#1_straight line_α
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西暦2031年
世界の国々、地形、ありとあらゆるものが昔の、人が自由に暮らしていた時代とは変わっていた
いや、もう既に国や世界という言葉が無いのかもしれない
各国の都心部は酷く荒廃し、道は瓦礫の山に埋もれ、
電気、水、火等の人類が扱っていた物の影も見えないくらいに。
現在、人の住む場所は、過去の人が住んでいた場所の1割にも満たさなくなってしまった。
風が吹き荒れる。
辺りが、廃墟と化した建物などの人工物の成れの果てがある中で
1箇所荒廃した街に合わない物が一つ。
とある町の丘の上の展望台。
同じ人工物ではあるが他が瓦礫の山となっているのにこちらは傷一つ無い。
丘の上の森の中に高さ10数メートル程の、橙色の柵がついている六角形の建物
そして、その上に、横になった少女が1人。
2017年、今から14年前。
未知の機械兵が地上に現れた
名を「クリオネ」と言い、突如絵本に書いてある事が本当になったかのように奴らは現れた
現実に存在する生き物の形をした機械のようなもので
カニやサソリ、カメなど言葉のみを聞くと可愛いく思えるが、実物はそんなものでは無い。
鋼鉄の躰に多々ある血痕。
意味もなく辺りを焦がす荷電粒子砲が備わった、当時の人類の科学力的に、人類が作ったとは考えられない機械兵。
少女が目を覚ますと、そこは展望台の上だった。
身長は160くらいだろうか。明るめで金色の髪。
学校の制服のような服とスカートを身にまとった、どこにでもいる高校生のような見た目をした少女。
ただし頭に特徴的な、普通の高校生には無い例外がある。
猫にも見える、狐のようにも見える特徴的で異質な、
第三、第四の耳がそこにはあった。
少女はゆっくりと立ち上がって辺りを見渡した。
丘の上の展望台。
後方は雑木林の自然に溢れかえった森林
前方から丘の下を見渡すとそこは荒れ果てた街
人の気配は全く無く、静寂が訪れた世界
それを見て少女は何を思ったのか。
展望台の柵に手をかけ、少女は自身でも理由を知らずに涙を数滴零す。
少女はふと頭に手を掲げ呟いた
「私は...一体何を...」
少女は過去の記憶を辿るが、街が荒廃した理由も、自分が何故ここにいるかも、何もかも、思い出す事は無かった。
記憶喪失。
そう、彼女は記憶喪失なのであった。当然、記憶喪失になった理由も分かるはずもなく。
だが、そんな記憶喪失でも一つだけ、覚えている事はあった。
「繭遠...彩奈...」
彼女はふと、自分の名前を口にしていた。
記憶喪失といっても、覚えている事が全て消える事では無い。例えば記憶喪失となって言葉の単語一つ一つを全て忘れてしまったら、赤ん坊のように何も喋れなくなるという事である。
記憶...思い出が全て消えると言った方がわかりやすいだろう。
繭遠彩奈という名前、単語は覚えているが、
その意味、それを誰につけてもらったかは分からない。
という事である。
少女はゆっくりと歩きだし、数十段程ある階段を1段ずつ、静かに下り、展望台を降りた。
考えもなしに展望台を降り、目的もあるはずもなく、雑木林の自然の中にあるコンクリートでできた古びた道を進み、丘を降りた。
木々の生える場所を抜け、街が見え始めた。
その先の景色を見て、少女は何を思ったのか
展望台の上から見た景色とは同じ景色である
少女は急に膝を地面につき、佇み涙を零した
先のとは明らかに溢れる雫の量が異なってる。
少女はしばくの間、冷たく小石が散乱するコンクリートの道の中央に座っていた。
「12年前に起こった大災害、クリオネの大幅な出現。
