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国境越え②・国境沿いの街

 人類圏に生きる大半の人達にとって国境は無縁の境界線になる。と言うのも生まれた村や町から離れる場合はあっても別の国に移ろうとする人はいないからだ。国を股にかけて生活する人なんてそれこそ商人や旅人ぐらいなものだろう。

 国境は国にとっても戦略上、経済上、そして社会上で最重要な境界線になる。人材の流出がまかり通れば繁栄している豊かな国に移ろうとするのは当然の流れと言える。それは出て行かれる側も入って来られる側にとっても不利益を伴う。

 だから人の流れは国境で厳重に管理される。国から許可をもらった者でなければ通れなかったし、不法に国境を越える輩には厳罰が与えられる。確か国境なき未知なる旅が出来る的な触れ込みのある冒険者も公的機関から一定の評価を頂かないと国境を越えられなかった筈だ。


 西の公爵領であるダキアは人類未開領域が広がる東側から旧キエフ公国を跨いで魔王軍に攻め込まれた苦い経験がある。その為、帝国では西方諸国と接する北西方面と同じく北東方面は戦略的重要箇所に挙げられている。国境には帝国軍およびダキア公爵私兵合わせて相当の規模が配備されていて、現状魔王軍に攻め込まれてもそう簡単には突破できない戦力に上っている。

 その為、国境沿いの街は地方としては比較的発展している。面白いのが帝国本土よりも隣接する国の文化の方が色濃く反映されている点か。広大な帝国で文化や風習が統一されている方がおかしいのだけれど、こうした何気ない点で普段との違いを目にするのは新鮮な気持ちになる。


 西の公都を出発して一週間ほど経った頃、ようやく帝国と旧キエフ公国の国境が見えてきた。本来もう少しかかる距離の筈だけれど、馬車を少し急がせたおかげで日程を短縮出来た。国境を越えればわたしにとって未知の世界が広がっている。

 そんな思いを馳せていた所、思わぬ光景が見えてきた。


「……おかしいですわね。来る時はあんなに発展していなかった筈ですのに」

「確かに……随分と規模が大きいですね」


 国境の関所では手続きに多大な時間を要する為、手前に宿場町が形成される事が多い。今わたし達が馬を走らせる街道は旧キエフ公国公都とダキア公都を結ぶもの。物流や人流はそれなりに多いから宿場町が相応の規模あるとは思っていた。


 けれど、わたし達の前には結構な人口がいるような街並みが広がっていた。


 どういう事だ? と首を傾げていると、街の入り口で待ち構えていたのはなんとイゼベルではないか。彼女はわたし達の接近に気付くとこちらに向けて大きく傘を持った手を振ってくる。


「はい、長い旅お疲れさま」


 御者に頼んでイゼベルの手前で馬車を停めてもらった。イゼベルは微笑みを浮かべたまま上げていた傘を地面へと突き立てる。彼女の服装は公都で別れた際と全く変わらないドレス風のローブ。どう斜めから眺めても長旅には不向きな格好だ。

 まあ、きっと彼女は例の空間転移魔法で一瞬にしてここに来たんだろう。ずるいものだ、どうせだったらわたし達もここまで瞬時に移動させてもらえば日程を大幅に短縮できたのに。


「国境警備には話は通しているけれど、通行許可が下りるのは早くて明日の朝みたいね。今日はここで一泊していきなさい」

「……イゼベルさん、どうしてここにいるんですか? いや、ここへの移動は魔導って分かるんですけれど」

「だって私、と言うより西の公都協会支部長は西の公爵領、つまりダキア全般の統括ですもの。ここも私の担当範囲なんだけれど?」

「いや、それは分かっているんですけれど……」


 何の用でイゼベルがここにいるんだろうか? わたしがそう言い切る前に彼女は畳んだ扇で街の方を指し示した。そちらの方では夕暮れになりつつある空模様の下でも働く人達の姿があった。何やら住居を建てているようだけれど、建物は非常に簡素な作りをしているように見える。


