第34主義「役職名とあだ名」
6時間目授業【国語】
ガラガラガラッと音がして教室の扉が開いて担任藤森が教室に入ってきた。
今日は、テスト3日前と知らされたせいかクラスの連中全員がマジメに授業を受けていた。
あの心太でさえが、飯を食った後の魔の5時間目を耐え抜いたわけである。
「席つけー、授業始めっぞー」
藤森が着席を確認した後、点呼を済ませて授業を開始した。
「教科書63ページを開け!、えっと――」
「安藤の次だから、えーと」とかブツクサ言っていた藤森は、
頭をポリポリと掻き「【あ】の次だから【い】だっけな」と勝手に自己完結し言葉を続けた。
「委員長、教科書を読んでくれ!」
「あの…それは宜しいのですが……」
「ん?どうした委員長?」
「委員長とは役職名であって、名簿に載っている私の名前では無いのですが……」
「……あのな悪いのだが、名簿にも委員長で載せられているわけだ何故かな。」
え?ちょっ……何この学校!?
「そうですか、分かりました、ページ63で宜しいのですね?」
え!?…委員長それで納得しちゃっていいの!?
「千里に旅立て、路粮を包まず。「三更月下無何に入」と云けむ昔の人の杖にすがりて、
貞亨甲子秋八月、江上の破屋を出づる程、風の声そぞろ寒気也。」
スラスラと【野ざらし紀行】を読み上げる委員長。
凄いな…漢字の読みとかでつっかえないところが特に。
「よし、委員長良くやった席に着け、次は作者を「い」の次だから――」
という藤森のセリフを制して、我が親友が「はい!」と手を上げた。
「ん?どうした白瀬?」
「僕が答えたいです」
「おっ、自主性が合っていいな白瀬!成績5だ5!」
5取るの軽!!!
最高評価を1回の発言で認めちゃっていいわけ!?
それにしても凛が自ら手を挙げるなんて珍しいな
…なんて思って凛を見ると、自ら手を挙げたわりには、難しい顔をしていた。…はて?
そして、一瞬…ほんの一瞬だけだがニヤリとあくどい笑みのを浮かべた。
「ま…まつ…松葉翔です!」
へ?俺【野ざらし紀行】書いたっけ?……絶対無ーよ。
「あっ……間違えました、松尾芭蕉です……」
と訂正して、恥じた顔をしている凛。
【まつば・しょう】と【まつお・ばしょう】を間違えたってわけか?
……いや、違うな、絶対わざとだと思う。
その後の事を語ると…俺は何故かクラスメートに芭蕉というあだ名で呼ばれ始めてしまった。
勿論それについて凛を攻めたてたが――
「ごめんね、芭蕉…じゃなくて翔、わ・ざ・と、じゃなかったんだよねー」
だそうだ。
うむ、分かっているぞ親友、絶っっっっっ対にわざとだってことはな!!!




