第15主義「理由」
障害物競走は午前最後の競技かつ、我が親友が出場している競技である。
見学していると、心太が俺に疑問を投げかけてきた――
「翔さー、何で凛は障害物競走なんて選んだだよ?」
「いや、心太も障害物希望したではないか」
「俺は、リレーより楽そうだったからだぜ!」
自信持って偉そうにいうな心太!
理由がとてつもなく情けないから!
と、言っても心太が何でそんな事を言うのかは、よ〜く分かる。
網に足を取られて暴れている親友、理由は、それで十分だった。
「白瀬はさ、普通に走った方が速いと思うぜ」
「それは、俺も同感である」
「現在三位だぜ、こりゃやばいんじゃないか?」
「それは、同感しかねる」
「なんでだYO!」
何故か懐かしい気がするイントネーションで突っ込んでくる心太。
何故かと言われれば、俺は親友が障害物を選んだ理由を知っているからだ。
「まぁまぁ、心太よ、見てれば分かるぞ」
訝しげに睨んでくる心太の目線をよそにして俺は競技に目を向ける。
凛は、網をぶち切って抜け出し、平均台を通る。
そして、最後の直線に用意された最後の障害が選手達の前に現れる。
その瞬間、凛の目つきが変った――
「あれかYO?あれなのかYO?白瀬が障害物を選んだ理由って、あれなのかYOOOO!?」
そうだ、心太。
あれなのだよ、凛が障害物を選んだ理由は………アンパンだった!
アンパンを見た瞬間、我が親友は速力をあげ、ぴょーいとジャンプした。
そのまま口を大きく開けて、がぶっとアンパンに食らいついた。
………しかも6人の選手に用意されたアンパン全てをだ。
我が親友は、そのまま笑顔で口をもぐもぐ動かしながらゴールテープを切った。