「一週間ほど前の会議でキエフ側の難民を受け入れるってなったでしょう。けれど公都付近にある旧死者の都は大規模だけれど距離が離れすぎているのよ。馬を走らせても一週間前後かかるんだから、子供や老人を含めて大人数の移動になればどれだけかかるやら」

「確かにそうですね」

「それに情勢が安定したらきっと故郷に戻りたがる人達も出てくる筈でしょう。そういった一時的に避難させる人達を領土の奥深くまで入れるつもりはないんですって」

「だから国境に近い街ではなく国境の宿場町の規模を大きくして難民の受け皿にする、と」


 要はこの一週間で各国境の宿場町に対して規模拡張を実施していたわけか。最も一気に流入させると食糧とか治安の問題が出てくるだろうから、ある程度制限しつつ少しずつ受け入れていく形にならざるをえないだろうけれど。

 それにしても随分と変わった技法で建築作業を進めている気がする。土台を作って床を並べたら次に壁を組み立てているように見えるけれど。わたしの頭に思い浮かぶ建造模様は大工が木材を切るとか煉瓦など少しずつ組み上げていくものだ。

 だから、こうしてある程度形になった部品を組み合わせるパズル的なやり方は考えもしなかった。


「ロト曰く、プレハブ工法だそうよ。あらかじめ床、壁、天井を工房で製作して現場では組み立てるだけなんですって」

「これもロトさんの工房の作品なんですか!?」

「勿論大量生産にあたって材料とか労働者は提供しているわよ。図面通りに量産すれば済むだけだから素人にも十分作業が出来るし。ここ以外の国境沿い宿場町でも並行して作業が進められているわよ。帝国への永住を希望する人も一旦こうした仮設住宅に収容して、時期を見計らって旧死者の都に移動、または故郷に帰還してもらうそうよ」

「へええ……」


 驚くばかりだ。わたし達がただ移動していただけの期間でここまで色々と物事が動いていたなんて。決断力と手際の良さは折り紙付きというわけか。これだとキエフの公都に到着する一週間後にはどれだけ進展しているか分かったものではないな。

 馬車の中でも聖女チラが感嘆の声を上げているのが分かった。凄まじい勢いで街並みが出来上がっていく光景に驚くばかりなんだろう。


「ちなみにアタルヤの軍備は完了して出陣済みだから。公都から昼夜問わずで進軍するらしいから、マリア達から一週間ほど遅れての現地入りを予定しているみたいね」

「は、早すぎませんか? だって今回は防衛戦じゃあなくて遠征ですよね?」

「彼女達に兵糧は要らないもの。食料を除く兵站だったらそうでもないでしょうよ」

「そ、そうでしたね。失念していました」


 アンデッドの、とイゼベルは付けなかった。十中八九聖女チラ達がいるからアタルヤ達の正体を伏せておく意図があるものと思われる。


「ちなみにどれぐらいの規模の軍勢を派遣するんですか?」

「先発軍としての体を成すように五万ほどを用意した、って聞いているけれど?」

「「ご、五万!?」」


 イゼベルが平然と言ってのけた数値にはチラもプリシラも驚くばかりだった。イヴですら目を丸くしている。


 それもそうだろう、公都の常駐軍は城壁防衛や治安維持の兵をかき集めてせいぜい一万ほど。ダキア全土に配備されている部隊を結集させて数万だろうか。五万なんて数値は小国相手に全面戦争を起こせるほどの規模だろう。とても一週間で集える人数ではない。

 まあ、わたしはその種を分かっているけれど。イゼベルが何らかの形で全く別の地域に従事させているファントム兵を彼女の魔法で集結させたんだろう。それが総勢五万名なのはさすがに驚きものだが、素体は人の死骸なのだから、決して無理な数値ではない。

 それに五万の規模はあくまで出発の段階。不謹慎だが死者を多く続出させている旧キエフ公国ではアンデッドの素材となる遺体が腐るほどある。いざとなれば現地調達って手もあるだろう。そうなればこれまでの歴史上勃発した戦争での犠牲者を考慮に入れて、総勢数十万相当に膨らんでも不思議ではない。


 ……これ、もう帝国軍本隊の出番ないんじゃないかな?


