わたくしには関係ない事だ
絶対に泣いてなどやるものですか。
そして思い出す。
お父様が言っていた魔王召喚を。
例えわたくしを励まずだけの優しい嘘だと思っていても、その優しい嘘でほんの少しだけ気持ちは楽になり涙は引っ込んでいく。
ワイバーン等どうしたと言うのだ。
わたくしには魔王を召喚出来る(かもしれない)のだぞっと。
そしてわたくしはほんの少しだけなのだがここ二日間の中で一番楽になった気持ちでもって食堂へと向かう。
当然昨日の様なヘマはしたく無いので昨日とはタイミングをずらして食堂へと向かう。
そしてわたくしが食堂へと入った瞬間、食堂の空気が一気に変わる。
もうこの、わたくしが来ると空気が変わるのには少しだけだけれども慣れてきた気がするのだが、今回は違う意味でも空気が変わったのが見て分かる。
食堂にいる皆が皆やばい者を見た様な、今見たく無い者を見た様な、そんな表情をしていたからである。
わたくしも淑女である自覚がございますので食事時に一斉にその様な表情をされるというのは今までとは違うベクトルで傷つくというものである。
「あっ、やっと来ましたっ!待っていたんですよっ!遅いから料理が冷めてしまったじゃないですかっ!」
そんな事を思いながらわたくしが座れそうな、そして目立たなそうな席を探していると今一番聞きたくない声が聞こえてくる。
恐らくその声の持ち主が待っていて待ち人、恐らくカイザル殿下か仲の良いご令嬢が来たのであろう。
わたくしには関係ない事だ。
まだ食事を食べ終えていない事を残念に思いながらいたらいたで視界に入れようとするのだが声だけは防ぎようがなくわたくしの鼓膜を震わして主張してくる。
「ちょっとっ!聞こえないのですかっ!シャルロットさんっ!わたくしですよっ!聖女メアリーですっ!」
「おいっ!メアリーがわざわざお前如きに対して慈悲の心から呼んでいるにも関わらず無視をするとは何様だっ!?」
しかしながらわたくしの悪い予感は当たっていたみたいでその声の主が呼んでいるのはわたくしだったみたいである。
そしてその声の主に便乗してカイザル殿下がわたくしに対して怒りを隠す素振りもなく怒鳴りつけてくる。
「すみません。ですがもうわたくしはカイザル殿下とはなんの関係もないただの公爵家の娘でしかありませんもの。それに聖女メアリーとは今まで会話という会話をした記憶も御座いませんのでまさかわたくしの事を呼んでいるとは思いもよりませんでしたわ。それで、わざわざわたくしを呼びつける程の用事とは何でしょうか?」
誤字脱字報告ありがとうございますっ!
ブックマークありがとうございますっ!
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なななんとっ!!こちらの作品につきましても今現在カクヨムコン6恋愛部門週間11位と好成績でございますっ!!
まるで夢のような感じでございます(*'▽')




