#3_general passage_β
9月3日
8月も終わり、夏もついに終わったと勘違いしてしまうのがこの長月
実に秋の始まりではあるが過酷な猛暑はまだまだ続いており、一部では「1年の中で最も暑い」という意見もあるくらい。
…
みんみんみーん、と絶えない音を聞きながら、暑さにやられ微妙に溶けた頭で何も考えず外の景色を眺めるこの時間が至福。
ここに来てから1週間。いや…9日といった所か
よく考えてみれば10日も経っていないのだが、実に濃厚なスケジュールだった為体感は1ヶ月程なのだ。
記憶が無い為…頭が空っぽなせいか、体感したこと全て、目に見える全ての光景が覚えやすい状態なのだろうか。
普通人の脳は新しい事を覚える為に、古いかったり必要のな無い記憶や思い出を消すという動作を無意識的に行っている。
だが今の自分の脳は削除の動作は一切行っていない。なので代わりに物事を覚えやすくなっているのではないか。
そんな考察を落書きとして、ノートの片隅に描いていた。
勿論、別に脳科学の知識なんて持っている訳もないから本当にただの落書きになっているのだが。
さて、授業中にこんなよそ見をしていいのかと疑問に思うかもしれないが、実はさほど問題でもなかった。
どうやらこの学園の授業は通常中学までの内容のみ。つまり、義務教育の範囲をやっているのだ。
そもそも訓練が本筋のカリキュラムなのだから勉学は一般常識程度で良いのだろう。
自分もそれ程頭の出来が良い訳では無いが、途中入学した私でも問題なくついていけるくらい簡単な授業内容であった。
そして今更気づいた事だが、この学園には「学年」という制度が無いようだった。
たった数個しかない十数人で構成されたクラス。1つのクラスにも年齢差は多々あるようだった。
ほとんどは普通高校生の年齢の者のみしかいないのだか、例外として15と19。一つ上下の者もまれにいる。
(ん、まてよ。年齢不詳の私ってもしかして…いやいや15以下には自分でも見えないし、もしも20以上だったら……いやそんな想像しちゃダメだ…あわわ…)
そんなブツブツ心の声が漏れてる姿を、教室内全ての人物に注目されていた。
本人がそれに気づいていないのは果たして幸運なのか、残念なのか
「そこー、授業中によそみしない。」
教科担当の先生に気付かされ、我に返って当たりを見渡すと…
そこは冷たい視線で構成された渦の中心だった
「あ、そういえば年齢測定の結果出たのに繭遠君に伝えるの忘れてたな。別に記憶喪失でも自分の年齢は流石に分かってるよな…?」
by蒼井 in職員室
※ちなみにしっかり健全な17歳です()
「突然ですが彩奈クン、永久機関って信じますスか?」
入室早々、ホントに突然過ぎて訳の分からない質問がミサイルの如くぶっ飛んできた。
「…はへ?」
「いやあそうッスよねぇあると思いますよねぇ?やっぱり!繭遠さんは分かりますよねぇ!?」
物凄くこちらを凝視した面でグイグイ顔を近づけてきた。なんというか、鼻息が気持ち悪く生あたたかい。
「…」
「…」
黙っていれば勝手に話を続けてくれるだろうと思ったがそうでも無いようだ。
顔は離してくれたのだが、キラキラした眼光と期待の眼差しを一生向けてくる。
「…あ…」
「ると思います!?!?」
こんなもの、強制的に「はいあります」と言わされてるようなものだろこれ
「…いや…ないと思います」
「ほう、その根拠を聞かせてもらおうかワトソン君」
まだ続けるのかこの茶番を。
あの枕木さんの事だから、怒りはしないだろうとそこまでは予測済みだったが…これが学園でも噂になるくらいの変人という事なのか。
「…別に私自身の考えや根拠があるって訳じゃないですけど…、なんかテレビとか本とかには"そんなもの不可能だ"ってどこにでも書いてあるじゃないですか。」
…
あれ、なんか場違いな事でも言ってしまっただろうか。黙り込んでしまった。
「うぅ…悲しいっス…私は悲しいスよぉ!…なんで周りの人達は皆誰1人も、理解者になってくれないんスかー!?…しくしく」
泣いてるように見えるが、分かりやすい見え見えの芝居である。というかどこの科学者も無いこと証明してるのだから、信じる人なんてほぼほぼ存在しないだろう
そんな嘘泣き並べた枕木さんは正気に戻ったのか、遂に部屋の中に入れてくれたのだ
「てか、アレすか繭遠さん?」
「…?」
「テレビとか本とか言ってますけど、記憶戻ったんすかね?」
…たしかに。無意識で気づかなかった。
だが。
この世界にテレビ自体はまだあるが、放送局なんかはもう無い。つまり点けても何も映らない。寮の自室で試した。
本は無いなんて事は無いのだが、自分が目を覚ましてから読書をした記憶などない。
どちらにしよ、見た事は無いが記憶はある
厳密には記憶があるという事より知識があるの方が正しい。つまり、
「…いや記憶は戻ってないんです、まだ。あくまで以前の記憶だけが無くて、一般常識とか固有名詞とかは覚えてるんですよ。…流石に何も覚えてないと私赤ちゃんみたいに何も喋れなくなっちゃいますからね…」
「なるほどっスねぇ…。ぐへっ赤ちゃんになった繭遠も見てみたいっスねぇ…ぐへへ」
(…この人と関わるの辞めようかな)
なんやかんやで放課後
午前中に枕木から呼び出しされてここ来たのだった。
ちなみにその時の呼び出しメッセージ内容は「あの時あの場所で待つ」
うん、霧ちゃんに尋ねなければ意味が全く理解できずにいた所だった。
そんなもんで永久機関だのというかよく分からない話をされている訳だが。
「てのは冗談で、誰にも言わないで欲しいここだけの話っスけど、実は永久機関ってあるんスよねぇ」
何が冗談だ。
というかそんな歴史を変えるような発明品の実態が仮に本当に存在するとして、
「そんな大事そうで機密そうな話、私なんかに言ってもいいんですかね…?まだここに来たばかりの新人ですし…?」
「まあまあそこは色々事情があるッスけど、コイツはまだ完成してなくて、パーツが何種類か足りてないんスよ。」
「んで、町の外に無断外出してはならない校則を知らない彩奈ちゃんを騙して連れてって、町の外に部品を取りに行こうっていう寸法でしょう、四日ちゃん?」
いつの間にか背後、ドアを開けこちらを覗くように立っている霧ちゃんがいた。
「ゲッ、霧サンいつからソコにっ!?」
それに対し霧ちゃんはにっこりと満面の笑みを浮かべ
「最初から。」
あれ…?つまり今から自分は面倒事に巻き込まれる…ってコト?!
解せぬ。
「うぐぐ…知られてしまったらしょうがないっス。霧サン、アンタも今から共犯者っス!」
「別にいいよ。元々そのつもりだったし。」
「…へ?」
またもや霧ちゃんはにっこりと。
こんばんは、川風です。
多分3章半分終わりです。
いやー2章に比べたら早いですね()
このペースなら8月中に終わりそうなので、是非是非ブックマークや感想お願いしますm(_ _)m