奴らは何処から湧いてくるのか検討も付かない。
人里離れた場所に"気がつくと"姿を現している。」
荒れ果てた廃墟だらけの街の道路を走る、だだ1つの至って見た目は普通の軽自動車。
それを運転する青髪の男が片手でハンドルを握りながら呟いている。
「殺戮兵器。ただその言葉のみ。何故人を殺めるのかは不明。人類が人類を滅ばせるとは考えられない。有力なのは宇宙、この星の生命体では無い空の上の未確認生命体。」
青髪の男がもう片方の手で持っていた本を閉じ、隣に座っている男に渡した。
「簡単に言えば宇宙人がこの星を我がものにしようと侵略しに来てるって事だね。」
隣の男はガタイが良く、両手を頭の後ろに掲げ目を閉じていた。
「だが人類もやられる一方では無い。」
両手でハンドルを握りしっかり安全運転で、青髪の男は再び話を始めた。
「大災害から2年、この国の総人口の3割が犠牲者となってしまった頃、政府は対クリオネの軍事機関を建てあげた。...3割って遅すぎるけどね。」
話をしながら運転しているので安全運転では無いかもしれないがそれでも、青髪の男は話を続けた。
「しかし、機関を建てあげところで苦しい戦況が覆ることは無かった。国直々の軍隊の軍人はクリオネ出現から数年の間で犠牲となってしまっていた。
そこで、ある男の提案により学生がクリオネと戦闘する事となった。」
青髪が、話を続けているともう1人の男が目をあけ、
「やめてくれ、その話は」
ガタイのいい暗い銀髪の男が急に喋りだした。
ものすごく眠たそうにし、あくびをしながら喋っているその男は青髪から受け取った本を開いた。
「自分の武勇伝には興味ないのかい?」
青髪の男が話しかけると隣の男は開けかけた本を閉じてしまい、再び目を閉じてしまった。
「…」
銀髪の男は黙っている。
「ま、まあとりあえず。さっきの話を今度園児に読み聞かせようと思うんだけど、どうかな?」
そう青髪の男は再び銀髪の男に話しかける。
黙って目を瞑っている者に話しかけても答えは帰ってこない事を悟ったのか、青髪の男は呆れた顔で隣の男から視線を逸らし運転に集中し始めた。
「少し過激すぎて子供が泣いちまうかもしれねーぞ」
以外にも答えは帰ってきた。
少女の付近で物音がし始めた。
鈍い金属音、何かがこちらに近づいてくる。
数分の間座り込み気持ちを落ち着かせていた少女は足をゆっくりと立たせる。
座り込んでいた時、少女はこの先どうするべきか、
自分は何をすべきかを考えていた。
しかし、記憶喪失。何を考えても脳裏にはモヤがかかるばかり。
けれど一つ、小さな光がその中に存在していた。
「"何か"を探す」
何を探すかは全く検討も付かない。それでも唯一この瞬間思い出せたのがその言葉。
「自分は何かを探すためにここに来た」そう考え、そのための過程も全て考える事ができた。
そうして導かれた最初の過程。
これから自分がすべき事はまず人を探す事。
これは人として誰もが考える事で当たり前だろう。
そうして、先程聞こえた物音で近くに人間がいるのだと思い、顔を上げた。
鈍い金属音。人のはずが無かった。
そうして目の前には「人」ではなく「機械」
サソリによく似た形をした禍々しい物がそこいた。
大きさは1m程。
人の平均身長よりも低いが、幅もかなりの大きさがあり、尾も1m程あるので人よりも結構大きく見える。
しかも複数体。
人気のない荒れた街
こちらにゆっくりと近づく機械生命体。
その鋼鉄の体に付着した赤黒いモノ
先程目覚めたばかりの少女、それに記憶喪失。
だがそんな少女にもこの瞬間、この世界の現状を理解した。
この街をやったのはコイツらだと。
そんな察しのいい少女だが、この状況を突破する為にはどうすればいいか、戦闘はもってのほか。
