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凱旋帰国との鉢合わせ

なんとこの話でとうとう百万字突破だそうです。

「気持ち、悪い……」

「大丈夫ですか? 今酔い止めの魔法を……」


 レモラ帝国帝都ネア・レモリアからアヴァロン王国王都スィンダインまでの航海はとても長いものだった。特に人類圏南に広がる大陸同士に挟まれた海を抜けて外海に出た後の船の揺れは慣れない人にとっては地獄の揺り籠だろう。

 サライ陛下やバテシバから受けた情報によればルーシ公国連合が魔王軍の攻撃を受けて滅び、アヴァロンを主体とした人類連合軍が組織されて遠征が決行されたらしい。しかも伝えられた情報が確かなら、先の大戦で人類側がキエフとルーシの双方で打ち破った軍勢が蘇ったんだとか。


「そこでなんだけれど、アヴァロンからはるばる来たお二人には私……と言うより帝国の親書を持って行ってほしいの」

「私共が、ですか!?」

「そうよ。こっちから外交官を派遣しようと思っていた矢先にマリア達を見つけたんだもの。貴女達を利用しない手なんて無いでしょう」

「……しかと承りました。我が主と我が国の名に懸けて、必ずやお届けします」


 帝都に再びやってきた際の強制的な謁見でアヴァロンの聖騎士ルデヤは陛下からの親書を授けられた。宛先はアヴァロン王、思わぬ形で国家同士の交渉の一端を担う事になったルデヤは恭しく敬礼していた。

 折角帝都に戻ってきたのだからとわたしは出航まで空いている時間を利用して学院を訪ねた。どうやら教授の耳にもわたし達がバテシバに連行されたとは伝えられていたらしく、その話題で持ちきりになってしまったっけ。


「次はアヴァロンかぁ。あっちは帝国並に魔導が発展しているから、いい勉強になるだろうねえ」

「そうですね。折角アヴァロンに行くんですから思いっきり楽しんできたいと思います」

「マリアだったら帝国を代表する魔導師として相応しいし、思いっきり見せつけてきな」

「もう、何も競いに行くんじゃあないんですよ?」


 折角だからと教授や学校の友人達と夕食は共にした。まだ離れ離れになってから一年も経っていないのに酷く懐かしい思いに駆られてしまったものだ。それだけ卒業してから濃厚な毎日を送っていたんだって証拠だろう。


 そうして迎えた出航の日、わたしは何故か教授とバテシバの見送りを受けた。二人はわたしなら大丈夫だろうと口を揃えて言ってくれたものの、もし万が一があったらすぐに連絡してほしいと語ってくれた。


「さすがにすぐにとは言わないけれど、力にはなれると思うから」

「ありがとうございます、バテシバ。困った時はそうさせていただきますね」

「いや、言っていて何だけれど、マリアが本当に進退窮まった事態って結構な危機に陥ってそうで怖いんだけれど?」

「それ、わたしがまた厄介事に巻き込まれるって前提立てていませんか?」

「だって今回も自ら飛び込もうとしているでしょう。マリアったら平穏がいいって言いながら刺激を求めているんだから、始末に負えないんだけれど?」

「か、返す言葉もありません……」


 そうしてわたし達を乗せたアヴァロン行きの船旅は始まった。

 航海中はこれと言って問題は無かった。いや、ただ船内で自堕落な日々を送っていたってわけでもない。商船の積み荷や乗員を狙った海賊もいるとは聞いていたけれど、まさかわたし達の乗った船を襲ってくるとは思わなかったかな。


「あれぐらいの距離だったらマジックアローレイ一発で船を沈められますね」

「必要ない。直接乗船して制圧する」


 その度にアタルヤが空中を疾走して海賊船に乗り込んでいった。いくら船の上だからってアタルヤの足場形成魔法エアスカフォールドにかかれば揺れは全く気にならない。結果、海賊船は悉く鎮圧されて近隣国の海軍に突き出されていった。


