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リメイク・パンドラワールド  作者: 川風 五日
#1 入学編Ⅰ straight line
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#1_straight line_δ

「と、いうのがこの世界の現状だ。」

知りたがっていた答えがこれだった。

ある程度は察しが着いていたがこんな事になっていたとは。

しかしつい昨日知らない場所で目が覚めてほぼ24時間でその疑問が解決したのは幸運と呼ぶべきであろうか。

そしてやはりここまで丁寧に、詳しく説明してくれた蒼井先生でも、自分、繭遠彩奈がどこから来たのか何故あの場所にいたのかは検討もつかないようだ。


私は記憶喪失ではあるが、過去の自分がどんな人であったかある程度は推測できる。

今、自分が存在する場所である「学校」や昨日いた「保健室」。他にも廊下でちらっと見かけた職員室やその他諸々。

私はその言葉の意味やどんな場所かを知っている。

それから導かれるものは

自分が普通に学校に通っていた。ということである。

多分普通の一般的な、至って普通の女の子…だと信じたいが、自分の頭に生えているこのネコミミがその、一般人という答えを否定している。

先の、「学校」等の言葉は理解出来たがこれは分からない。確かにアニメやゲームの世界で見たことはあるが、現実でこんなものがあるのは分からない。

分からないといえば昨日の自分の体の事もあるが…


「そして、ここからが今日一番の本題でね。」

机を向かい合わせて反対側に座っている蒼井が突然真剣な表情となった。

いや今までも真剣な顔をしていたがそれ以上にだ。

「この学校の生徒は「戦う」か「戦わない」を選んでもらうことになっている。その意味が分かるかい?」


昨日上がった疑問の1つなのですぐに理解が出来た。


「超能力」


その言葉はアニメやゲームの世界でしか聞かない単語であろう。だがこの世界には実在する。

現に、私もこの目で見たのだ。

あの、霧ちゃんが刀から出していた炎は超能力であったのだ。


そして、蒼井の問に対し彩奈は


「…」







それからしばらくして、蒼井は用事があると言って教室を去っていった。

その時、校内の案内は「祓宮君に任せてある」と言っていた

教室で待っていれば来るのだろうか。

というか先生がすべきような事を生徒に任せてるのもどうだろう、と一瞬思ったが、どうやら今回の事は霧ちゃん自ら率先してやっている事らしい。




待ち時間に椅子から立ち、外を見渡してみるがここはしっかりと学校と呼ばれるような建物であった。

だが、学校にしては校舎の数、そもそもの学校の敷地面積という物が大きいように感じた。


校舎は窓から見ても4つはあり、ここが端らしく、ここから、4、3、4、5階もある。少し遠くには市民運動場並の大きなグラウンド、さらに奥には昨日睡眠を取った寮があった。


そして、その奥に見える景色。

昨日見た全ての風景とは違う。

荒廃した建物などひとつも無く、普通とも呼べる街が見渡す限りに続いている。


この街がどれ程の大きさか、ここから見える景色だけでは分からないが、この街の大きさがどうであれ、

「もうこの街にしか人はいない」

その意味を理解した彩奈はどんな気持ちになったのだろうか。


「ごめん遅くなっちゃたー」

その言葉と同時に教室に入ったきたのは薄黄色髪の少女、祓宮霧。昨日よりも明るい笑顔で彼女は顔を合わせてきた。


「じゃ、行こうか。」


それから霧の案内で彩奈は校内を周った。30分程歩きっぱなしだったが、霧はまだ3分の1くらいしか周れてないという。

いくつかあった校舎でも主に'普通の'勉強をするための、学校といえばこれを想像するだろうという校舎は全て周れた。先程までいた補習室や昨日の生徒会室、保健室等もこの棟に存在していた。