少女がとった行動は"逃げ"
丘を下って左方面から現れた機械生命体とは逆の方向、しかし右側は壁。少女は前方のその先に見えた大通りを目掛けて走り出した。
少女が走り出すと同時に、機械生命体もこちらへ動き出した。
追ってくる、ということはやはり狙いは自分。そう思い少女は全力で足を踏み込む。
速さは僅かに少女が勝っている。だがこちらが人間なのに対し、あちらは機械。
どのような原動力からは分からないがこのまま追跡されれば結果は言うまでもないだろう。
アスファルトの大地を駆け大通りへ出た。
荒廃した街、建物が倒れて道が消えてないか心配だったが案外問題無かった。ガラス片やコンクリートの塊が散乱しているだけ
…殺人機械が追いかけてくるだけで問題山ありなのだが。
直後、少女の前方で物音がした。
今回は鈍い金属音では無く、やや辺りに響き渡るエンジン音。
そう、少女の前方200m程度先には"人"が乗る自動車が現れたのだ。
人気のない場所でこちらに向かってくる1台の軽自動車。
その違和感を感じるよりも先に、少女は"人がいる"という安心感に包まれた。
その安心感と前方の軽自動車に気を取られ、足元にある倒れた信号機に気づいていなかった。
その後少女がどうなったのかは言うまでもない。
少女は倒れる瞬間、火薬の爆発する銃声音を耳にした。
銃声の出所は前方。少女は下を向き始めたので見えていないが、恐らく自動車に乗った誰かが、後ろの機械生命体に打ったのだと思われる。
少女が四肢を地面に付ける瞬間に、その銃声の出所から出た弾丸が、後方から追ってきたサソリ型の機械の鋼鉄の体を貫いた。
体 を撃ち抜かれた機械生命体は、瞬時に動きを止め、気がつくとただの鉄の塊となっていた。
その鋼鉄の体を貫いた弾丸は極彩色に輝く、まるでレーザービームのようなものだった。
少女が地面に倒れてる間、さらに何度か前方で銃声音がし、後方で静かに止んでいく鈍い金属音を感じていた。
徐々に体を起こすと、目の前には先程まで少々距離があった自動車が既に数メートル先に止まっていた。
少女が完全に立ち上がるのと同時に車のドアが開く音がし、中から男が1人出てきた。
青髪の男で、ワイシャツに立派なネクタイ。ただの社会人のようにも見える男がこちらに駆け寄ってきた。
「君、大丈夫?怪我は無いかい?」
急に問いかけてくる青髪の男に、少女は戸惑いながらも「はい、大丈夫です」と静かに返事をした。
少女は後ろを振り向き、ただの鉄くずしかない事を確認すると、この人が自分を守ってくれたと確信した。
この人気のない場所に突然人が現れ、自分は生き残る事ができたと、少女はその限りなく小さい奇跡に会えたという思いで胸がいっぱいになり、安心のため息を付いた。
「ところで何故君はこんな所に?ここは危険エリアのはずだよ?」
青髪の男が再び話しかけてきた。
危険エリアという言葉に戸惑いながらも、自分が何故このような場所にいたのか、先程考えた事を今一度考え直すが、やはり答えは「無」
「すみません、それが自分でも分かってなくて…」
自分が何も分からないことに呆れ始め、少女はか弱い声で答えのない返事を返した。
「分からない?うむ…」
「分からない」という言葉に青髪の男は頭を悩ませ、他の質問もいくつかした。
やがて、何を質問しても「分からない」という言葉に対し青髪の男は、少女は記憶喪失だと結論を出した。
分かった少女の情報は「名前」のみ。
少女も、自分が記憶喪失であると改めて感じる。
「おっと、そうだごめん自己紹介がまだだったね。
僕の名前は蒼井守。"学校"の教師をしているよ。」
そう言い青髪の男もとい蒼井は、先程質問責めしていた事を謝り自己紹介を始めた。
