嘘を吐くその意味
「お呼びでしょうか?ご主人様?御命令が有れば仰って下さい」
そしてそのドラゴンは一人の女生徒の前へ、美しく光り輝く巨躯で地面へと降り立つとその女生徒へ頭を下げ、なんと人の言葉をしゃべりだしたではないか。
あぁ、欲しい。
何としてでも欲しい。
「いえ、ただの授業で貴方を召喚する必要があっただけでこれといって何かして欲しい事がある訳でもございませんわ」
そしてそのドラゴンと契約しているであろう者が女生徒であるのならば息子であるカイザルの妻へと迎え入れれば聖女メアリー同様間接的にではあるが我の物となろう。
このドラゴンさえ手に入れば我が王国が世界を手に入れるという野望も現実味を帯びてくるというものである。
「ふむ、なんと無欲な娘であるか。しかしながら私のご主人様となるのだ。せめて聖女の称号が欲しいとは思わぬか?まだ聖女の称号を持っていないというのであれば────」
「あのっ!!聖女の称号なら私が持っていますっ!なのでこんな娘とは契約を破棄して私と再契約致しませんかっ!?その方が双方得しかないと思いますっ!!」
そして件のドラゴンが召喚したであろう娘と会話をしているその時、ドラゴンの言葉を遮りしゃべりだす聖女メアリーの姿が目に入る。
「お前が、聖女の称号を?」
「は、はいっ!!」
そしてドラゴンの問いかけに自信満々に答える聖女メアリーなのだが次の瞬間にはドラゴンの表情がみるみる険しいものへと変化していき、周囲にドラゴンの怒りを表しているかのように魔力の突風が吹き荒れ、雲が陰り始める。
「貴様、私の前で嘘を吐くその意味を分かっていて喋っているのか?」
「う、嘘ではありませんっ!現に私は聖女の証である光魔術が使えますっ!」
「光魔術が使えるから聖女だと………そう申すのか?」
「そうですっ!!」
「ならば火の魔術を使える者は火の聖女なのか?水の魔術を使える者は水の聖女なのか?そんなわけなかろう。光魔術そして闇魔術も無数にある一つの魔術の色、そのなかの一色でしかない。それ以上でも以下でもない。ましてや光魔術を扱えるから聖女などと名乗る事の愚かさすら分からぬそんな間抜けな者と何故私が契約をしなければならないのだ?そもそもの話、光魔術も魔術の色の一色であるという通り、別段珍しい物でも何でもない」
そしてドラゴンは怒りを隠そうともせず一気に喋ると、召喚したであろう女生徒へと光の柱が降り注ぎ始め、数秒後にはその光の柱が消える。
「これで私を召喚した女性は光魔術が使えるようになった。そなたの説明通りでは私のご主人様も晴れて本日より聖女であるな」
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