 船にはわたし達の他に少なからず乗客がいたのは意外だった。ただ国同士を結ぶ船は帝国内陸を行き来する乗合馬車程気軽に乗れる代物ではない。裕福な商人や歴戦の冒険者や傭兵といった旅に慣れている者、後は旅行を楽しむ貴族だったりと客層には結構違いが見られた。

 乗客の倍近い乗員が乗っておりその船は運航されていた。風に合わせて帆の角度を変え、航路に合わせて舵を取り、わたし達乗客に料理を振る舞ったり。正直な話不自由を感じないぐらいには至り尽くせりなので、カインが払った運賃が結構気になってしまうな。


「そう言えばふと思ったんですけれど、海洋の魔物っていないんですか? 帝国じゃあ騒がれていないような気がするんですけれど」

「少なくとも魔王軍には属していない。魔の者が根城にする土地は極寒で、面する海も季節によっては凍るからな。海に順応した個体が生まれる環境じゃあない。最も、池や河と言った淡水に適応した魔物はいるだろうな」

「……じゃあ人類側が破れて一年中凍らない港を占拠されたら?」

「もしかしたら魔王海軍が誕生するかもしれない。そうなったら最後、人類側は戦略や方針の大転換を強いられるぞ」

「キエフやルーシで魔王軍の侵攻を防いできた歴史が終わる瞬間、ですか」


 こんな感じで暇つぶしでわたしとアタルヤの間で交わされた雑談には実は思わぬ落とし穴があった。それが分かったのは実際海に生息する魔物に襲われた後だった。アレだ、魔王軍に属していないってだけの話で野生の魔物は普通にいるって話なんだけれど。

 帆柱に設けられた見張り台から魔物襲来が告げられると、これまで穏やかだった航海が一変する。乗員達はそれぞれ銛を手に展開、敵めがけて銛を投げ放つ。海上って環境に適用するべく水属性魔導を嗜む乗員も少なからずいて、水の抵抗を無視するよう銛に術式を施しての投擲で次々と害意を持って襲い掛かる海洋の魔物を射落としていった。


「マリアは水属性魔導が得意なんだろう? 海中の敵に有効な攻撃魔法は覚えていないのか?」

「一口に水属性魔導って言いましても結構系統は広いですよ? 多量の海水を操作するより普通に無属性攻撃魔法を使った方がはるかに効率がいいので」


 そうは言っても海中に潜む敵を狙い撃つなんて慣れないと結構厳しい。結局海洋の魔物襲来では私達の出番は全くと言っていいほど無く、見世物を見ている気分でただ眺めるばかりだった。


 あと船は単に乗客を運ぶだけじゃあなく大量の荷物も運搬する役目を担っている。なので航海の途中で幾つかの港に停泊して荷積みや荷卸し作業を行っていた。その間に降りる乗客もいたし、新たに乗船する人もいた。


「折角新しい土地にたどり着いたのに船の上から離れられないなんてな」

「仕方がありません。上陸すればその地の入国審査を受けないといけませんから」

「そこまで人の往来の手続きは簡略化されていないしな。我慢して残るしかない、か」


 わたしは甲板の上からルデヤと一緒に荷卸しで賑わう岸壁を眺めながら二人で愚痴を呟いた。最も、それは一時的に着岸してその日のうちに出向する時の話であって、さすがに一日留まるって言われた際は下船して陸の宿で休んだ。


「……何か、大地を踏みしめているのにまだ揺れている気がします」

「奇遇だな。私もだ……」


 こんな感じで情けない事を言い合いながらわたしとルデヤは身体をふらつかせたものだ。


 なお、わたし達の乗った船はアヴァロン国側に帰属しているせいか、着岸場所は西方諸国の言う人類圏に限られた。特に外海へと出る際の海峡は両岸共が獣人国家圏だったのもあって全く見向きもされずに、逆に通り抜けるまで厳戒態勢が続いたものだ。


