表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/148

魔導協会支部長との事務手続き

「実を言うとね、こっちに戻ってくると知った時からマリアを心待ちにしていたのよ」

「そんな、大げさな」

「あら、別に大げさでもないのだけれど。正当な評価のつもりよ」


 西の公都支部の屋敷、その一室にわたし達は招き入れられた。本来一介の、しかも駆け出しの魔導師のわたしが通されるなどまず無い支部長室にだ。どれもこれも支部長であるイゼベルの鶴の一声があったためだ。正直後で何かあるんじゃあないかしら?

 支部長室は思ったよりもずっと簡素な作りをしていて、こだわりが見られたのは座り心地の良さそうなソファーぐらいか。本棚には本ではなく書類の束が幾重にもなって入れられており、本の量はあまり多くない上にどれも魔導書ではない。魔導の探求は別の部屋で行い、ここはただ事務仕事をする場なのだろう。


 イゼベルがわたし達に座るように促したのでわたしはイヴを支えながらソファーに座らせた。わたしもイヴの車椅子を折りたたんだうえで隅に寄せて、イヴの隣に座る。ほどなく秘書官だろう見麗しい女性が紅茶のセットを目の前のテーブルに並べていく。彼女の出るところが出て括れるところが括れた、身体の線が強調されたドレスは同性ながら目を惹いた。


「帝国の学院を卒業した魔導師は優秀だと相場は決まっている。けれど帝都に留まった方が道具やら施設やらと、恵まれた環境でしょう? 地方から帝都に移るのはよくあるけれど、帝都から地方に戻ってくるなんて本当に少ないんだから」

「それ自体は否定しませんけど、わたしは何も探究ばかりに人生費やしたくありませんから」

「魔導師がそのように自論を持つのは珍しいのよ」


 否定はしない。魔法が使えれば魔導師、と括られがちだけれど実際は大きく違う。魔導師とは未知の知識を探究する者を指し、魔導はあくまでその手段に他ならない。だから魔法が行使できてもそれを道具のように扱うのであれば魔導師ではなく単なる魔法使いに過ぎない。

 それでもわたしのように魔導師のままで魔法を生活に生かそうとする者はそこそこいる、との事だ。個人的には普段の生活の中にも探究の参考になる事象が沢山あると思うけれどなあ。そんな考えで冒険者と行動を共に旅する者もいると聞くし。


「帝都での学院生活がどうだったかはまた今度聞かせてもらうとして、今日訪れてきたのはこれからの西の公都での生活についてよね」

「はい、公都に着いたら真っ先にここを訪れるように言われています」


 ここでの新生活に向けての段取りは帝都で済ませてきたが、肝心の部分はこちらで申請するように言われている。本人が目の前で契約するのが重要なのだろう。


 イゼベルが指を鳴らすと先ほどの女性が再びやってきて、今度は書類の束をわたしの前へと並べた。おそらくこれが賃貸契約書や西の公都への移籍に必要な書類一式なんだろう。金属製の鍵も置かれたから、大外れではない筈だ。

 イゼベルは自分の机から羽根ペンと没食子インクの入った小さな容器をわたしの前へと置く。良く使いこまれていて程よく手入れがされている。


「察しの通り、貴女の右手の羊皮紙はこちらの支部への異動の手続きに必要な書類です。一通り読んでから右下の欄にサインをして頂戴」

「分かりました」


 別に書類に書かれた内容は読み飛ばしても今後にはあまり関わりが無いんだろうけど、契約である以上一通り読んでおかないと。サインをしてしまえば全面同意と判断されるから、どんな理不尽な内容であろうとも文句を言えなくなってしまう。


 ざっと目を通して特にこちらが不利にはならない判断したわたしは、羊皮紙に自分の名をサインしてイゼベルに渡す。彼女はわたしの肉筆を確認すると、先ほどの女性に手渡しした。渡された彼女は羊皮紙を薄い板に挟み、恭しく一礼すると部屋から出ていく。


「ああ、彼女は私の秘書みたいな存在だから、あまり気にしないでおいて」

「あ、はい」


 彼女、秘書の仕草を見つめていたのがばればれだったか。その動きの一つ一つが洗練されていて、傍目で見ていたわたしでも惚れ惚れしてしまうな。玄人はやはり違うと言った所か。


「それから、マリアの左側にあるのが今日からあなたの生活の基盤になる、新しい住居兼お店の契約書になるわ。貴女の要望通り最低限の家具は揃えたけれど、雑貨の類は自分で購入してもらえる?」

「この立地なら市場も近いですし問題ありません」


 さすがに最低限の家具を一通りそろえるのは人手も費用もバカにならないからお願いしていた。月々に払う金額がその分増えたものの、手間と時間を考えてだ。それに自分なりに内装に拘るなら賃貸などではなく自分の家を持ってからだと考えているし。

