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……
壁に大きな穴が空いた窓の無い部屋
さっきまでは電気もつかず、薄暗い部屋だったが、
今では壁に穴が開き、部屋の中はよく見える状態である。
部屋の外の周りには人が数十人集まっている
部屋の中には割れた窓ガラスのように割れてバラバラになった蟹型のロボット。そして、
1人のうつ伏せになって倒れ込む少女。
「まさか、こんな事が…」
即座に駆けつけてきた蒼井もこの事には驚きを隠せない。
いや、蒼井だけでなくこの学校の教員全員がだ。
彼らにとってこの場所、この街は完全に安全であると認識論している。今までにこの学校、この街にはクリオネが出現したケースは無い。
「蒼井先生、ここ最近の突然な停電や、体育館の空調の事は"これ"が原因だったようです。」
そう言ったのは、部屋の壁に置かれた配電盤を点検する男だった。男は帽子と作業着を着ており、服には「技術部」と書いてあった。
よく見てみると配電盤からは長いケーブルで繋がれていた。ケーブルの繋がっている先は金属のガラクタであるが。
まさかこの事が原因とは。と呟く蒼井だったが、直後には配電盤から目を逸らしている。
「それよりも、担架を!僕がこの子を運びます」
少女が目を覚ますと、そこは先までいた窓の無い部屋では無く見覚えのある、見るのが3回目の天井であった。
彩奈はゆっくりと体を起こし左側を向き窓から外を見ると、日は既に沈んでいた。
また気を失ってしまって1日のほとんどをここで過ごしてしまったと残念に思いながらも、両手を上へと伸ばした。
幸いながらもまたしても体は何ともなかった。
そして昨日と同じように、3、4つ目の耳は沈んでいた。
「ごめんなさい、私があのまま着いていれば…」
「いや、こうなった事は予測できた事では無い。安全を信用しすぎた僕の責任でもある」
ベッドから右側の、白いカーテンの向こうで話し声が聞こえた。
蒼井先生と霧ちゃん。どうやら今日の事のようだ。
そこでカーテンを自ら開くと、咄嗟に2人は視線を変えた。
まず、無事で良かった。と言われた。
そして、少女に抱きしめられた。
しばらく抱きしめられたままだったが、その時間はすぐに終わってしまったように感じた。
その後、2人に謝りの言葉をかけられた。
別に、2人とも悪い訳でわけではないのに。
悪いのは自分だ。道に迷って、あんな場所に一人で行って、人を呼ぶ努力もせず1人で戦っていた。
「別に、2人が悪いわけではありません。私が、勝手に危ない目に合いに行っただけですから。
そして、今日も昨日も、2人は私を助けようと、動いてくれていたんですよね。
なので、お礼を言わせて下さい。
ありがとうございます。」
途中で涙が出てしまったが何とか言いきれた。
初めて、自分の思いを口に出来た気がする。
その後は2人から謝罪の言葉をさっきの数倍かけられた。
でも本当に悪いのは別にいる。そう分かっている。
「ところで、蒼井先生。今日の朝の話、答えがまだでしたよね。」
一旦落ち着き、涙を収め真剣な表情をし蒼井に、いや2人に話しかけた。
「自分に戦う才能があるかは分かりませんが、
助けてもらった人のため、周りの人、知らない人でも
今度は私が助ける側になりたいです。だから、」
「私、戦います。」
1章、終わりました。
前回長い代わりに今回結構短いです。
まあもう少し話の内容追加出来たかなーとは思いますけれども。
とりあえずはここまで書けて良かったです。
当たり前ですが、面白い話を作る。というもので流石に自分1人の、作る側の視点では分からない事も沢山あるので感想頂けたらこの先、創作が捗るので
どうかよろしくお願いしますm(_ _)m
次回は少し時間が空くかも知れません。
ではでは