俺と一緒にデートでもしませんか?
そんな事を思っていると魔族姿のマオは急に膝をつくとわたくしの手を取り、上目遣いで見つめてくるではないか。
そんな事をされたらわたくしが耐えれる訳もなく一気に顔が熱くなっていき思考が纏まらなくなるのだが、それと同時に幸福感は物凄い勢いで満たされていく。
先ほどから溢れ出る幸福感で溺れてしまいそうだ。
「急ではありますがご主人様、せっかく今こうして魔族の姿で帝都の城下町へ来ておりますので俺と一緒にデートでもしませんか?」
「は、はい」
デートと言わずそのまま結婚してもよろしくってよ、という言葉は何とか飲み込める事ができたわたくしを誰か褒めて頂きたい。
そしてわたくし達はまるで平民の恋人達が良くするようにお互いに手を繋ぎあってゆっくりと歩き始める。
わたくしの手は汗をかいてやしないか?という不安とマオと手を繋いで今こうして歩いているのだという幸福感でどうにかなってしまいそうである。
「そ、そう言えばマオ………魔族特有の角や翼、そしてあの金色に輝く魔眼はどうしたんですの?」
「ああ、それらは一応魔族にのみ装備できるという縛りはあるものの装備品には変わりない為今は邪魔だし目立つからストレージにしまっている」
「ま、魔族って角や翼は着脱可能って事ですの?」
「いや、これはこの世界では恐らく俺だけができる事だな。まぁ魔王故の小技とでも思ってくれればいい」
「それを聞いて安心しましたわ。もし魔族がそんなマオみたいな芸当をできるのであれば今頃人間国家にどれ程の魔族が入り込み、裏で操ろうとしているのかと────」
そしてマオは、詳しくは分からないのだが角や翼、魔眼は取り外しができると言うではないか。
その事実にわたくしは、今この人間国にどれ程の魔族が入り込んでいるのか、もしかすれば国の中枢にまで入り込んでいるのではないかと一瞬焦るも、この芸当ができるのはどうやら魔族の中だけでもマオだけの様で安心した所で、わたくしは魔族である、それも魔王でもあるマオにとても失礼な事を考えていた事に気付く。
「────ち、違うんですのよっ!?決してマオや魔族の事を指している訳ではなくてっ」
「分かっているから落ち着け。それに人間国同士でもスパイを送り込んでいるのだから今更であろう。魔族も魔族間の国同士でスパイを送り込んでいるだろうしな。その事を考えると既に魔族国には人間のスパイが、人間国には魔族のスパイが送り込まれていても何らおかしくはないし、その事を考えられないほど人間も魔族もバカではない………と、思いたい」




