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わたくしは今日も魔術学園へと向かう

「当たり前ではございませんわっ!一体どれ程心配したと思っているのですかっ!?」

「あぁ、心配させてごめんね。愛しい我が娘シャルロットよ」


わたくしの事で怒り、国王陛下へ文句を言いに行く事から確かな愛情は感じるのだが、些かその愛は重過ぎるのでは無かろうか。


結果安否の心配をしてしまったのだから止めて欲しい。


心臓がいくつあっても足りませんもの。


それに───


「お父様やお母様、それにお兄様のお気持ちは痛い程に伝わりますけれどもわたくしは家族全員が揃っていればそれで良いのですわ。下手をしたらわたくし一人取り残されて後生を生きる事となってしまうと思ってしまった事がどれ程の恐怖だったのか、今思い出してもその時の恐怖がぶり返して身体が震えてしまいますもの………」

「心配かけてごめんなさいね、わたくしの愛しいシャルロット。それでもどうしても許せなかったの」

「お母様………」

「違う視点で考えてみるとむしろ結婚する前に最低な野郎だと気付けて良かったと思う事にしよう」

「お兄様………」


結局のところ誰が一番悪いのかと言うとカイザル殿下に相応しい女性になれなかったわたくしのせいとも言えるはずであるのに、家族の優しさが胸に染み渡って来る。


そして誓う。


これからはより一層努力をして家族が胸を張って誇れる娘であろうと。


決して『婚約破棄された公爵家の娘の家族』だとは言わせない程の人物になろうと。


心の奥深くに刻み付けながら誓うのであった。





良い事があった日も、嫌な事があった日も平等に太陽は沈み、そして登って来る。


寝起きは最悪、けれどもその様な表情は決して表には出さない。


「シャルロットお嬢様、おはよう御座います」

「おはようばぁば。空は晴れ、空気は澄んでおり良い朝ですわね」


これから雪が溶け、春に移り変わろうとしている今の時期の晴れた朝はとても心地良いとわたくしは思う。


「そうですねぇ。雪もそろそろ溶け切ってもうすぐで春がやって来そうな、そんな心地良い朝でございますね」


そんな、たわいも無い会話をしながらばぁばが髪を櫛で梳き、コルセットを装着してドレスを着飾って行く。


そう言えばこのドレスは唯一カイザル殿下が褒めて下さったドレスであったと、いまや思い出しても意味がない事を思いながら着替えを終えると朝食を取る為に一回へと降りて家族揃って朝食であるパンと目玉焼き、それにサラダを食べ学園へと馬車で向かう。


家族は、あんな事があったのだから無理して魔術学園に通う必要は無いと言ってくれるのだが、だからこそわたくしは今日も魔術学園へと向かう。

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