登場国家紹介
一旦整理の為に主要国家の箇条書きを記します。
ネタバレ含みますのでご注意を。不定期に更新します。
【東レモラ帝国】
・レモラ帝国
最盛期には人類圏の統一を果たしていた開国から千年以上の歴史を持つ由緒正しき帝国。国名は双子の神祖のうち勝利した弟の方から。大帝国時代に東西に分離した後、西側が滅亡して東側までが今日まで存続している。
数百年前から宗教上の見解の相違を理由に他の人類圏諸国とは袂を分けている。東に広がる獣人国家諸国の侵攻を度々受けていたが、第一回人類連合軍遠征で西方諸国より攻められて多大な被害を被った。その際に帝国単独で人類のくくりに獣人を含む解釈に変更し講和、第二回人類連合軍遠征を撃退した経緯がある。サライが皇位に就いた際に利権を貪る旧体制の粛清と共に政教分離と信仰の自由を押し進め、獣人国家の半分以上を帝国に組み入れる事に成功した。国教はそのままだが帝国全土が比較的信仰や職業選択等の自由度が高い地域となっている。魔王軍侵攻の際は帝国一丸となって応戦したため他の人類圏諸国より被害は少ない。
経済的にも文化的にも最盛期並の隆盛と栄華になりつつある。科学や魔導の分野でも西方諸国に対して頭一つ抜けている。帝都ネアレモリアは多彩な宗教、文化、種族で賑わう国際都市となっている。が、それはひとえに名君と評判の女帝サライの統治下である要素が強い。後の時代までは繁栄は維持されないだろうと専門家の意見は一致している。
・ダキア公国
大帝国時代より帝国の属州だった地域。大帝国が東西に分断した後は東帝国側領土となり、以後帝国が多くの属州を失った時代も共に歩んできた。ある帝国の権威が大きく衰えた時期に交渉の末に自治権を大きく拡大して現在まで続く三公国制度の基礎を築いた。
南側以外を西方諸国と国境を接している為、帝国への陸路の玄関口でもある。交流も他の地域より盛んに行われているが、逆に西方諸国から侵攻されて度々晒されていて領土が戦火に包まれている。また人類未開発領域にも近い為魔の者の脅威に何度か怯えている。本編開始より三年前にも魔王軍の蹂躙で壊滅的被害を受けている。
本公国に住む住人のほとんどが西方諸国の認識である人類にあたる。本編第二章までアンデッド軍発生の異変が起こっていたが、解決後は旧死者の都も都市として栄えるようになっていったもよう。最近代替わりが起こった。
・パルティア首国
大帝国時代より帝国と敵対してきた獣人の住む地域の国家。帝国三公国制度の一角を担う西の公国は数百年前に滅ぼされた上に公爵家の娘達は悉く獣人達の奴隷または寵姫にされた。パルティア首国の首長一族はその系譜にあたる。
君主は多くの妻を持ち多くの子を生し、継承者には最も優れた者を選ぶ。その為継承をめぐり度々兄弟間で血で血を争う事態が起こっている。現君主のヘロデは政治に興味が無かったので早々に脱落宣言をして、北部の人類未開発領域から攻めてくる魔王軍への防衛戦に明け暮れた。が、軍人や市民からの人気が高い事を利用して一人の姉と弟が彼を担ぎ上げて他の兄弟姉妹を謀殺、ヘロデを君主に据える。姉は女性初の宰相、弟は大臣に収まって政治を一手に引き受けるが、ヘロデは独自に信仰の自由を条件に帝国との併合を選んだ。
経済的には既に単独で西方諸国どころか帝国をも凌いでおり、首都のパルミラは文化、文明的に人類圏の中で最も進んでいる。現在帝国との関係は良好で交易の往来も多い。住人の大半が獣人。人類とは別の種族が生活する東方諸国との交流も盛ん。だが帝国との融和は皇帝サライと首長ヘロデ一代限りで次代ではその時に更新するか否か判断すると取り決めているため、今後は不透明。
・ケメト首国
大帝国時代に南端の属州だった地域。帝国三公国制度の一角を担う南の公国は数百年前に獣人達に滅ぼされているものの、ケメト首国の君主の家系は政略結婚により南の公爵の系譜ともなっている。皇帝サライが即位の際真っ先に三公国制度の復活を掲げ、帝国と併合した。ただしパルティアと同じく一代限りであり今後はその時を見極めた後の予定。
第一回人類連合軍遠征の際に獣人国家群より奪われた聖地の奪還を最優先事項として掲げている。これは自分達こそ獣人の盟主との自負から。現首長のセトは名君と称えられており、悲願が達成されるのではと多くの獣人達から願われている。
