#1_straight line_γ
朝会、その言葉を思い浮かべると何が出てくるだろうか。
蒸し暑い太陽が照らす中、何十分間立たされ滝のような汗を流しながらただハゲ校長の話を聞くだけ。
だが今回は広々とした体育館の中、なんと冷房が効いているではないか。
…ただ効いているではなく効き過ぎている。夏だというのに生徒は皆厚着をし、ぶるぶる震えている。
「ご…ごめんね…繭遠君…ちちょっと冷房が効き過ぎているようだ…」
隣で青髪の教師、蒼井守が寒さで震えている。
「な…なんで…ここんなに…寒いんですか…」
今日は至って普通の学生が着ているような制服を着た彩奈。昨日保健室を出ても分かった事だが、やはりここは学校のようだ。
週に一度の朝会。だが今日は休日らしい。
何故休日に学校で生徒が集まるのか分からないが、
蒼井は、そのこと含めて後で話す。と言っていた。
彩奈は端で教師達と同じ列に並んでいる。
どうやら冷房が壊れているようで昨日の朝からつけっぱなしのようだ。
昨日あの後、私こと繭遠彩奈は保健室を出た後、私は霧ちゃんと一言も話さず寮と呼ばれる場所に向かっていった。
何度か質問をかけようとしたが、霧ちゃんはかなり疲れている様子だったし、部屋に入った後も、部屋の説明…使用していいベッドや御手洗の場所を教えてもらっただけで霧ちゃんはどこかへ行ってしまった。
その後私はベッドに横になったらすぐに眠てしまったけど。
おかげでしっかり休みが取れた。
昨日は沈んでいた3つ、4つ目の耳も今ではピンと立っている。
「えー次に校長先生のお話です、校長こと銀業先生お願いします。」
知っている名前の人、知っている顔の人が出てきた。この人が本当に校長である事を彩奈は驚いている。昨日初めて会った時にはそんな雰囲気は全くなかったからだ。そして校長先生の代わりに朝会進行役の教頭先生がハゲだった。
「はい、どーも校長やらせて貰ってます銀業です」
これが校長先生なのだろうか。
この体育館の中の300人近くいる生徒の中で1人くらいは動揺する人が出ると思っていたが1人も出なかった。どうやら毎回こんなものらしい。
「えー今日は緊急に朝会を開いちまってすまねぇな、せっかくの休日だってのに。そうなった訳だが、昨日、ある生徒がクリオネに襲われた。全然怪我もなかったが、そんときの敵が手強くてな、俺が戦ったんだが、結構苦戦した。」
生徒がざわめいた。
「銀業先生が苦戦した…?」
「相手はどんなやつだよ…」
そのような声が多く聞こえる。
先の事で動揺しなかった事も含め、この男はどうやらかなり信頼が厚いようだ。それもかなりの実力者のようで。
「だから、休日つってもこの市内から出ないで欲しい、また同じやつが出るかもしれないからな。それだけだ。まだ話はあるが後は生徒会長に任せる。」
と、すぐに銀業は体育館から出ていってしまった。
「えー次に生徒会長、日比谷 系理、前へ」
そう言うと前には白金の髪でロング、青い瞳の、スタイルもかなり良い、女性としては完璧な見た目とも呼ばれるような少女がそこには出てきた。
だが一つ女性には似合わない、相応しくないような物が。男子学生が着るような、学ランを腕は通さず羽織っていた。
「生徒会長、日比谷です。先の銀業先生の話の続きをしますね」
「蒼井先生…」
生徒会長が話し始めると同時に、彩奈が突如小さい声で蒼井に話しかけた。
蒼井が振り向くと彩奈が凍えていかにも体調の悪い真っ青な顔をしていた。
以外と笑顔な顔で。
そしてばたんと倒れた。
見た事ある天井、同じ感触の布団、同じ匂いの枕
保健室だ。壁にかかっている時計は10時を示している
朝会の開始が8時30分だったのでもうとっくに終わっているだろう。
今回は近くに人はいなかった。
ベッドから降り、カーテンを開くと知らないおばあさんが椅子に座っていた。近くに人の気配は無かった気がしたのだが。おそらくここの先生なのだろう。