「失礼ねえ。犠牲になった人達の眠りを無理矢理呼び起こすわけないでしょうよ」

「丸わかり!?」

「あ、あの、魔導師様!」

「イゼベル、敬称不要でいいわよ。それで何かしら?」


 チラは馬車の扉を開けてイゼベルと面を向き合わせた。チラは何処か怖気づきながらも決意を秘めた瞳でイゼベルを見つめている。


「キエフ公国から避難してきた人達……ちゃんとこちらに迎え入れても、もらえていますか……?」

「ええ、国家戦略上重要な拠点になる国境には魔導具の通信機器が設置されているから、キエフ公爵の指令は即日展開されていたわよ。最も無条件には受け入れないで犯罪歴の洗い出しや身分確認もあって手続きが難航しているから、国境前で立ち往生している人が続出しているのが難点だけれどね。それでも概ね受け入れは進められているわよ」

「そ、そうでしたか……よかったぁ」


 チラは胸をなで下ろす。その表情には安堵の色が広がっていた。彼女がいない間に赴任した地域の人達の安否がどうなったかを心配していたようだ。ただ派遣されたから義務的に奉仕に従事します、ではなく、自分から助けたいと思うから率先して行動しているようだ。

 イゼベルはそんなチラに対して、微笑みながら扇で先ほどの建設現場の方を再び指し示した。もう一度確認してみると、いつの間にか作業員達の手が止まり、並んでこちらの方……いや、聖女を見つめているではないか。誰もが嬉しそうに笑っている。


「現場監督は帝国から出しているけれど、工事作業員は主に避難してきた旧キエフ公国の人達で構成さてているわ。だから、こうして帝国に避難できたのは聖女のおかげって教えてあげたら凄く喜んでいたわ」

「え? え? そ、そうなんですかぁ?」

「聖女様のご到着を首を長くして待っていたみたいね。今日は大歓迎されるんじゃあない?」

「そう、でしたか……!」


 チラは大慌てで馬車から飛び降りると、建設作業員の方へと駆け寄っていく。プリシラも馬車から躍り出ると、彼女を素早く追いかけだした。チラが作業員達に近づくと彼らは諸手を上げて聖女を歓迎する。取り囲んで一斉に彼女と言葉を交わし、しまいには彼女を肩に担ぎ上げる。チラはとても恥ずかしがりながらも嬉しそうに頭を下げ続けた。

 馬車から顔をのぞかせるイヴとわたしの目が合った。イヴは苦笑いを浮かべつつ肩をすくめてみせた。わたしも頷いて同意を示す。


「仕方がないわね。私達はこの馬車を宿泊施設まで移動させて、国境の関所の手続きを取るとしましょう」

「そうですね。この様子ですときっと夜まで盛り上がってしまうでしょうし」


 どうやらわたしは聖女チラに対して勘違いをしていたらしい。てっきり聖女と呼ばれるからチラは旧キエフ公国では崇められるか敬われている存在とばかり思っていたけれど、あの様子では頑張っている健気な女性として慕われているようだ。キエフの人達にとって聖女チラとは別世界の高みにいる存在ではなく、身近で手を差し伸べてくれる人なのだろう。

 わたしにはチラとその周囲の人達の関係は微笑ましくあり、そして羨ましく感じた。



 ■■■



 正直な話、宿屋が取れるとは思っていなかった。何せキエフからの避難民受け入れで非常に忙しく回っている状態で、満室ばかりと思っていた。相部屋ならいい方、雑魚寝も許容範囲だが、最悪家畜と同部屋も覚悟していたほどだ。その場合寝袋使って外で寝るつもりだったけれど。