「この辺りも数百年前は帝国領だったらしいですね。今は帝国にも属さない獣人達が住まう土地になっていますけれど」

「獣人国家でも有数の力があったケメトとパルティアが帝国と併合したせいでこの辺りも騒がしいらしいぞ。西方諸国はこの地を亜人達から奪還してみせるって躍起になっているしな」


 ……さすがに人類同士の諍い、それも国家間の争いに足を突っ込むわけにはいかない。わたし一人には荷が重すぎてとても耐えられないだろう。騒動は気になるし一度旅して回りたい衝動もあるけれど、見なかったし聞かなかった事にしよう。


 そうして長い航海を終え、とうとうわたし達の前に目的地としたアヴァロンの大地が見えてくるほどになった。



 ■■■



 わたし達が長旅を終えてアヴァロン王都スィンダイン最寄りの港町の土を踏みしめると、その熱気に驚いた。大勢の人達が街道沿いに列を成して誰かを今か今かと待ちわびているようだった。その誰もが海の方へと視線を向けている。


「……何でしょうね、この騒ぎは?」

「私にも分からない。まだ祭りや式典の時期じゃあない筈だが……」


 島国アヴァロンの王都スィンダインは南東側に位置していて、大河が西から海に流れ着いている。貿易や人の往来の為の港町は海に面しているものの、軍港は少し大河を進んだ辺りにあるんだそうだ。その軍港から王都中心部にかけて、王都中の人が集っているんじゃあないかと思えてしまうぐらいの熱狂ぶりだった。


「なあ、今日は一体何があるんだ?」


 あまりに不思議だったため、ルデヤが観衆の一人だった女性に話しかけた。熱中していたのに気分を害されたとばかりに睨みつけてきた女性は聖騎士、それも円卓に属する装備を身にしたルデヤを見て軽く声をあげた。


「聖騎士様、ご存じないのですか?」

「いや、悪いが今日帰国したばかりなんだ。ここ最近の事情は全然把握していなくて」

「それはお勤めご苦労様でした。実は今日王女殿下が凱旋されるとの事で、王都の民総出で出迎えようとの国王陛下のお達しがありまして」

「王女殿下って、まさか姫様が!?」


 女性が語るにはルーシ公国連合へ派遣された人類連合軍の総大将はアヴァロンの第三王女エリザベトだったんだそうだ。さすがにサライ陛下からそこまでは聞いていなかったので、四人共結構驚いてしまった。

 更にエリザベト率いる人類連合軍は魔王軍を打ち破りルーシ公国連合の公都ミエナを奪還した。公都の復興に目途を立たせて周辺都市の復興を後続に託して引き上げた。そして今日凱旋を果たすらしい。


「そうか……姫様が……!」

「凄いのー。此度の相手は一年前人類圏国家が総出で立ち向かった軍勢なんじゃろう?」

「それを間に合わせに結集させた連合軍で撃退させたんだから、よほどの猛将か知将なのかもな」

「サロメ率いる妖魔の軍勢だけでもアレだけ苦労して撃退したのに……」


 ルデヤは歓喜に打ち震え、メトセラも誇らしげに鼻を擦った。アタルヤは感心とばかりに軽くうなり声をあげていた。一方のわたしはついこの間のキエフ公国での決戦を思い返すとにわかには信じられなかった。


「あの、その遠征には名のある将軍とか戦士とかが派遣されたんですか?」

「あーっと、聞いた話じゃあアヴァロンが誇る大賢者ホルダと一年前勇者様と共に世界を救った聖騎士デボラが同行なさったらしいよ」

「デボラ……!?」


 わたしは思わずルデヤと顔を見合わせた。まさか勇者一行の一人の名前がそこで挙がるとは思ってもいなかった。何せ数か月前にイヴが西の公都を出発した理由は当のデボラへの復讐、なのにデボラは遠征に参加して不在。完全なすれ違いが生じているんだから。

