#2_over clocker_ζ
現実逃避していた。
夜な夜な自室のベッドの上。
自分の腹に手を当て考えていた。
記憶はほとんど無い。痛覚も無かった。
頭では覚えていないが体は覚えている。
全身は微動だに動作せず、まともに思考することも出来ない。ただ、一刻、一刻と堕ちていく死の直前の瞬間。
そんな体が二つに裂かれた時。それを思い浮かべる度に全身に鳥肌が立つなんてものでは無かった。
すなわち、心の準備が自分には出来ていなかったのだ。
だが戦う事は決めていた。それは矛盾しているかもしれないし、嘘をついている訳でも無いのだが…
そして2人と共に来たのは、たった2日振りの第二視聴覚室。
前回来た時と同じ机は全て端に寄せ、ダンボール箱が数個置かれ、生徒が1人。
前回と違うのは霧ちゃんがいる事だけ。と言って良い程の盤面。
ふと思ったのは霧ちゃんとこの、枕木さんの仲が良いのかが気になった。
当然知り合いのようだし、人と人との関係を観察するのは面白いものであるから、ね。
「祓宮さんと蒼井先生、それと…繭遠さんもおはようございますッスー」
ゆる~い声の挨拶が室内に響いた。
「あ~四日ちゃん久しぶりー。前回の作戦振りかな?相変わらず元気な声してるねぇ」
元気な声は2人共である。
教師の蒼井先生は別として、生徒の自分は混ざったりするのが普通だったりするのだろうが、このテンションにはついていける気がしない。
「久しぶりッス祓宮さん。あーそうだ、そろそろ武器のメンテナスしないといけないスかね?」
「一応…今日は彩奈ちゃんの事で来たけど…丁度良いし自分のもやってもらうかなって。」
武器…というのはあの刀の事だろうか。
正直今の会話の内容がよく分からなかったのだが、どういう事だろうが。
霧ちゃんを初め、ここに来た3人は全員そんな大したブツを持っているわけでもないので、メンテナスといっても何をするのが想像が出来なかった。なにかの隠語か何かかとでも感じた。
大した物は持っていない。だがその時霧ちゃんは取り出した。
その手の平より少し大きいサイズの携帯端末。
そして、そのスマートフォンを操作し始めると。
眩い光と共に現れた。その「武器」が。
1メートル強と言った所か。少女の手元にはその刀が。
幻影などではなく、実物が少女の手に握られていた。
「ん、彩奈ちゃんは見るの初めてだよね。」
驚いている自分の顔に気づき、霧ちゃんは説明を始めた。
「この端末はねいわゆる、某青狸のポケットみたいに物をしまう事ができる優れ物なんだよ。」
大きな物を小さな物にしまう事ができる。
そんな、物理法則を無視する分かりやすい例えだけでかなり驚く事だが、なんだろう…「超能力」という超特大プレゼントボックスのような、更に上の物を見ている為、そんなに驚きはしなかった。
つんつん、と人差し指でその刀を触れてみるが、確かにある。冷たい金属の独特とした質感が。
つまり、
と、咄嗟に自分も同じように端末を取り出してみる。
この端末自体は一昨日、面談の際に蒼井先生から渡されている。
もしやと思い、自分も同じように端末を操作すれば何かイカつい、カッコイイ物が出てくるのではないか、と想像しただけでワクワクが止まらない。
まるで、新品のおもちゃを買ってもらった小さい子供のように。
「あれ、彩奈ちゃんは何も登録してないから何も出てこないはずだよ?」
…ぽかーん
「な、なんて顔してるのさ…まあちょうどその事で今日は来たんだから。」
そういえば、まだここに来た要件を聞いてなかった。
授業の準備?いや、この雰囲気でそんな普通の事では無いのが分かる。それ以外で考えられる物つまり、
戦闘準備。
「よいっしょっと」
そう枕木さんが奥から持ってきたもの
それは「剣」だった。
それも霧ちゃんが手に持つ刀とは全く違った、サーベルのような形を模しているが、長方形の組み合わせからなる独特の、まるで未来から持ってきたかのようなサイバーパンクなデザインはこの部屋で異質な雰囲気を醸し出していた
「これが…自分の使う武器…」
正直、自分が機械兵と戦っている場面を想像した時はいくらでもあったが、そんな武器という戦闘の道具を使う事は想定していなかった。
超能力という存在があるのならばそれだけで戦うと思っていたのだ。
全長1.2m程。刃の部分は幅10cmもあるように見えるその「剣」は明らかに「重そう」であった。
だがまたまた予想を裏切る展開
いざ手に持ってみると軽い…いや重たい…?