 ところが既にわたし達の到着は伝わっていたらしく、部屋が確保されていた。さすがに四人一組で同じ部屋になるようだけれど、寝床が確保されているだけ快適と言っていい。


 荷物を部屋に置いてきたわたし達は地上階の酒場で夕食をつついていた。さすがに帝都や公都とは比べられないけれど、食べると中々素朴だけれど美味しい料理だった。正直期待以上だったので舌鼓が打てる。


「どうも関所の連中はキエフからこっちへの入国審査で終日忙しいらしいわ。イゼベルが言っていた通り帝国から向こうへは明日にならないと通れなさそうね」

「そ、そうでしたか……。今日中にキエフ側の最寄町まで行けると思っていたんですけれど……」

「まあ、一週間の長旅で疲れた身体を休めるいい機会って思えばいいんじゃあない?」

「そ、そうですね。前向きに考えないとっ!」


 この一週間、馬を休ませたり食材を買ったりする以外は休憩をはさまずに馬車を走らせつづけた。普通なら夜は治安が悪くなるので宿場町に泊まるものだ。けれどそんな常識お構いなしに夜通し走らせつづけたものだから、睡眠は馬車の中なもので疲れはたまる一方だった。

 ちなみに強行した理由はプリシラなら夜でも遠くまで見通せられ、賊や魔物が現れる前には既に先制攻撃で片付けてしまうからになる。現にこの一週間で何度か彼女の矢が悪意ある者の射抜いた。わたしも見える相手には攻撃魔法をお見舞いしてあげたけれど、彼女の場合はわたしと敵の捉え方が違うようだ。


 そんなわけで、今日は一週間ぶりとなる寝床に入れるようになったわけだ。

 宿屋自体は帝国に点在する宿場町とそう大差は無い。地上階が酒場になっていて宿泊客以外にも地元の客が良く訪れる場になっている。二階部分が客室で、ここはちょっと羽振りのいい人向けの宿泊施設なので全て個室になっている。最も、相部屋はあり得るらしいが。


「ちょっとお伺いしてみたのですけれど、この街には公衆浴場がある他、この宿にも湯風呂があるそうですわ」

「えっ? こ、公衆浴場があるんですかぁ?」

「いや、そりゃあありますって。ダキアは大昔に帝国領になっていますから風呂の文化は根付いていますし。辺境の地でも例外じゃあありませんよ」

「この一週間水で濡らした手拭いで拭くぐらいしか出来なかったものね。汗や垢は落としたいわ」


 この一週間でわたし達は随分と打ち解けられたと思う。馬車の旅では語り合うぐらいしかやる事もなかったのもあるけれど、沈黙に支配されずに自然と言葉を交わすようになったのは素直に嬉しいものだった。

 酒場は作業を終えた旧キエフ公国の人達や当番を終えた国境警備兵の人達でにぎわっていた。酒を飲み明かすテーブルもあれば食事もほどほどに会話でにぎわうテーブルもあり、色とりどりと言える。たまにこちらへ気さくに声をかけてくる人もいて、その時は世間話で華が咲いた。


「俺達の聖女サマに乾杯だーっ!」

「聖女サマ最高ーっ!」

「え、ええーっ!?」


 みんな酔っているせいもあるかもしれないけれど、チラが殿方から妙な方向に信仰されている。手の届かぬ高貴な聖女ではなく身近で信望厚い感じだろうか。個人的には高根の花より断然いいと思うし、チラも戸惑いながらも迷惑にはせずに嬉しそうに皆と言葉を交わしている。


 ちなみにイヴもプリシラも酒を結構飲んでいるようだ。イヴはわずかに気分が高揚しているのか声の張りが少し変わっているようだけれど、プリシラは全く変化しているように聞こえない。わたしはほろ酔いが一番気持ちがいいのでほどほどにしている。

