嘘は夢のはじまり。
みむの自己顕示欲と嘘と夢の物語。
みむは自己顕示欲の塊だ。
SNSでバズった文章を改変し あたかも自分の身に降りかかった現実として投稿する日常だ。
「みむぅ〜!昨日の金髪の男の人ってどこのカフェの人なの?!」
昨日の投稿に出した 空想の男性だ。
「原宿のカフェに昨日仕事で行ってたんだけど 知り合いが連れてってくれたから場所は分からないんだよね!」
テンプレートの様な嘘で塗り固める。
「えー!行ってみたかった〜!分かったら教えてね!」
もちろんだ。教えれるなら教えたいものだ。
携帯を取り出すタイムライン。見なくてもいい情報が羅列されている。
何故だろう?不特定多数の見知らぬ人間とで 殴り合いの競争をしている気分になる。
閲覧数、コメント量、フォローフォロワーの比率 何もかもがスカウターの様に
個人の力が見える世界は 常にテストの点数を開示されてる様な ムズムズした感覚だ。
そんな事を考えながら上の空でスクロールして ふとスマートフォンに目を向ける。
Dreamers発売!あなたの夢を共有しよう!
企業のプロモーション投稿だ。新しい形の仮想現実体験型ゲームらしい。
ゲームなんかにハマる人間は現実が惰弱なゴミだ。そんな持論を持って
キラキラした現実を構築してるまみにとっては全く興味外の話である。
この投稿も共有しよう!抽選で100名さまに Dremersをプレゼント!
既にこの投稿は全世界から10万以上の共有をされている。
なんだかんだ言って日本が誇る 世界的企業だ。注目度は高い。
一度は没落しかけたが アプリケーションゲームや保険で民衆から巻き上げたお金で
虎視眈々と新ジャンルの覇権を取るべく開発していたのかと思うと
バカな課金中毒と惰弱なジジババも国の礎になるんだと SNSで見せれない顔でほくそ笑んだ。
大して興味は無いが 共有するだけタダだ。
当たったら売ればいい。現実世界で活動するのにはお金が必要だ。
洋服、写真映えする美味しくも無い甘いだけのスイーツ くだらないと分かっていても
自分の戦闘力を上げる事に余念がないまみにとっては もはやそれらにお金を使うのは
ライフワークみたいなものだ。
勉強だけが自分の尺度を測っていた時代ではない。もはやSNSも自分を測ってくれる尺度なのである。
「4コマ目そろそろ始まるよー!」
遠くから声が聞こえる。スマートフォンの画面を閉じた。