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凡人と聖女とでは比べるまでも無かろう


そう言うとヘルカイト国王陛下は自身から出す魔力を霧散させる。


「今回の件で我が謝る事は出来ない事は分かってくれ。そして今回の件でお主達ランゲージ家を咎めたりはせぬ。それで手をうってはくれぬか?」


そして国王陛下は『国王故に謝罪をする事は出来ない。しかしながら最大限の温情はさせてもらう」と言うでは無いか。


それは言うなれば王族側の非を認めるという裏返しでもある。


謝罪こそ無かったが一国の国王陛下にここまで言わせたのならばこちらも矛を収めるべきであろう。


しかし、だからと言って許せるかどうかはまた別問題である。


「今はそれで我らランゲージ家の矛は収めさせて頂きましょう。しかし、許した訳では無いという事をお忘れ無く。では、帰るとしようか」


そして我々ランゲージ家は王城から愛しい娘が待つ我が家へと向かうのであった。





「やっと行ったか」


我が息子であるカイザルがランゲージの娘であるシャルロット嬢との婚約を独断で、しかもパーティー会場にてまるで見世物の様に婚約破棄したという話を聞いたときは肝が冷えた思いをしたのだが、シャルロット嬢の代わりに見つけてきた婚約者候補の娘が百年ぶりに現れた聖女メアリーであると言うでは無いか。


最初は我が息子へ説教をし、ランゲージ家へ頭を下げさせた上で婚約破棄を無かったことにするつもりであったのだが、代わりに捕まえて来たのが聖女メアリーであるのならばランゲージ家には悪いがカイザルの行った婚約破棄を有効にし、そして聖女メアリーを新たな婚約者として迎え入れる準備をしなくてはと考える。


ランゲージ家には悪いがシャルロット嬢はいくら公爵家の娘といえども唯の凡人でしか無い。


凡人と聖女とでは比べるまでも無かろう。


しかしながらとヘルカイトは思う。


この国王である我に楯突いた事、どうしてくれようか───と。


そして我はいかにしてランゲージ家に悟られぬ様にダメージを与えられぬかとあれやこれや思考を巡らせるのであった。





「帰ったぞ」


どれ程の時間が経ったであろうか。


まるで永遠の様な時間が流れて行く中馬車の音が聞こえて来たかと思うと父上には珍しく怒りを隠す素振りも無くトゲのある声音で帰った事を告げる声が聞こえて来る。


「お、お父様っ!何て事をしてくれたのですかっ!?わたくしはばぁばが王城へ行ったと聞いて気が気ではなかったのですよっ!?」

「そうも行かぬよシャルロット。愛しい愛しいシャルロットがコケにされたとなればそれがたとえ国王だろうが魔王であろうが文句の一つや二つ言いに行くのは当たり前であろう?」


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