何か別のもので重さを例えようにもできない。フワフワしたような感覚。いや、これは
(重さが変わってる…?)
「それ」を持って上下左右人に当たらないように縦横無尽に振るが、明らかに重量が変動している感覚があった。
何も動かしてないと肩に全く力を入れなくても持てる
振ろうとした瞬間のみ、ずっしりと重量を感じさせられる。
「ふっふっふ…これがわたくし枕木四日の持つ最新鋭も技術。重圧縮炭素繊維ッス!」
突然枕木さんが眼鏡をグイッとして
「その場その状態に応じて重量を変化させる物質であり私の過去最高の発明品ッス…!」
咄嗟に色々言葉を並べられても正直よく分からなかったが…それが凄い事だって事は分かった。
振る直前に重量を上げ、力を入れやすくし斬撃時のパワーを上げる。よく出来たわかりやすい仕組みだ。
こんな小さな所からあんな大きな所まで。ここに来て物理法則無視のビックリショーを何度も見せられたり体験したり、本当に大変な事だらけだが段々とそれが楽しみにもなってきた。
今度はどんな驚愕の光景が見られるのか。
…にしても
この「剣」の見た目、ベースは黒に紫のラインが所々に入っているデザインなのだが…これがまあダサいという訳では無いのだが…
厨二臭い。
刃先は光るし、自分と見た目が180度合わないようなデザインは確かにカッコイイともいえるが、なんというか…恥ずかしい。
自分で言うのもあれだが、自分だって一応は女子高生だ
だが皆が皆、同じような物を持っていると考えると多少は気分が和らいだ。
「それだけ驚くんじゃあないっスよ?それだけじゃないっス。小指の所にあるボタンを押してみるっス」
持ち手の下の部分にあるその小さなボタンをカチッと押す。
これがまたまたビックリショー。
なんとその「剣」が「銃」へと変形したのだった。
大きさは「剣」の時と対して変わらない、アサルトライフルと言った所だろうか。
大きく長いスナイパーライフルでもなく、小さく扱いやすいサブマシンガンでもない「銃」である。
更にもう1枚
再び小指を動かすと
「剣」の際にあった刃がもう1つ増え、そのシルエットはまるで両剣、薙刀のようなもへとまたまた「変形」した。
「これが私の最高傑作である対 機械兵用の武器「ブラストブレード」ッス!」
その後も枕木さんの解説が続いた。
名前までもなんか厨二臭い。
ブラスト…爆発?そんな要素どこにも無いように見えるが、この立場として突っ込むのは流石にやめておこう。
「でも、なんで急にこんな変形機構搭載したの?枕木さん」
自分が思っていた疑問の1つを霧ちゃんが変わりに言ってくれた。
確かに変形はロマンがあるというか…だが、霧ちゃん曰くかなり珍しい物だという。
「それは…スねぇ…」
先のテンションとは打って変わって、なんだが枕木さんは言いずらそうにソワソワしながら
気まずそうにこちらと目を合わせてきた。
「本来、武器っていうのはその人の実力や才能。つまり戦闘能力に基づいてその人にあった物を作るッス。
けど…」
言葉が途切れ、なんだが凄く気まづそうにしているが…
「繭遠さんは戦闘能力0っす。だから性能の暴力というか…これでも徹夜して作ったんスからね!」
「がはッ!?」
戦闘能力0。そう言われると思っていなかった訳でもない。身体測定での歯ごたえがあった気がしない。
後悔している訳でもないが、戦う事に決めたあの時の自分に問いただしてみたいものだ。
握力計が12kgを指していた時は流石に自分でも笑った。
そろそろ自分でも何話だが分かりずらくなってきました
どうも川風です。
ギリシャ文字を何となくで使い始めたのですが、多分あれですね、知らない人から見ると頭の中「?」でしかないでしょうね。()
まあこのまま続けていくつもりですが。
2章は10話くらいでおわるかなーなんて思ってましたけどこのまま行くともっと長くなりそうです
まあどうでもいいか(
次回も早めにお会いしましょう
ではでは