 酒に飲まれるのは主を忘れる偶像崇拝、とか聞いた覚えがあったので修道女のプリシラが遠慮なしにジョッキに注がれたエールを飲み干す姿には驚いたものだが、ざるで酔わないから遠慮なしなのか。


「ところでプリシラ。ちょっと聞きたかったんだけれど、いいかしら?」

「答えられる範囲でいいなら構いませんわ」


 イヴは手元でフォークの先をプリシラに向けながら、頭をもう片方の腕で支えるように顎を手に乗せている。行儀が悪い事この上ないが、別に酒場とかテーブルマナーとは無縁の世界だし誰も咎める者はいない。

 だが、酔って陽気になったイヴの口からは……。


「――投擲手バラクがいるって、本当?」


 ――恐ろしく底冷えした言葉が投げかけられた。

 口元は笑みを湛えたままだけれど、目が全く笑っていない。手洗いから戻ってきた酔っぱらいが脇目で彼女を視界に映したのか、軽く悲鳴を上げていた。


「ええ、公爵代理閣下の庇護下にあると聞いていますわ」


 プリシラはそんなイヴを全く意にも介さずに淡々と答えながら、店員に追加のエールを頼む。明るい元気な声で返事する店員に空のジョッキを返しながら、まだ酒の残っているジョッキに手を付ける。どれだけ飲む気なんだろう?


「聖女様は何度か顔を合わせた事があるらしいのですが、私めがあの方と行動を共にするようになってからは一度もお会いしていませんわね」

「ふぅん、アイツったらそんな辺鄙な所で何しているのかしらね? 研究に勤しみたいならそれこそ発展した大国に根をおろせば良かったのに」

「不安定な情勢下だからこそ、ではありません? ある程度やってしまっても誤魔化せますし」

「それにしても聖女サマは随分とアイツに入れ込んでいるようだったけれど?」

「彼も私達と旅を共にした救世の英雄ですし、憧れるのは不思議でもないでしょう。最も、聖女様に本性を知られれば人類圏の果てだろうと異端審問官を差し向けられて拷問にかけられる危険性がありますし、必死に上辺を取り繕っていらっしゃるんでしょうけれど」

「だとしたら……」


 アイツの魂胆を知った時、あの聖女はどうするんでしょうね?

 そう冷たく述べたイヴは愉悦に彩られた笑みを浮かべた。


「アダなら最後まで更生させられなかった己の無力さに嘆き悲しみながらも容赦なく異端審問にかけるでしょうね。聖女様はああ見えてもお強い方ですから、あいにくそこまで悲観にくれたりはしないと思いますわよ」

「……プリシラったら相変わらず張り合いがないわねえ」

「勇者様、しばらく会わないうちに愉悦を嗜まれてしまって。アダム様に似てきていませんこと?」


 プリシラはそんなイヴも容易く受け流して調子を崩さなかった。長年連れ添った気心知れた仲、のようにわたしの目には映る。

 打算で共に旅をしていただけのパーティー、それが勇者一行。プリシラはそう語っていたけれど、今こうして気さくに会話を広げられるのはその世界を救う旅路があっからこそだろう。わたしもイヴもプリシラもその時から大きく変わってしまったけれど、その過程を経て今の時間があるのなら、それは重要な意味があったんだと思う。


「ちょっとマリア様。黙って嬉しそうにしていないで、貴女様からも何か言ってやってくださいまし!」

「マリアー。プリシラが素っ気なくて悲しいわー」

「全く、イヴは少し飲み過ぎじゃあありませんか? プリシラもそんな水みたいにエールを煽っていたら――……」


 少なくともわたしは今のわたしが本当に楽しい。イヴにとってもプリシラにとってもそうであってほしいと思うのは我儘だろうか?

お読みくださりありがとうございました。

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