#2_over clocker_α
ー8月27日ー
神工学園電気室事件
学園内の旧電気室にて、突如として小規模な爆発が起きた。
原因は整備不良等で機械に異常等が生じ、機械がショート、オーバーヒートし爆発に至った。
幸い周辺に人はおらず、建物も長らく使われていない場所ではあったのでさほど問題では無かった。
昨今の学園内での突然な停電、電子機器の動作不良はこの事が原因であった。
表向きは、だ。
実際には旧電気室に謎の機械兵「クリオネ」が出現。
その機械の体で配電盤を操り、システムエラーを起こしていた。
そして、その爆発は"とある少女"によって起こされたものであった。
ー8月28日ー
朝、午前8時。
とある少女こと繭遠彩奈は、神工学園の寮3階、廊下の1番端にある304号室にて目を覚ました。
同室の住人にて彩奈の最初の友達こと、祓宮霧は彩奈より先に起きたのだろうか、既に部屋を去った後だった。
部屋の机にメモが置いてあった。霧が書いたものである。
筆記用具は散乱し、ペンが1本床に落ちている。
机の上はかなり荒れている様子だった。
散らかっていた理由は、霧が整理整頓の出来ないような人…では無いだろう。部屋は全くといっていいほど綺麗である。
恐らく、急いで焦ってしまっていた。とかであろう
ーーーメモの内容ーーー
彩奈ちゃんへ
私は神社に用があるので午前中はいません
昨日言ってた事だけど、検査が終わり次第、校門前に待っててね!
ーーーーーーーーーーー
昨日の夜、寮に戻った後、霧とは町の事についてよく話した。
その時、「明日町案内してあげる。」と言われたのだった。
その事が今日の楽しみではあるが、それは今日の午後である。
午前中は身体測定と先生に言われた。
だがそんな、身長、体重等を測るだけのただの身体測定では無い。
どうやら超能力がどうだとか。
自分に超能力があるのかどうか、それも今日の楽しみの一つである。
だけど、未だに信じられない
霧が目の前で体から炎をだす。という真実を見てもだ。超能力の存在自体、まだ疑っている。
何故ならこの、第三、第四の耳もとい謎の猫耳と同様、超能力という単語について全く理解が出来ないからだ。
それすらも含めて"記憶喪失"になっていれば話は変わるが…
超能力自体もう信じるしかない。
だって昨日の自分も……
咄嗟に思い浮かんだあの事。
気づいていたら発していた言葉。
その後、自分の手から眩しい光が出ていた事。
今思い浮かべても全く分からない。あれは何だったのだろうかーー
それも含めて今日色々分かるだろう。
そう考え事をしながら、机の下に落ちたペンを持ち上げ、机の上を片付ける。
「じゃあ、行こうかな。」
そう言うと少女は部屋を去っていった。
呼ばれた部屋は「第二視聴覚室」。
数ある校舎の最も端の校舎であり、ここまで来るのにかなり時間がかかってしまった。
今日はしっかりと地図を貰っていたので、迷いはしなかっのだが、それでもこの学園の大きさ、広さは結構なものである。
そっと扉を開けると、中はやや広めの教室だった。
普段は長机と椅子が並んでいるのであろう、が今は全て端に寄せられていた。
そして空いたスペースには何かの機材だろうか、大きめサイズのダンボール箱が数個置いてある。
更にそこにいるのは自分を待っていたであろう2人。
片方は青髪教師の蒼井守、もう片方は--
「お、来たようだね。じゃあ早速…いやその前にこの子の紹介からかな」
蒼井の隣にいた人物がこちらに近づいてきた。
オレンジ色の髪で四角いメガネをかけた、女の子。
「初めましてっス!私はB組の枕木四日でっス!」
なかなか特殊な喋り口調であった。
突然の事で口が空きっぱなしになってしまったが、すぐに閉じ、こちらも自己紹介を返した。
その後、まずは"普通"の身体測定を行った。
その際枕木さんが手伝ってくれたが、なんだろう、何故か、そこまで測る?という所まで測られた。
枕木さんは制服のサイズ合わせの為、と言っていたが…
そういえば今来ている制服も仮のものであった
別にサイズがあってないという事は無いが。
その間、しっかりと蒼井先生は外に出ていてくれた。
そして、本題。
"普通"の身体測定はここまで。
ここからは普通では無いものが始まる。
「超能力測定」
そう先生と彼女は言った。
最初はこんなもの、どうやって測定するのか全く検討もつかなかったが、いざ始めて見ると以外と単純であった。
単純と言っても仕組みや原理が簡単という事ではないが。
まずは能力がどんなものであるか、を調べるテストであった。
「じゃあまずはこれをっと」
そう言いながら枕木さんは、1つのダンボール箱に手を伸ばし、中から何かを取り出した。
能力なんてどう調べるのか、そう難しく考えていたが、
その時、枕木さんは以外なものをその箱から取り出していた。
なんともカラフルで、丸々としたパーツの組み合わせの、子供の遊び道具であろう
ただの水鉄砲。
それを見て流石に驚いた、というか苦笑いしてしまった。
だが枕木さんはこの銃はただの水鉄砲では無いという。
そしてこの水鉄砲(?)で能力を調べる、という。
話を聞いた限り、この銃は引き金を引くと、その持ち主の超能力に応じた弾丸が放たれるという。
例えば、炎系の能力を持っている人ならば炎の弾丸が、雷系の能力者なら稲妻のような弾丸が。
水系の能力ならただの水鉄砲になってしまうが。
「そして、玉が出ない事もあるっす。その場合は、攻撃的な能力ではなく、地味な…じゃないっす、簡単に言えばサポート系の能力…って言ったらわかりやすいですかね?」
そう、これはまず能力を測定する第1段階。
どのような能力かを判別する水鉄砲(?)を使い、ある程度まで能力を区分けするものであった。
彩奈はその銃を手に取り、銃口を前に向けた。
その先には弓道で使うような的が何枚も重ねられていた。
正直、自分が正確に的に当てれるかが心配であった。
だがいざ銃を構えると銃の先からは赤い光線、レーザーポインターが出てくれていた。
これならある程度は当てれるかもしれない。
枕木さんの合図と同時にその引き金を引こうとした時、自分は何が出て来るのか予想していた。
炎?水?雷?いや違う。
そしてゆっくりと引き金を引いた時。
銃口から出てきたのは炎でも水でも雷でも、何も出てこないのでもなく。
それは、昨日自分の手から出てきた眩しい光であった。
2週間ぶりです。
急に投稿ペースが落ちてしまいましたが、次も、いや次から少し間が空くと思います。
自分的には週一くらいで投稿出来たらな、と思います。
さて、2章が始まりました。
あまりネタバレとかしたくないのでここでは何も言えませんが()
前回、1章は5話という短い話で終わってしまいましたが、2章は10~15話程度になる予定です。
少し投稿ペースも遅くなってしまいますが、
この先もどうぞ読んでくださるよう、お願い致します。
ではでは