教師と言う単語に少し距離感を感じるも、蒼井が差し伸べた手を握り握手した。
「とりあえず君、行く場所が無いならついてくるといい。さっき見たいにあんな事になっていたら危険だしね。」
そう言われ車に乗るよう案内され、
少女は断る理由無くゆっくりと車の後部座席に乗り込んだ。
座席に座ると前方には青髪の男だけではなく、隣に銀髪の男が座っていた。
車の中から少女と蒼井が会話してるのが見えたのであろう。
蒼井が銀髪の男に、自分の事を説明しているのを聞きいている時。
少女は銀髪の男に謎の既視感を感じた。
3人を乗せた車はエンジン音を鳴らし、どこかへと走る。
移動中、銀髪の男はほとんど眠っており、会話は蒼井と少女の二人で行っていた。
会話の内容は記憶喪失の少女に、蒼井が先の機械生命体について、この世界の現状について話をしていた。
少女は会話の途中、ここ数年で多くの犠牲者が出た事に恐怖を感じていた。
走行中の窓から見える景色
20分程度走ってもほとんど変わらない風景。
人気の無く荒れた街。
稀に見えた
真っ二つに分断されたショッピングモール
大きく穴が空いた市民体育館
そして、無惨に転がった白骨遺体
それを見て少女が言葉を失ったのは言うまでもない。
この風景に見慣れたという蒼井は異常なのかもしれい。
しばらくして、蒼井は車を止めた。
まだ変わらない風景の途中なのに目的地に着いたのかと疑問に思う少女だが、蒼井と共に車を降りる。
未だ銀髪の男は眠っているが。
車を降り辺りを見渡すと前方に数人、人が見えたのと
その先になんと先程自分が襲われたサソリの形をした機械生命体が複数体いるではないか。
前方に見えた数人は制服を来ており、学生にしか見えない少年少女。
しかもその少年少女らは銃や刀で武装しており、機械生命体と戦闘を行っていた。
そして、その中の刀を持った一人が刀を振った瞬間。
刀からは辺りを燃やし尽くす業火の炎が出され
その炎により、辺りにいた機械生命体はまたしても鉄屑となった。
その短時間の驚くべき超常現象に少女は唖然としていた。
離れていたのであまり良くは見えないが見えた限りはただの日本刀である。少女は何故刀から炎が出てきたのか、そもそも何故あの少年少女達があの禍々しい機械生命体と戦っているのか。少女には全く理解できなかった。
少女が驚くべき光景の中で平然としてる中、一方蒼井は平然と足を進めていた。
そして蒼井が立ち止まりこちらを向きながら
「そういえば、まだ言ってなかったね。学校の事」
蒼井は先程自分が教師だと言っていた。
この荒れ果てた世界でも学校は必要な存在なのだろう、と少女は先程まで考えていた。
そして前方にいる高校生らしき少年少女。
蒼井が教師をする学校の学生とまでは理解出来た。
しかし、学生が何故あの機械生命体と戦闘していたのか。
その疑問は以外にもすぐに解決できた
蒼井は手を広げ誇らしげに
「紹介するよ、"対クリオネ機関"神工学園の事をね」
初投稿です
初めまして川風と申します。
私は物語を作るのが大好きですが、このような小説を書くのは初めての挑戦です。
また小説の書き方とかあまり理解していないので
小説としておかしい部分もあるかと思いますが、そこは生暖かい目で見て下さい()
私はこの作品を完成させるまで死ねないと思っているほど、この作品に思い入れがあるので
これから先、かなり長い長い話になると思いますが、読んでくださるようお願い致しますm(_ _)m
誤字脱字など指摘すべき箇所があったら教えて下さい!
感想など貰えたらとても嬉しいです!
投稿ペースは週一を考えています
毎回このくらいの量で
では、読んで下さりありがとうございました!