 間違いなくイヴはアヴァロンに来ている。けれどデボラのいないこの地で彼女が一体何を企んでいるのか、わたしには想像も出来なかったし、したくもなかった。デボラの願いが願いだけに何かとてつもない異変を練っている恐れもある。


「いや、逆に好都合だぞ。奴が姫様と同行なさっていたならまだ手の打ちようがある」

「後は立ち回り次第、ですか……」


 事態を深刻に受け止めるルデヤとわたしの背中を、メトセラの硬い手が叩いた。思わず変な声を発してわたしは跳び上がってしまう。恥ずかしさで赤面しているだろう顔をメトセラに向けると、歯を見せて笑いかけていた。


「なぁに辛気臭い事を考えておるんじゃい。こんな所で悩んでおっても何も変わらん! 当事者を交えて話し合うのが一番だろうが」

「あ、ああ。そうだったな。すまない、どうも私は考えが飛躍しがちなもので」


 確かに今重要なのはイヴに先んじてデボラに会って彼女の真意を確認する事だ。可能ならイヴとデボラの当事者間だけの問題に収束させたい。万が一ここの市民やアヴァロンって国そのものに脅威が及ぶようなら何としてでも止めたい所だ。

 デボラがイヴに謝るとはとても思えない。そもそもマリア達六人は己の信じる道を進む為に覚悟を決めてイヴを裏切った。例にもれずデボラは罪だとは認めるけれど謝罪はしないだろう。とすればイヴも容赦なく手段を選ばずにデボラを追い落とすだろうから……。

 その為にもルデヤが提案するように権威者との謁見は是非果たしたい。注意喚起だけでも出来れば幸いなんだけれど。


「それでルデヤ、どうするつもりなのかの? ご覧の有様じゃあ帰還もままならんぞい」

「仕方がない、裏道を通って進める所まで進むか?」

「わしは姫様方が通り過ぎた後で帰還した方がいいと思うがの」

「確かに王都に戻ってきた以上数刻遅らせた程度じゃあ問題にはならないか……。なあ、アタルヤ殿とマリア殿はどう思う?」

「私は骨休めが主目的でそっちの付き添いはついでだ。急ぐ必要性を感じないな」

「んー、わたしはむしろ凱旋がどんな感じなのかちょっと見てみたいかなって思います」


 三対一で多数決なら勝負だろう。ルデヤもこの結果には観念して大歓声に沸く人々に紛れ込んで王女様の帰還を共に待つ事にした。

 程なく、船団が見えてきたのか歓声が更に勢いを増した。それに伴い街道に集う人の数が更に増えていく。これ本当に王都市民総出で出迎える感じなのか? 帝国とはまた違った熱気があって部外者のわたしすら何だか高揚を覚えた。


 そして、人類に勝利をもたらした一行がやってきた。


「さすがに観兵式の時と違ってみんな疲れが出ているな」

「ううむ、防具も服も破損しっぱなしじゃし傷を負った者も少なくないの。よほどの激戦だったようじゃな」

「でも皆さん歓声に笑顔で答えていますよ」

「凱旋なんだから皆誇らしいだろう。国に勝利をもたらすのは至福と言っていいからな」


 各々が感想を呟く中で部隊が次々とわたし達の前を通り過ぎていく。やがてルデヤが指差した方向に見えてきたのはハイエルフソードマンの一団だった。その中でも一際元気溌剌に民衆に手を振って満面の笑顔をさせるハイエルフの女性がいた。彼女の姿が見えると更に観衆は熱狂に包まれていく。