もう1つの棟を周ろうとしていた時点で彩奈は休憩したいと霧に言い、

近くにあった売店……なのだろうか校舎の中にそのままショッピングモールのフードコートとスーパーマーケットらしきものがある場所に来た。

学校という聞けば堅苦しそうな場所なのに休日に言ってリラックスするような場所があるので違和感しか無かった。


そして、フードコートのような場所の一角の席に

疲れ果てた1人と全く疲れてない1人が座った


「彩奈ちゃん大丈夫?すごい疲れてるみたいだけど?」

その通り、彼女らを見ると天と地程の差があるようにみえる。

片方は姿勢正しく。なんなら椅子の上で星座をしているのに対し、片方はテーブルの上にぐったりと。


「霧ちゃんはなんで大丈夫なの…」

ぐったりと顔を下に向け顔を合わせずに話をする


「んー鍛えてるからかな?」

鍛えてる、という言葉に多少驚き、彩奈は霧の足を見るが自分とはほぼ変わらない。その事にまたしても驚いた。

それに対し霧は少し笑っていた。


「まーそれにしても彩奈ちゃん体力無いほうじゃない?そんなんじゃここから先大変だよ?」


ある程度は自覚していたが自分は体力が無いほうなのであろう。今日の朝の事もあったし、


やはり体力が無いと……




その後2人はしばらくの間、雑談を続けた。

その時昨日の、炎。超能力というものも教えてもらった。

彼女がそれを使えるようになったのは4年ほど前。

クリオネに襲われてい時、突然それは無意識に体から出てきたという。

その炎は鋼鉄の機械を溶かし尽くす。

人も、もちろん焼ける所ではないが"自分"だけは安全だという。


今では制御する事ができるようになり、自身の持つ武器そのものから炎を出せるようになった。


それが彼女の超能力「炎」


これを聞くだけでも、ものすごい力ではあるが、霧はこれよりも優れた能力を持つ人が学園(ここ)にはいるという。



ピコンと携帯の着信音が鳴った。

音の出処は霧の持っていたスマートフォンであった。霧が端末を操作していると

突然霧は立ち上がり

「ごめん、すぐ戻るから!先に周っててもいいからね!」

と言ってすぐにどこかへ行ってしまった。



時計の針は12時より少し前を指している

ぐー。と誰かさんのお腹の音が鳴った。

ちょうど近くにあったフードコートで何か食べようとしたがどうやら休日はやっていないようだ。

そもそもこの近くに人はおらず、もし店がやっていてもお金を持っていないと何も頼めないと考えつつも、昨夜の夕食と今日の朝食を食べた寮の食堂に行くことにした。



……道が分からない。

体育館と寮はすぐ近くにあったが、体育館で倒れてしまって知らないうちに校舎に来てしまった為、寮に戻る道が分からないのだ。

外に出ればすぐに着けるのだが外に出る場所も靴も無い。

「迷子だ。」

独り言を言いながら気づけば窓がない場所に来てしまっていた。

とりあえず人に道を聞こうとしたが近くに人はいなかった。


突然、近くの部屋から物音がした。電気室と書いてあった。

部屋の中に人がいるのかと思い、そこにあった扉を開き中を覗き、

すみませんと声をかけようとした時


「すみませー……ッ!?」

その瞬間彩奈は何かに部屋の中に引き寄せられ

何か重たいもので殴られ部屋の壁に叩きつけられた。

幸い彩奈の来ている服もといこの学校の制服は強い衝撃を吸収してくれる戦闘するために作られたような服であったので彩奈は少し頭を打った位で助かった。

いててと言いながらも彩奈は目の前を見ると


そこにはクリオネ……カニ型の全長2.5m、彩奈の体より大きい機械生命体がいた。

それを見て彩奈は驚きのあまり固まり、何故こんな所にいるのか、この街の中なら安全では無いのかという疑問が頭の中を駆け巡った。

カニ型のロボットはその巨大なハサミを向け彩奈の方へ向かってくる。意外と向かってくる速度はそれ程早くなかったので彩奈はなんとか身を伏せ横に転がることでかわせた。

ハサミでの攻撃の衝撃はあまりにも強く、金属でできた壁に直径1m程の穴が開き、隣の部屋が見えてしまう程であった。


カニ型のロボットは避けた彩奈の方を向き、先同じようにその巨大なハサミを振ろうとする。

今度は部屋の隅であったせいか、彩奈は良けれる場所が無かった。多少絶望しつつも、近くに落ちていたバールのようなもので頭を守り、なるべく避けられるよう、しゃがみ込む。


