激しい頭痛と怒りが込み上げて来る
「………へ?勝手にわたくしのサンドウィッチを食べないでください……ま…し」
そしてその足音が誰の者かわかる前にわたくしのお皿へ誰かが手を伸ばしサンドウィッチを鷲掴みにすると勝手に食べ始めでは無いか。
余りにもあんまりなその行動に流石の今のわたくでも抗議の一つでも言ってやろうとその顔を睨みつけると、そこにはわたくしのサンドウィッチを咀嚼しているカイザル殿下と、その行動を咎めるどころか褒め称える聖女メアリーがそこにいた。
「食べる気配が無いからお前の代わりに食べてやったんだろうが。残すのは作ってくれた料理人にも悪いしな。それに、まるで疫病神の様な扱いを受けているお前にわざわざこの俺が話しかけてやってんだ。感謝の一言も言えんのか?そんなんだから婚約破棄をされんじゃねぇのか?可愛くねぇ。婚約破棄されて少しは変わったかと思い、可愛らしさの一つでも有れば愛妾の一人にでもしてやろうと思っていたのだが何だお前?まるで変わってねぇじゃねぇかよ。何も反省してねぇのも手にとる様に分かるお前には失望したわ。元婚約者のよしみで下手な優しさを出して関わるんじゃなかったわ」
「あぁ、心を鬼にしてあえて嫌われ役をやるカイザル殿下。何と尊いのでしょうか。ですが私だけはカイザル殿下の人知れず傷ついたその心に気付き癒して差し上げます。シャーリーさんも元婚約者ならばカイザル殿下に感謝をする事です」
あぁ、わたくしはこんな屑とこんなバカ相手にパートナーを奪われた挙句に見世物の様に婚約破棄をされたのか。
腹が立つ。
殺してやりたい程に腹が立って仕方がない。
皆の前で婚約破棄をするだけでは飽き足らず、今度はわたくしを圧倒的な優位の立場から貶して互いの立場を見せ付け周りに分からせているのだろう。
気に入らない相手が例え公爵家の娘であろうと、あのランゲージ家であろうと手を緩める事はしないという事を。
そして自分の感情を隠す事もせず余りにも分かりやすい性格からくる、次期国王としては致命的な程の立ち振る舞いに激しい頭痛と怒りが込み上げて来る。
何で被害者であるわたくしがまるで加害者であるかの様に言われここまでコケにされなくてはいけないのか。
カイザル殿下を叩き回して聖女メアリーをブン殴り、奇声を上げながら爆発系魔術を室内であろうと関係なく気が済むまで行使したい衝動をぐっっっっと堪える。
わたくしは目の前の馬鹿猿共とは違い感情を抑える事の出来る人間であるのだ。
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