転生特権が絶対壊れない中華鍋だからオワタと思ったらぶつけて鈍器、構えて盾、お腹が空いたら調理器具で万能だった件
年末年始の豪雪で近所のお爺さんお婆さんから屋根の雪下ろし依頼が舞い込み、100万の収入になって浮かれていたら、今日に限って突風が吹き、屋根から落ちて死んだ。
ああ、最後に暖かいものが食べたいなぁ…。
仕事終わりにラーメン屋で食べるチャーハン、パラパラで美味しいんだよなぁ…。
今日も食べたかったのに…。
薄れゆく意識の中で、考えたのはそんなことだった。
しかし、視界が真っ暗になったと思った次の瞬間、
急に辺りが明るくなった。
不思議に思って当たりを見渡すと、
何もない白い空間におり、
昔話に出てくる仙人のような髭の長い人がいた。
仙人が俺に向かって手をかざすと、何か暖かい光が自分を包むのを感じた。
と、思うと景色が再び暗転した。
すると、仙人らしき声で
『お前は死の直前まで老人たちのために働いた孝行ものじゃ。その徳に免じて、転生を行い、お前の最後の願いを叶えてやろう。
…美味しいパラパラチャーハンの作れる中華鍋じゃ。次世では自他ともに美味しい食事で幸せになると良い。ホッホッホ。』
いや、待ってくれ!転生するならもっとこうあるだろう!
特権が鍋?勘弁してくれ!俺はもっとこうTUEEEしたいんだ!話をさせてくれ!
薄れゆく意識の中で、自分の左手に鍋の取手の硬い感触を感じ、絶望の中で俺はこの世を去った。