彩奈が固まっているとその先生はこちらを振り向いた
「起きたかい、蒼井先生ならもうすぐ来るよ」
70歳位の白髪の眼鏡をかけた優しい顔のおばあちゃん先生だった。
その時、ちょうどドアが開き、青髪の教師が入ってきた
「お、目が覚めたようだね」
蒼井は開いたドアを締めながらここの先生らしき人に挨拶をし、そしてこちらへ近づいてきた
「体調は良くなったかな?君以外にも何人か倒れたらしいからね、なんであんな中体育館で朝会をやる事にしたのか銀業は何を考えているんだか」
倒れた、と言っても今回は怪我をしているわけでは無いので、彩奈は体を動かし元気ですとアピールをする。
「さてと、色々と話さなくては行けないことがあるからね、教室まで来てくれるかい?」
蒼井が手を差し伸べ、彩奈がそれを掴みベットから立ち上がった
それから私、繭遠彩奈は別の人がいない教室に移動し蒼井先生からちょっと長いけど決して聞き捨ててはならないこの世界の現状を説明された。
14年前…この国は何の問題もなく穏やかな日常を何日も繰り返していた。
そんな中、各地域に亀型のロボットが出現し始めた。
そのロボット達は都会の路地裏や田舎の森の中など
人が見ていない場所に突如として出現し始めたと言う
亀型…しかも可愛い見た目から人々はそのロボットから危険を感じていなかった…が
ある日そのロボットに少女が襲われ
…死亡した。遺体の骨は粉々になっており、全身が紫色に腫れ上がっていた
体当たりや踏み潰されてそうなったのだという
それから後は「亀型のロボットを見かけたら警察に連絡を」などというニュースやポスターが全国に広がった。
出現する亀型ロボットの数は以外にも少なく、一日に全国で5~10体出る程度。
それに亀型ロボットの装甲は脆く、警察が打つピストルの弾丸1発で動かなくなったり、ちょっとガタイのいい男が殴っただけでも機能が停止するらしい
亀型ロボット三体に襲われた90歳のおばあさんがハエたたきで撃退したと言うニュースもあった…
それから5年程経ったある日…今から9年前
今度はサソリ型、蟹型のロボットも出現し始めた。
サソリ型の尻尾には猛毒があり、蟹型の手のハサミは人の腕を軽く切れる…など急に危険になり始め
全国で死者多数
この国以外の国にも出始めたという
たった一つの国を除いて。
だが人々は絶望だけでは無かった
1部の人々には超能力という希望が宿り
まるで魔法のようなその力で軽々ロボット兵を撃退していった
そして、世界はアニメやゲームのような世界へと変わってしまった。
それから5年、今から4年前
ロボット達の活動は活発に文字通り大量に出現するようになり、ほとんどの町は壊滅
力のあるものは戦い、力の無いものは地下のシェルターに籠って暮らしていた
まるで戦争中のように
さらに
この国以外の国が消えた
海はいつまで経っても続くように
地球の陸地は自分達がいる場所だけになってしまったのだ
理由は現在も不明
ある日壊滅状態で繋がらなかったインターネットを復旧させ、ニュースを見れた者がいた
そこには昔と変わらない世界各国が普通に存在していた…この国を除いて
ニュースは1つの国が突然消えたという記事で埋まっていた
まるでこの国だけが別の次元に飛ばされたかのように
そして生き残っている者達は1つの街を集中的に復旧、発展させることにした。1番被害が少ないこの土地に
銀業神経は唯一ロボットの被害を受けなかった国の名前からそのロボットを名前を付けた 「クリオネ」と
銀業は対クリオネ機関と過酷な状況の中でも義務教育を受けられるような学校を設立し、その町だけは昔の平和が戻ったようにも感じられた。
かなりお早い投稿です
今回本編の内容はあまり進みません()
次回も早めに投稿すると思います