#2_over clocker_τ
理解するまでにどのくらいの時間がかかっただろうか
それ以前に理解出来ているかどうかも怪しい所だ。
何度目かのベッドの上、もう既に見慣れた天井に枕の感触まで全く変わらない。
まるで時を遡って同じ場所に来たような感覚。
「でも……ちゃんと覚えてる。あの時、私は列車の中で機械兵に……やられて……でも傷も無いし……」
記憶は確かにある。
だがやられたはずの傷も、身体中どこを探しても見当たらない。
「いや……前にも同じ事があったような……もしかして、……?」
本当に時間が戻ったかのような感覚であった。
ガラガラガラ、と廊下から扉が開かれた。
音だけであり、それが何者なのかはカーテン越しであるため確認出来なかったが、間違いなくその足音はこちらへ近づいてきた。
「あ、やっぱり起きてた。」
彼女がひょこっと、カーテンから顔を出しながら喋っている姿を見ると、なんだか安心して体の力が抜けていった。
「目が覚めたようだね、気分はどうかな?」
もう1人後ろから出てきたその時は抜けていった力が多少元に戻ってしまったが。
「あの後!」
「……っ?」
いつもなら相手側から話しかけられるのを待つような人間の自分だったが、この時は自から声を発していた。
「……あの後、自分は……、列車はどうなったんですか?私、結局あの時、何も出来なくて……、気がついたらここにいて……」
その時の自分は知識を欲する事しか頭に無かったのだ。だがそれは、ただの興味本意等では無く。
「…………」
それを聞いた2人は困った顔で黙りこんでしまった。
いきなり聞いてしまったのが悪かったのか、言えないくらいのとんでもない事を持っているのかは分からないが、
2人とも明らかに何か知ってるような素振りを見せている。
「……彩奈君。ものすごく言いにくいのだが…」
先生が改まってこちらに向かってきた。
それも真面目な先生が更に真面目に見えるくらいに改まっているのだ。
(やっぱり、……大変な事が……)
何となく話の内容を察して思わず息を飲んだ。
「…………試験、合格だ。」
……?
「何が何だか分からないだろう。だがすまないが僕も未だに納得出来ていない状況なのだ。」
「え?蒼井先生は合格認めてないってこと!?どうして!彩奈ちゃんあんなに頑張ったじゃない。」
やれやれ、とした表情を停めない蒼井。
「いや、その事じゃなくてね、試験その物の件だよ。結果的には僕も協力したが……やり方が、な…」
ここまできて何がなんだが何一つ理解出来ていないのが表情にでたのか、悟った2人は1から説明してくれた。
事の発端は学園長、…だが蒼井は「だいたいあいつのせい」と悪者にしてるような言い方をしていた。
どうやら、学園へ入らせるのであれば力量を測らせろやらなんやら。それで架空の場を、台本を作らせ実行させたらしい。
どうやら蒼井がもやもやしてる理由は色々あるようだったが1番は子供に危害が及ぶなどの事だ。
まあ、生徒思いの良い教師なのだろう。言い分は分からない方がおかしいくらいだ
つまり生徒全員もただ'役'を演じる協力者だった訳だが中には非協力的で嫌がる子もいたんだとか。
ちなみに霧ちゃんは特に乗り気だったらしい。
だがここまで危険な事になるのを理解してなかったようで。
おっちょこちょいでも限度があるような。
「とまあ、これで無事彩奈ちゃんも正式に入学出来たわけだし、今日はパーッと打ち上げだねぇ。」
そう、張り切りながら2人で寮の自室に戻った。
「そういえば…」
どうもまだ腑に落ちない謎がある事を忘れていた。
何となく、何となくだが分かる。恐らくこの街、世界に関わる事だ。
「列車の中にいたあの機械兵、って…」
それ以上を言わなくとも察してくれるだろうという気持ちで言葉を止めた。
結果は予想通り、霧ちゃんは明るい顔で返してくれた。
「あれねー、びっくりしたでしょ?四日ちゃんとかの技術部が作りあげた物なんだよ~。
でもあまり外の人には言っちゃダメだよ?不安の種だからね。」
何故だが自慢げにそう答えてくれた。
良かった。ここで用意した物じゃなければどんな反応をすればいいか分からない所だった。
「ん、って事はこの前の電気室のやつも…あれ」
既に部屋には霧ちゃんはおらず、独り言状態であった。
考えてる間に「食堂に準備言ってくるねー」と聞こえた気もする。
気付かずに話していた自分が恥ずかしいや。
まあ、いいだろう。と心底呟きながら夕食の時間まで待機もといベッドに横になった。
うーむ、やはり枕木さんやら技術部の技術はとんでもないな。
機械兵そのもの作ったり、あんなハイテクな武器を作ったり、この腕時計も…って
あああ!と叫んでしまった。
そしてその反響で部屋の窓が閉まっていない事にも気づいてしまった。
腕時計を壊したうえにあの剣だってどこかへ放り投げてしまったのだ。
これは…謝罪案件だ…確実に。
幸い、夕食前のこの時間なら話に行けるだろう。
行こう…謝罪に…
何気にこの寮で自室以外の他の人の部屋に入るのは初めてだった。
ちょうど1階層上の同じ場所の部屋だった。これくらいなら迷うはずもない。
でも…他の人の部屋に入るの怖かった。
なんだって実質他人の家に入るのと同じ事なのだ。
知ってる人とはいえ、ご存知この寮は2人制だ。
片方の知らない人が出てきたら…自分がちゃんと話せるか心配だ。
…そうだ、今になって怖くなってきたのだ。
いやそもそも謝罪しにしたのだぞ。最初から怖いに決まっているではないか。
だが後になって揉め事に発展するのも好きでは無い。
おっと運良く中から声が聞こえるではないか。
どれどれ四日さんはいるかなーっと
…耳を扉に押し付け、やってる事がただの変質者だが許して欲しい。私には正面突破できる程の勇気がないのだ!
っ!?
と思わず扉から体を話してしまった。
自分へ、悪い知らせと良い知らせがある。
良い知らせは枕木がいる事だ。確かにその声が聞こえた。
悪い知らせは…その…なんと言ったらいいだろうか。
その…聞こえた枕木さんの声が…喘ぎg
「誰だッ!」
扉がバンっ!と空くのと同時に中から人が現れた。
そして、その人物の後ろから枕木さんもひょっこりと登場。
「あれー彩奈さんじゃないっすかー。どうしたんすかー、って」
その後数秒間突然の沈黙が訪れた。
そんな部屋の2人は彩奈を見た後、お互いを見合って、そう言った。
「なんで土下座してるのこの人。」
「…ごめんなさい。」
こんばんは、
川風です
お久しぶりです。
次回最終日です。
ではでは
謎短歌↑




