#2_over clocker_ε
8月30日。
夏休み、冬休み、ゴールデンウィークの次に、学生のオアシスである三連休も終わり、授業が始まりだす日。
そして自分にとっては初めての登校であり、授業である日。
初めての登校ではあるが、教室までの道はなんとなくだが分かる。
校内案内されたのはもちろん、寮は学園の敷地内にあるもので、何回か通っているので多少見慣れているのだ。
本来ならば教室まで霧ちゃんに連れてって貰う、詳しい道を教えて貰うつもりではあったが…
霧ちゃんは寮で朝食をとった後、すぐに蒼井先生に呼ばれてどこかへ行ってしまったので、連れて行って貰うという夢は叶わなかった。
なにぶん、校舎が広すぎるせいでまた迷子になるかもしれないので案内してもらうのがベストではあったのだが…
そんな事を考えながら鍵をかけ、自室を出ていった。
ただ、昨日から一晩中悩んでいた事が1つ。
教室に入って何と言おうか…
まず入るのが怖い。知らない集団の中にいきなり入ると最大級の場違いと気まずさが湧き出てくる。
当たり前だが自分の居場所はある訳無いし、集団の人達は「あいつ誰?」という言葉を100パーセント発すだろう。
そしてそれだけならまだいいのだ。
問題は"それ"が聞こえた時だ。
それが聞こえた暁には、場違い感と気まずさは極限まで登り上がり、限界突破。
間違いなく自分はその場で崩れ落ち、部屋の隅で体育座りする事だろう。
そして「溶けてなくなりたい」という思考で頭中埋め尽くされ精神崩壊。
文字通り身も心もダウンだ。
ただ昨日一昨日で仲良くなった天飛君と紅葉原さんが教室にはいるはずなのでそんな事にはならないと思うが。
1番の頼み綱である霧ちゃんは先生のに呼ばれてどっか行ってしまったので、そこにいる確率は結構低いであろう。
そもそも普通転校生というものは、
まず朝に職員室かなんかに行き、
その後先生と共に教室に移動。
まずは教室の外で待機。
そしてHR中に先生の合図で教室に入る。
そのような流れのはずだと思うのだが、なぜこんなに不安を煽りまくってくるのか。別にあちら側にそのつもりはある訳では無いだろうが…
こんな不安を煽るようなら「昨日誰かに聞けばよかった」とそんなどうでもいい細かい後悔をした。
じゃ、行きますか。
多少不安ながらも足を動かしだした。
そいうえばもう8月の終わり…
あれ?夏休みは?
さあ、いざ教室の前。
多少遠回りではあったがなんとかここまで辿り着けた。にしても本当に学園の校舎は広すぎる。
危うくまた迷子になる所であった。
それぞれの校舎の外観も似てる為、外の景色を当てにしようとしてもほとんど意味がなく、目立つ案内標識も無いし、どの場所でも廊下の内装はほとんど変わらないし。
さて、なんやかんやでここに来るまでに思いついた作戦が1つある。
まず黒板側もとい教室の前側のドアからではなく、反対側の後ろ側のドアから入る。前側と比べて、入ってきても気づきにくいだろう。
そして他の人に気づかないよう、天飛or紅葉原さんに話をかけ色々、自分の席の場所を教えて貰う。
その後の事はよく考えてないが、流石に他の人も自分に気づくであろうなので、その2人と共に自己紹介を出来ればと思うのだが。
よし、これで行こう。
作戦通り、まずは後ろ側のドアをゆっくりと…
…ん?
あれ、なんかこっち見てるぞ。
まだドアを開けて少し体を中に入れてるだけなのに。
そんな大きい音立てたっけ
あれ、なんか全員こっち見てるぞ。
なんだ、さっきまで会話の音で結構ざわついてたじゃないか。締め切った教室の外まで結構聞こえてたぞ。
なんで自分がドア開けた瞬間こんなに静かになるんだよ。
…
冷房の涼しい風がより肌に強くに感じる。
気まずい。
このままこの状態のままいたら限界突破して溶けるぞ。
気付いた時には後ろに下がりドアを締めていた。
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗
()
やらかした。
どうすれば良かったのだろうか。ただ普通に入って、「初めまして!転校生でーす!」とでも言えば良かったのか。…そんな勇気なんて無かった。そもそもこんな些細な事に作戦なんて変な事してるのがおかしいのだ。
さっきの想像とは別の事で限界突破しそうだった。
まだあのまま教室の中に入っていれば希望はあったものの、今の状況はなんだ。数秒前と同じではないか。
もう取り返しのつかない。このままいけば、他の人から見れば自分は「ただドアを開けて閉めただけの変な人」という認識になるであろう。
そんな些細な事どうでもいいかもしれないが、自分にとっては「大」の字のつくほどの大事。
これからどうしたものか、頭をフル回転させ何度も思考するが…何も浮かんでこない。そもそもどうしろああしろと命令を受けてないので何をすれば良いのかイマイチ分からないのだ。
こんな時にあの人が居れば…
その時だった。
神が舞い降りる程の幸運。
廊下、数メートル自分の横には黄白髪の女の子がこちらに向かい歩いてきていたのだ。
助かった。
こんな時こそ一番仲の良い友達に助けてもらう。
それが唯一頭に浮かんだものであった。
すぐそこまで霧ちゃんが来ると、いつものやさしい笑顔で
「彩奈ちゃん…?……なにしてんの。」
「あはは…」
「て事で、もう皆知ってるようだね。転入生の紹介だ。」
蒼井先生の合図と同時に、黒板の中央へと足を動かす。
「繭遠彩奈です。えっと…」
緊張して言葉が何も出てこなくなった。
別に先に内容を考えていたという訳でも無いけれども、何を言えばいいのか。
そもそも記憶喪失でそんな自分の事を他人に教えられるのか……そうか。
「…事故で記憶喪失になって訳あってここに転入してきました。これからよろしくお願いします。」
なんかとか言えた。
咄嗟に適当考えてなんとか繋げたが多分大丈夫であろう。そこに質問されたらかなり痛いが。
「よろしくー」
「よろしくなー」
そんな言葉で教室は溢れかえっていた。
よし、このままならさっきの事は無かった事にできるだろう。良かった良かった。
「それじゃあ、席はそこだからね…と言いたい所だけど、」
突然と蒼井先生の言葉が途切れた。
「ちょっとやるべき事があるから別室に、ね。祓宮くんもね。」
これから教室で授業を受けるものだと思っていたのだがまだ早かったのか。
そうか、教科書とか学校で使う道具とかまだ筆記用具以外なんも持ってないしな。
「それ以外は各自、外出準備。1時間後に作戦司令室に集合だ。」
…あれ、気のせいだろうか。
こんばんは川風です
ほんとに気まぐれな投稿ですね。()
次回も早めに投稿するつもりなので生暖かい目で見ながらお待ちください()
こんな作品ですが感想、ブックマーク貰えたら嬉しいです
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