トラウマの世界で運命のはじまり。
土の匂いがする。
揺れる大地。鳴り響く轟音。鼻を刺す様な異臭。
何故だろう?知らないはずなのに知っている
私は この感覚を ...知っている。
思い出した様に 後ろを振り返った。
そこには 真っ黒に焦げた人の形をした残骸。
みむは思い出した。
今まで 脳の奥の奥に閉じ込めてた
これは あの夢だ。
漠然とした輪郭しか覚えてなくて
誰にも言葉で伝えれなかったあの夢だ。
恐怖が地面から体の中心部に伝わり
心臓が限られた鼓動を 無駄に消費する。
いや、でも これは 夢だ!
心臓に手を当て 深呼吸をした。
辺りを見回すと そこら中 穴だらけである。
...やっぱり。私は...知っている。
ここに居てはダメだ。
まみは 急いでその場から離れようとした。
一歩踏み出す その瞬間何かの気配がした。
誰かいる...。
鳥肌になって 人間の地表に現れる
小さな山脈。振り返りもせずに
まみは 一目散に 走り出した。
ヤバイ。この後何が起こるか知っている。
夢だと分かってるのに 遺伝子レベルで
恐怖している。とにかく逃げないと。
「待って!!!」
...人の声がした。みむは止まる。
こんな展開なんて私の夢にあったっけ?
私の夢はとにかく孤独な世界で
コンクリートの中 一人で 永遠に流れなくなる夢だ。
"誰か"なんて 存在する筈が無い。
「ねぇ、何で逃げるの!!」
男の声がした。
足音と共に近付き ひょいと私の前に立った。
「これ、君の夢でしょ??
なんで逃げるんだよ!!」
意味の分からない質問だった。
「あ、え、その はい。私の夢なんですけど
その...え、はい??」
「いや、一番上にの カテゴリに
君の夢があって ダイブしたんだけど
いやーこれ酷いね 笑笑
どんな 夢見てるのよ 笑」
カテゴリ?ダイブ?
まるで意味の分からない事を言っている。
「その...私の夢だって事は分かるんですけど
ダイブとか カテゴリって なんの事ですか?」
男が余計 困惑したような 不思議そうな
顔をした。
「え、君 dreamers使って 自分の夢を
インバイトしたんじゃないの??」
「インバイト? え、dreamers...??」
dreamersがさっき家に届いてた事を思い出した。
「あの?どうゆう事なんですか?」
まみは質問を続ける。
「あ!初ダイブなのか!でも 一発目でインバイトなんて 凄いね!えっと 説明するね!
dreamersには 2パターン遊ぶ方法があるの。1つ目は 人の夢の中に遊びに行く ダイブ!2つ目は寝てる時に 自分の夢を見せるインバイト!君は インバイトしてて 僕はその夢にダイブしたって事!」
淡々と話す男に 目を丸くした。
「いや でも私!そんな覚え無いんです!
確かに dreamersは 今日手に入れましたけど
電源も入れてないし その、初期設定とか
なんとか...まだ とにかく何もしてないんです!
気付いたらここに居たんです!」
焦って早口になる。
「そんな事言われてもなぁ。
昼からインバイトしてる ユーザーが
あんまり多くなくて君にダイブしただけだから。」
どこでどうなったかを 改めて考えて
今日の 行動をなぞっていく。
「あー分からない!何もわからない!
覚えてない!!!あー!!え、なんだこれ!」
記憶がすっぽり抜け落ちてるかもしれない不安に
襲われる。
「おれ ユメト!よろしくね!」
男は名乗った。
「何も分からないんだったら
これから分かればいいじゃん!
おれ ユメト よろしく!君は?」
この男は ユメトと言うらしい。
「みむ。よろしく」
これが ユメトとの出会いだった。