだ。それを人海戦術で見つける。それを人は歴史の中でこう呼んだ。
「【高天原】、見つかれば自分の説は確信に至る。頑張ろう」
メンバーと頷き合い、自分達も戦線とマッピングに加わる。まずは自分達の位階も上げねば話にならない。そこも頑張るとしよう。
攻略はこれからだけど、先ずは試練を超えたというお話