住人は獣人が多いが他の人類も少なからず過ごしている。大河や海沿いに文明が築かれたのもあって領土の大半を占める砂漠にはほぼ誰も住んでいない。大河中流はケメトの勢力範囲外の獣人国家群があるものの、上流側は難所急流等があり獣人を含んだ広義の意味の人類圏範囲外である。ケメト以前からこの地域を支配していた国家が度々遠征をしているものの未だ源流には到達出来ていない。
・キエフ公国
人類未開発領域に接する西方諸国の東端。人類に幾度となく殺戮と破壊をもたらす魔の軍勢は必ずキエフか北のルーシ公国へとまず攻め込む為、人類史上この地域に強国が築かれた試しがない。広大な領土を持つものの実際は数多の爵位持ちの貴族達の寄り集まりという性質が強く、キエフ公爵はその盟主に過ぎなかった。現在のキエフ公国は一年前の魔王打倒により魔王軍をこの地域より退けて人類連合軍が再建したものになる。その役目は未だ勢力を保つ魔王軍からの防波堤の意味合いでしかなく、軍勢も西方諸国に頼った状態に陥っている。
現公爵のエステルは本来キエフ公国を成す侯爵に嫁いでいたが、魔王軍の再侵攻で公爵家の者が悉く生死不明となった為に暫定的に爵位を継いだ。侯爵である年齢が大きく離れた夫や生き残った貴族達と共に懸命に祖国と民を守ろうと務めている。とある出来事をきっかけに帝国に併合、第四の公国となる。
度重なる戦火により経済的にはそこまで豊かではない。公都キエフと第三都市オデッサ以外は人口密度も薄く、魔王軍を退けた後も魔の者が跋扈する地域が多い。大公国次代の国土の何割かを占めていた大河東側は現在でも魔王軍の占領下にあり、硬直状態が続いている。
【人類連合諸国】
・パラティヌス教国
大帝国時代の帝都だったレモリアを聖都とする教会総本山のある宗教国家。実質的な西方諸国の主導的立場にある。ただし教国としての歴史は浅く、教会指導者の教皇の私領に小国家群が併合して建国された。国としての体を成したのはここ最近列強が教会の影響力を受けなくなってきた為にある。
その教え自体は千年以上の歴史を持つが教会としての組織を形成したのはそれから数百年を経てから。西レモラ帝国が魔王軍の侵攻で滅んだ際に西側の人々が縋ったのが宗教であり、それから自然と教会の権威が強くなっていった。一時期は各西方諸国の国王より上位の立場にあったが今は指導者としての意味合いが強い。
東レモラ帝国とは互いを異端扱いしているものの断交している程ではなく貿易は活発に行われている。帝国が獣人国家群との度重なる戦争や騒動で疲弊していくのとは対照的に徐々に富を蓄えていき、今や西方諸国一丸とすれば帝国を凌ぐほどとなった。ただし教会の教えが文化や文明に多大な影響を及ぼしているせいで科学や魔導の分野では大きく後れを取っている。
聖女とは主の代弁者であり奇跡の体現者。いつの時代も今代の聖女を見つけ出して崇め奉る事を命題として掲げている。今代の聖女は双子の姉妹アダとチラ。共に人類圏諸国への奉仕と布教に従事しているため、教国の滞在時間は短い。
・アヴァロン連合王国
魔王軍の侵攻で故郷を追われた民族が新天地に築いた国家群の中の一つ。現地民族の国家群をまとめた赤竜の騎士王の軍勢に大敗を喫したり七王国が乱立したが、最終的には白竜の覇王を祖とする国が統一を果たした。現在の王家までその血は受け継がれている。ちなみに覇王とは小国家群をまとめた王の中の王の称号。
西方諸国が人類と呼ぶ四種族、人間、エルフ、ドワーフ、ホビットの全てが住んでいる。それぞれが独自の文化を持っており交流こそあるものの混在はあまりされていない。よってそれぞれで拠点とする集落や町があり、種族に富んだ風景ではない。
現在の国王が赤竜の騎士王に憧れを抱いているのもあり円卓が象徴とされている。国の実力者達を結集した聖堂騎士は栄光と繁栄の為に尽力する。至高の命題はかつて純粋無垢なる騎士のみ手にしたと伝えられる聖杯の入手。
なお、そんな浮かれた国王と取り巻きを快く思わない者達も民社交界問わず少なからずいる。国王の娘エリザベトも聖堂騎士ではあるがその一人。
・ガリア王国
人類圏西方諸国の強国の一つ。西レモラ帝国滅亡後に西方諸国で初の大国となった。本編登場予定なし。
・神聖レモラ帝国
