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リメイク・パンドラワールド  作者: 川風 五日
#2 入学編Ⅱ over clocker
9/28

#2_over clocker_δ

5秒だ。

そう、わずか5秒の出来事だった

女性の悲鳴が聞こえてからその僅かな時間の間にその少年、天飛夏弥は行動していた。

4m程度の長さの普通二車面道路を挟んだ反対側に、自分が気づかないうちに移動していた。

まるで瞬間移動でもするかのように。


「大人しくしろ、そしてそのバッグを女性に返せ。」

さっきまでの穏やかな表情とは逆に、すごい剣幕でその男を睨みつけた。

そう言いながら天飛は地面に転んだ男に近寄る


だが


「うるせぇ!そこをどきやがれクソガキがーッ!!!」

男は瞬時に立ち上がり、ズボンのポケットに手を入れ

始めた。

そしてその中から出てきたものは


「拳銃…っ!」


銃の種類、見た目等に詳しい訳では無いのでそれが殺傷能力のあるホンモノの銃かは自分は分からないが、その男は確かに持っていた。

よく見るような、片手で持てるサイズのハンドガンを。

仮にホンモノであれば人1人くらいどうってことないであろう

そして、その男の目の前の少年に対しても。


「危ない…っ!」


咄嗟に、無意識に叫んでいた。

目の先ではさっき知り合ったばっかりの"友達"が知るはずもない男に銃を突きつけられているのだから。

数時間、数分、いや数秒前にも、このような光景になると想像出来たであろうか。


いや、想像できるはずがない。こんな、普通の人生に1度あるかないかの事…

よく考えたら人生に1度もないような体験をこれで三日連続でしてるではないか。


そんなどうでもいい事を考えながら、目先に向かって手を伸ばしてるだけ。

だが届くはずもなく。


今の自分にできることは何も無い


いや"これ"こそが自分のできる事だった

この手を伸ばした体型、それはあの時と同じ



そしてあの時と同じように、細剣で貫くかのように右腕を下げ、

狙いは男の持っている拳銃、当てられるか、ではなく必ず当てる。

友の命の為に


腕を前に振りかざした瞬間



…何も起きなかった。

そしてそのまま勢い余ってガードレールの白い柵に…

…布団を天日干しするかのようになってしまった。




そして、辺りに鳴り響いたのは発砲音


この先の光景を思い浮かべ、実際にそうなる事を確認するのが怖かった。

だが体はその音に対して咄嗟に顔を上げていた。



目にした光景、それは想像と



違っていた。

それどころかさっきと光景が変わってないようにも見えた。


確かに発砲音は聞こえたし、男の拳銃からは硝煙も出ている、つまり男は確かに引き金を引いたのだ。

だが、たかが1m程度の先の少年の体には何もない。



「なんだッ!コノヤロウッ!」

男も、その状況が何がなんなのか分からないようだった。そして


再び火薬の弾ける音。


2発目、3発目と、男はどんどんその銃を正面の少年に向かって撃ち続ける。

しかし、その少年は無傷。


目視できる限り、確かに弾は銃口から出ているし、少年の体に当たるような弾道を飛んでいる。


放たれた銃弾が少年の目の前で無くなっているのだ。


4発目、5発目、男は更に撃つ、が結果は同じ。

6発目、7… いや弾切れだ。



「残念だったな。すまないが俺の能力はバリア。

そんな拳銃の弾じゃ俺を撃ち抜けないぜ。」


そう、この謎の正体は少年の能力であるものであった。


先程、自己紹介の際に軽くだが教えて貰っていた

「バリア」

少年の体から数10cmのエリアに、ガラスのような膜を展開し衝撃を防ぐ能力。

強度には限度があるが、今回のように並の銃程度なら無力化できるほど。




そして夏弥は弾が切れた一瞬の隙に、拳銃を弾き飛ばし、

「紅葉原、任せたぞ!」


男の後ろにはすぐさま走り出した霧ちゃんと紅葉原さんが迫っていた。


「いっくよーっ!……こうして……とりゃっ!」

走りながらも突然、紅葉原さんが腕を前方に、空中を殴ったかと思うと


「がはっ…」

男が崩れるように倒れたのだった。

気絶でもしたのか、急に体の全ての力が抜けたように地面に倒れた。



そして、倒れた瞬間鳴り響いたのは



「よくやった!」

「でかした!少年!」

「ありがとう!ありがとう!」

拍手喝采。

周りの通行人が足を止め、劇場にでもいるかのような拍手の嵐が辺りに舞い起こった。









「よくやったぞ!天飛!それからお前らも!」

再び交番の前で、少年の背中を叩きながら大声をあげたのは水上のお巡りさん。


あの後、犯人は水上や他の警察官が集まり、確保しどこかへ連行された。

今回の件、犯人を捕らえたのは「高校生の少年少女数人」ということもあり、あたり近所の噂にもなるのだろう。


「そうえいえば彩奈ちゃん、あの時どうしてガードレールに天日干し状態になってたの?」


…この事も噂になりそうで怖い。

なんか技を出そうとして失敗した、なんて事言ったら多分笑われるであろう。

いや、霧ちゃんは笑って馬鹿にしてくるような人では無いと思うが…なんだろう言うのが怖い。

よし、誤魔化そう。


「そ、それはなんというか…銃声に驚いて転んでしまって…」


咄嗟に思いついたのがこれだった。我ながら自然で完璧であろう()