ゴーン と巨大な鐘が近くでなったかのような轟音がバールのようなものから出た。

ただのバールがあの巨大な、壁をぶち壊す程の力を持つハサミに勝てるわけないと諦めかけていた彩奈だったが、ダメージを受けたのは相手のハサミの方であった。しかもバールには傷1つも無かった。

カニ型ロボットはその衝撃でよろけ後方に転倒すると同時に彩奈の持っていたバールも衝撃で飛ばされ薄暗い部屋のどこかへ消えてしまった。


彩奈は幸運に恵まれつつも緊張で心拍数が上昇し、転倒した隙に逃げ出そうとしたが、入口がその機械生命体によって塞がれていた。隣の部屋に空いた穴も通れない事は無いが、形が歪で通るには時間がかかり、穴を抜ける間にそこにいる機械生命体が動き出してしまうかもしれない。


とりあえずと彩奈はさっき持っていたバールを探しにカニ型ロボットとは逆の方向へ移動する。

薄暗い部屋では探すのはあまりにも困難であった

彩奈はよく見えない手元で何かを掴み目元へ持ってきた。しかしそれはどこかへ消えてしまったバールではなく、小学生が使うような15cmの定規であった。

まずいと思いつつも、現実は許してくれずカニ型ロボットは立ち上がりこちらへ近づいてきた。


絶対絶命の状況。

先のバールがあれば切り抜けられるかもしれないが

今手元にあるのはただの定規。しかもプラスティック製。先のバールのようにとんでもなく固いという奇跡を願おうとするが、その定規の端はかけており強度は全く無いようだ。


カニ型ロボットがゆっくりと近づく。

この定規のみでこの状況を切り抜ける方法があるのか。彩奈は必死に心拍数が上がり血液の流れが早くなった脳で考える。




その時、ふと頭の中に何かが横切った。


自分は今何故戦っているのか。

そもそも戦えている事に驚いた。


数時間前、蒼井のあの問。

戦うかを選ぶというもの。

あの時私はその答えを、


いや何も答えなかったのだ


自分に戦える程の力が無いと思っていたのだ。


だが今現在戦えてはいるが防戦一方の状態。


やっぱり私には戦う力は無いのか…いや


頭の中を横切ったのはそれだけでは無かった。



超能力があるとかって

あの時は深く考えなかった。

自分にも何かしらの力はあるのかと


そして


アニメやゲームのような事がこの世界にあるのなら。


アニメやゲームのような事が今この場所で起こせるのなら。


いやそれはもう現実で

この目で見た。



そして、頭の中を横切ったものは形となり


肘を曲げ右腕を上げ、細剣を構えるかのように体を右後ろに引き。

カニ型ロボットがハサミで勢い良く殴ってくると同時に、無意識に口にした言葉は


「ストレート・ライン!!」


剣を突き刺すように定規を目の前に突き刺すと、定規、手元から青白い光が炸裂しカニ型ロボット後方までその直線は空気を貫いた。


カニ型ロボットの中央に壁に空いた穴と同じ大きさの穴が開き、煙がではじめ爆発した。同時に彩奈は衝撃で飛ばされ壁に叩きつけられ気を失った。



手元に握っていた定規は粉々になっていた。




これなら…私も戦えるね…

こんばんは、あるいはこんにちは、です


とりあえず自分が書きたかった場面をかけたので良かったです()




集中して書いてはいましたが熱くなって書いてしまっているので誤字脱字今回多めかもしれません。一応確認はしたので大丈夫かと…




次回、1章最終回です

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