人類圏西方諸国の強国の一つ。西レモラ帝国滅亡後に新たな権威の象徴として建国された。本編登場予定なし。
・ルーシ公国連合
人類圏国家の一つで人類圏東端でもある。キエフ大公国同様に多くの貴族領土の集合体。度重なる魔王軍の侵攻で国土は壊滅的被害を受けており、魔王打倒から一年経過した本編時点でも人類連合軍が掃討作戦に明け暮れている。未だに領土はキエフ公国以上に魔の者が跋扈しており非常に危険ではあるが、逆に力試しや報酬での一攫千金を狙う傭兵や冒険者達が集まりやすくなっている。
現在の公爵家は神聖レモラ帝国に亡命していた本家ではあるが、ほぼ西方諸国の傀儡。西方諸国の影響を駆逐したキエフの公爵エステルとは対称的である。
・ビジゴート王国
人類圏国家の一つで人類圏西端。南西部に広がる獣人国家から土地を奪還すべく国を豊かにしたり戦いを繰り広げている。
・ポラニエ王国
人類圏国家の一つでダキア公国の北側に位置する。ルーシ公国を壊滅させた魔王軍の脅威に度々晒される歴史を持つ。本編登場予定なし。
・マジャル王国
人類圏国家の一つでダキア公国北西部に位置する。本編登場予定なし。
・シオン王国
人類圏国家の一つで第一回人類連合軍遠征の際に聖地に建国された。東レモラ帝国の南東、パルティアの南西、ケメトの北東に位置する。人間にとって聖地であるように獣人達にとっても聖地のため、聖地奪還がここ数十年に渡る獣人達の悲願となった。周りを獣人国家群に囲まれている上に西側の海は帝国勢力範囲のため、経済的発展は西方諸国や教会の支援で成り立っている。大義名分を掲げながらも文化文明的には周辺よりあまり洗練されているとは言えない。
【その他】
・崑崙
人類圏東端の帝国より更に東、絹の道の終着点にある東の大国。北西からの魔王軍と度々交戦している。本編登場予定なし。
・暁国
崑崙より更に東、極東の島国。魔王軍の勢力はこの国の北にも迫りつつある。本編登場予定なし。
・ガイアナ
本来国名は存在しない。対外的な説明の際に便宜上呼称しているだけ。世界樹イルミンスルを中心とする広大な森林に過ごす森の住人の集落群を指す。森に住む種族群をナイトエルフとしているため、単一の種族ではない。人類圏とは大洋を隔てた全く別の大陸に位置している。森林の外に住む種族達からは神同然に崇め奉られている。現にナイトエルフは個の生命体として最も完成されており、寿命も長く精霊術等の神秘にも長ける。森を始めとする自然の守護者を自負しているものの、基本的に森林から外へは出ないし大陸から出る者はごくわずか。
魔王軍とは全く異なる魔の軍勢と幾度となく戦いを繰り広げて悉く退けてきた。自然の調和を乱す魔導や自然の理を壊す神の代行者である聖女および勇者に関しては全く快く思っていない。
度々世界を脅かす異変が生じる人類圏には歴史上度々何名かを赴任させている。最も森から離れた者は基本的に永久追放の為、現在その任に付いているレイアとその部下達は二度と故郷の森には戻れない。
世界樹イルミンスルの苗木を育てればナイトエルフの森に環境を近づけられる。ただし人類圏にはかつてガリア王国に切り倒されてから一度も植えていない。
・魔王領
人類圏の東側の極寒の地を拠点としている。
魔王は勇者と同様に空位となった時代にある日突然どこかしらで誕生する。並の冒険者でも倒せる凡庸な魔物の突然変異体だったり高貴な者の子だったりと様々で、一切の出自は問われないままに魔王として魔の者の頂点に君臨する宿命にある。どの時代でも必ず最後には勇者に討ち果たされている。
魔王を頂点として六名の軍団長により魔王軍は組織されている。軍の構成はその時代で様々に変化しているため一貫性はあまり無い。魔王が君臨している間は積極的に各方面への侵攻を行うが、魔王不在の場合は各々の軍団長の裁量に任せられる。
魔の者の目的は魔が悪で天が善という不変の定めを引っくり返す事。よって世界に生きる人々や生物に魔を強く認識させる点が重要であり破壊や破滅は望まない。
本来は魔界と呼ばれる別の世界に生息する種族が大半。大魔宮パンデモニウムには魔界と地上界を結ぶ扉があり、魔の者の故郷は地上界の生命では生存不可能な過酷な環境にある。これは主が創造した箱庭とは異なり外なる世界の為。世界への侵攻は世界のどこかにある天界と地上を結ぶ扉を破壊して地上界を魔に染め上げる意図もある。