「あー…そっか、彩奈ちゃんはまだそういう事に慣れてないもんね。」


「あはは…」



よく考えたらなぜあの時技が出せなかったのか。

そもそも技と呼んでいる自分に、厨二よのような感じの、恥ずかしい感情が、心の中でスパイラルしている。


前にやった時と条件が違っていたのだろうか

枕木さんのところでやったアレは別として、

1つ、定規を持っていなかった

2つ、技名を叫ばなかった。

それと…あぁ技名という言葉の響きに再びスパイラル。



「ああー!もうこんな時間!急がないとカフェ混んじゃうよ!」

突然霧ちゃんが声を上げた。

そいうえば街案内の途中であった。今霧ちゃんが言った通り、混む前の時間のカフェに行くために、急ぐため歩きながら自己紹介を交わしていたのに、ここでそこそこ時間を食われてしまった。









カランカラン、とドアを開けた時に鳴る独特の音が身に染みる。

出来たばかり、という事もあり内装は思うよりも綺麗の一言だった。


流石に遅れたためか入口から見た限り全ての席が埋まっていた。いやたった数分遅れただけでこれ程混むという所は、このカフェがどれだけ人気かどうかという事が分かる。


「奥1箇所空いてるよー」




空いていたのは、まるで回転寿司屋の席のようなタイプの席だった。

他の席は円状のテーブルに椅子と、なんともセレブのような雰囲気を醸し出しているためか、そちらの席は満席だったのに対し、こちらのタイプの席は人気が無いのかスカスカであった。

まあ自分はこのフカフカな椅子の方が好みなのでこちらの方が良かっただが。


「とりあえずなんか頼むか…店員さーんおこっち願いしまーす」


なんだろう、先程の件の時男に対しての天飛君の声を聞いてから、天飛君=怖いというイメージに勝手になってしまっていたのだが、今のように店員さんに対しての言動からただの親切な少年というイメージになった。

恐らく「やる時はやる」という男なのであろう。



「お待たせしましたーご注文は何にされま…あ」

テーブルに来た店員さんの声が突然途切れた。

更に店員さんと天飛君の目がびっくりするほどあっている。


「なんでお前がここにいるんだよ!?」

そう言ったのは片方…ではなく天飛と店員さんの両方だった。

よく見たらこの店員さんどこかで見たことあるような…


「あれ星香ちゃん!?なんでここに?」

驚いたのは2人だけでなく霧ちゃん、紅葉原さんもだった。

そうだ思い出した、この人は朝校門前でぶつかられた女の子だったのだ。

つまり学園の生徒であり、恐らくは霧ちゃん達と同じクラスの…



「ありゃ見つかっちゃったか…私ここのバイトしてるんだよ…」

それを聞くと一緒にいた3人は更に驚きを増した。



「そっか、彩奈ちゃんにも説明しないとね、この子は柚子島(ゆずしま)星香(せいか)。同じクラスの子で…」

と、説明されている途中で急に

霧ちゃん紅葉原さんから肩をかけられ後ろを向かさせられた。

「それでね…あの二人はそういう関係なんだよ…笑」

紅葉原さんが手指で作ったハート型のマークでなんとなくだが予想がついた。

「oh…」



「なんでバイトしてるなんて言わないんだよ!」

「なんでって、なんで言わなきゃいけないのよ!」

それから、わーわー、きゃーきゃー、と店内なのに喧嘩し始める2人だったのだった。





そしてその後はカフェで昼食を取り、午後も街案内をしして貰い、この日8月28日は終わった。


次の日29日は、午前は蒼井先生と入学手続き等色んな書類の作製。午後は連日再び街案内をしてもらった。

この日は柚子島さんも一緒に着いてきてくれた。


その日の夜は寮で皆でカレーを作った。

何やら蒼井先生の秘伝のレシピやらなんやらだとか、自分達で頑張って作った為か自分が知っているカレーより、より一層美味しさが感じられた。


まだここに来て4日…いや多少誤差はあるが、こんな短い間で結構友達ができたと思う。



この仲間達と学園生活を送るのが楽しみだ。

…?



こんばんは川風です。

かなり時間が空いて自分でも前回何書いたかよく覚えてませんでした(())


今回最後の方無理やり終わらせた感がありますが、最初の構想からこの考えだった為、無理に話を作ると後の設定がおかしくなるかと思い、この形で終わらせました。

…手抜きって言われそうで怖い…


さて、これで2章の前半は終わりです。

これで一区切りなのでこれでこの章終わり、とも考えましたが、これも最初の構想からの考えのため、2章を前半は日常編(?)と後半の初戦闘編で分けることにしました。


て事で次回は彩奈ちゃん初戦闘です

いや1話なんか挟むかも知れませんが。


1番最後の言葉、自分で書いてても正直何が何だか分かりません()

彩奈に完全になりきって考えた結果がこれです。


なんでしょうかね…

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