「アイツが聖騎士デボラだ。あの様子だと結構戦果を挙げてきたみたいだな」

「彼女が……」


 デボラは自分の背丈と同程度の大きさをさせた鉄の塊と思わんばかりの大剣を背負っていた。年は見た目から判断すると二十代前半だろうけれど、エルフは長寿種だし実際はどうなんだろう? 彼女はハイエルフの例にもれない美貌の中にも歴戦の戦士としての風格を持ち合わせていた。


「ありがとー! ありがとー!」


 大歓声の中でもデボラの声ははっきりと聞こえてきた。彼女は打算なんて考えもせずに喜び合っているみたいだ。その純粋さは今まで会ってきた勇者一行の剣士サウルや投擲手バラクからは決して受け取れないものだった。


 そんな彼女は左右の観衆全員の声に答えようと見渡すものだから、ついわたしとも目が合ってしまった。デボラは目を丸くして視線を止めた後、勢いよくこちらに向けて手を振ってみせる。しかもご丁寧に行進中なのに立ち止まって。


「おおーいマリアー! 久しぶり、元気してたかー!?」

「ちょ……!?」

「こ、の馬鹿デボラぁ! 凱旋行進中に立ち止まるなぁ! 話は後だ後!」

「おールデヤ、悪い悪い! んじゃあまた後でな!」


 じ、自由すぎる……っ。あまりの事態にルデヤが声を張り上げて怒鳴りながら先の方を指し示した。デボラは頭をかきながら駆け足で置いていかれた隊列に戻っていく。ルデヤは疲れ果てた様に呼吸を荒くして汗を拭った。


「疲れる……。帰国早々どうしてアイツに大声出さないといけないんだ……っ」

「あ奴の方がワシ等よりも長生きしとる筈なのにのう。エルフは寿命が長い分成長が遅いのかの?」

「いや、そんな筈はないと思いますが……」


 思い返すのは同じくハイエルフでアーチャーのプリシラ。彼女は落ち着いた雰囲気だったから、やっぱデボラのアレは個性のくくりに収まるんじゃあないかしら? それにしてもわたしの想像とは違った人柄だったなぁ。

 やがて、救世の英雄より更に大きな歓声が沸き上がった。見るからに他の騎士達とは一線を画す堂々とした、けれど精一杯皆の声に答えようとする姿は初めて見たわたしも好印象を覚えた。デボラとメトセラはそんな彼女を見るや背筋を正した。


「あのお方が我々の仕える王女、エリザベト殿下だ」

「で、姫様の後ろに乗っておるのが賢者ホルダじゃて」


 飛竜に相乗りする二人は好対照だった。エリザベトが満面の笑みで声を出しながら腕を振るのに対し、ホルダは軽く微笑んで手を振るだけ。エリザベトが活発な少女ならホルダは儚い淑女って表現をさせればいいだろうか?


 ただ、勝利の立役者達よりも更に注目を集めた人がいた。赤銅の髪と瞳をさせた女子と幼女の組み合わせは異彩を放っている。武装から判断すると女子が剣士で幼女は……魔導師、でいいんだろうか? 大きな熊の縫いぐるみに目が行ってしまって正体はさっぱりだ。

 帝国でも赤毛の人はあまり多くないけれど、やはり西方諸国でもそうなんだろうか? と聞こうとしてルデヤへと向けると、彼女は赤き女子へと目が釘付けになっていた。


「メトセラ殿、彼女は……」

「ああ、ワシの考えは多分お前さんと同じじゃろうて」

「コレは、赤竜の騎士王の帰還そのものじゃあないか……!」

「実際は違うんじゃろうがこの場の誰もがそう考えるじゃろうな……」


 赤竜の騎士王、その単語は度々船旅の間も出てきた。あまり記録が残っていないからああして少女の姿で書かれる物語もあるらしいって話もあったっけ。どうなのかな、とアタルヤに話題を振ろうとして……愕然としている彼女を目にしてしまった。


「どうしてこの時代にアイツが……」


 そんな彼女の心からの呟きがとても印象深かった。

お読みくださりありがとうございました。

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