#2_over clocker_ο
「自分にしかできないこと…」
この時の自分は心を恐怖や緊張やらそれらの類の物に侵されていた。
何せ初日でいきなりこれだ。なんの訓練も指導も受けていないし、戦闘に関する知識など何一つ無い。
だけど…決めたんだ。どんなに辛いことがあろうと、この力を皆を守るために使うと。
「了解です、霧ちゃん。私が何とかしてみせます。」
そう、無線越しに告げた。
…とは言ったものの、口先の冗談になってしまう可能性が出てきた。
恐る恐る中に入るが列車の中は真っ暗なのだ。
日光に当てさせてはいけない荷物でもあるためか、窓は全て塞がれており、当然電気など通っている訳で無いので灯りも無い。微かに隙間から漏れ出す明かりのみ。
とにかく怖いのだ。また例の機械兵が出てくる可能性もある。
いや、確実にまだいるだろう。
というか、そもそも何故機械兵がこんな場所にいるのか。
どこか途中で紛れ込んだのだろうか?
タイミングは…走行中では無いような気がする。
もし仮に走行中に侵入するとしたら恐らく列車に穴でも開けて侵入するだろう。
大体ヒトと同様のサイズのメカだ。今入ってきた所も含め入れるような入口は外部から確認した限り存在していなかった。
扉を開けて入る、など不可能であろうし。
では…コイツらは最初から中に侵入していた…?
いや待て、今はそんな事を考えている場合では無い。
とにかく、先頭車に向かうのだ。
「そういえば、これ出しとかないと。」
端末を操作し、アプリ「武器庫」を開く。
そして、その瞬間には既に自分の手元には枕木さんお手製の武器、「ブラストブレード」を持ち上げていた。
当たり前だが剣なんて扱ったことないのに大丈夫か…?と疑問に思うが今はとにかくやるしかないだろう。
神々しく輝くその刃先は、ほのかだが光として当たりを照らしていた。
「虹色に輝く金属…ミクラネル…だったっけ?きっと斬れ味とか凄いんだろうなぁ…ってあれ?」
危険だとは分かっているのだが好奇心には勝てず、興味本位でその刃先を指で触れてしまったのだ。
指でも切れたらその斬れ味を証明出来るのだが…
ぶにゅ、ぶにゅ、と。
グミのような感触がするのだ。
カッターナイフのような繊細な見た目の刃先だが…本当にこんなので鋼鉄の体を破れるのだろうか…正直心配だ。
「い、いざとなったら、私の能力で撃ち抜けば良いし!、…なんちゃって、…あはは…」
1度鋼鉄の身体を破壊した実績のあるあの攻撃なら威力は保証できるだろう。
だがまだ自分の力について深く理解している訳でもないし、ましてはこんな列車の中であれを使ったら大破して輸送している物資もダメになってしまうだろう。
とりあえず、今はこの枕木さんの剣に頼るしか道は無いのだ。
「繭遠さん聞こえていますでしょうか?数糸です。こっから私達がサポート&ナビします。」
「彩奈ちゃん、私もいるからね」
無線越しに聞こえてきたのは小隊長、数糸さんの声と聞きなれた霧ちゃんの声だった。
良かった、合流出来たのか、とホッとした。
「彩奈ちゃん、油断しちゃあダメだよ!彩奈ちゃんの1個先の車両、7号車に機械兵の反応を確認。気をつけて!」
使う事等滅多にない、列車内のマップナビを見ながら彩奈へと伝える。
そう言われ恐る恐る次の号車へ繋がる扉をゆっくりと開ける。
ガサ…
ガサ…ガザ…
思わず扉を閉めてしまった。
そして、三体共こちらの方を向いていた。
デジャブだろうか、この扉を直ぐに締める動き。今朝もやった気がするのだ。気のせいだろうか。
…
時間は限られている。今は行くしかない。
そあ手始めに、耳元のインカムを手に取り、
'奥へと投げ捨てた'
ガサガサガザガサガサッ!
結果は狙い通り、3体共それに釣られて1箇所に集中する。
そこに勢いよく走り出し、
慣れてない体で剣を振るうと、全身ごと、それを振るう遠心力により体は前のめりになり、
「あわわぁっ!?」
床に転んでしまった。
だけど、これで良かった。
前方には横凪によって真っ二つにされた鋼鉄の置物が3つ。
「かける3だから真っ六つ。なっちゃって。あはは…」
小さな事だが初めて自分で立てた作戦が上手くいったのだ。
そりゃあ床で転びながら笑っても誰も文句言わないだろう。
「…いや時間ないって!!」
こんばんは、川風です。
なんと2日連続です。
判定的には本日2本目かな?
て事で次回も早めに。
ではでは