 ゆくゆくは賃貸から脱出して自分の家を持ちたいから、今の仮住まいはそう長居はしない予定だ。多少狭かろうと別に使いづらくなければそれでいい。


「月に一回ほどこちらの職員を派遣するから、契約内容通りの金額を収める事。滞納はよほどの事情が無ければ認めませんから。温情もないと思っておきなさい」


 その辺りは事前に聞かされたとおりだった。他にもこちらから支部に出向いて家賃を払えるようにも出来るらしいが、正直わざわざその為だけに足を運びたくもなかったのでこうさせてもらった。


「例えば別の都市に行く用事とかで長期間不在にする場合は?」

「留守番を誰かに頼むのであれば普段通りね。鍵をこちらに預けて無人にするならその分だけ割引になるかしら。それと事前に申し出れば帰ってきた後の日に支払を延滞出来るような契約になってるから、安心して」


 なるほど、申請すればそれなりに融通が利くのか。一か月間丸々不在にしてたら差押えになるなんてまっぴらごめんだから、それはありがたい。

 あとは金額面か。わたしが得るだろう収益と払うだろう雑費や生活費などと相談の上で払えるぐらいの物件にしてもらっていた筈だ。羊皮紙に書かれた契約内容にも事前に聞かされていた金額通り……いや、少し安くなっている。


「すみません、事前に聞かされていた家賃より安くなっているんですが」

「ああ、それは立地の環境が少し悪くなってその辺り一帯の価値が下がっているからね」


 何で、と理由を聞こうと考えてふと先ほど門をくぐる際のやりとりを思い出す。この物件のある北の地区は夜になるとアンデッドの軍勢に攻められているから、騒音の問題で住みづらくなったのが原因だろう。

 そう言えばイゼベルは件のアンデッド軍襲来についてはどう考えているのだろうか? 今は撃退出来ているかもしれないけれど、このままだといずれはこちらが疲弊して城壁を突破される日が来るかもしれない。そうなってからでは手遅れだから、今のうちに何らかの対策をすべきだとわたしは思うのだけれど。


「あの、支部長」

「イゼベル、でいいわよ。マリアはここの職員でも私の部下でもないんだし」

「ではイゼベルさん、久しぶりにこっちに帰ってきて驚いたんですが――」


 イゼベルは「分かってるわよ」とわたしの言葉を途中で遮ってきた。その表情は笑みを絶やさず温厚だろう印象を受けた今までとは打って変わり、目を細めて瑞々しく整った口をきゅっと横にしめていた。それだけ見ても事態の深刻さをこちらも感じ取れた。


「アンデッド軍がここ最近西の公都に攻めてきている、でしょう? もちろん把握しています。そして事態が日に日に深刻化しているのも」

「本当、だったんですか」


 ひょっとしたら御者の冗談とも考えたかったけれど、現実に起こっているものだったか。だとしたら手をこまねいていないで対策を練らないとまずいのでは?


「もしかしたら貴女達にも関わってもらうかもしれませんから、少し詳細に事情を説明しましょう」


 イゼベルが再び指を鳴らすと、秘書が持ちだしてきたのはわたしが腕を広げたぐらいの大きさもある西の公爵領の地図だった。目の前のテーブルに広げられたそれには国境には黒い太線が、公爵領とその他には細い二点鎖線、西の公都には黒い丸印がされている。

 そして、ひときわ目立つのは西の公都から北に位置する赤い丸印と、そこから西の公都に伸びる矢印だろうか。


「ある程度伺っているのを前提で話を進めるけれど、アンデッド軍は北のこの地点から発生して、ここ西の公都に侵攻してきています」

「えっ、アンデッドの発生場所は分かっているんですか?」


 てっきりどこから湧いて出るか分からないから手の打ちようが無いとばかり思っていた。それならさっさと冒険者にでも依頼して解決してもらえばいいのに。


「アンデッドは戦場跡や墓地など、死体があればどこにでも現れる。そんな甘い認識が事態を取り返しのつかない所まで持っていってしまったのよ」

「えっと、どういう意味です?」

「気づいた時にはこの赤印の場所を攻略できなくなった、でしょう?」


 赤印を指さして呟いたのは今まで黙っていたイヴだった。そう言えば彼女の前にも紅茶と菓子皿が並べられていたけれど、当たり前だが全く手を付けていない。わたしが口まで運べばいいんだろうか、それとも彼女が何とか左手で頑張ればいいのか?


「人里に現れるアンデッド達ばかり退治していて、事態の進展に気付かなかった。違う?」

「ええ、恥ずかしながらその通りよ」


 イゼベルは深く頷いて、その薄桃色の華奢な指先で赤丸の箇所を叩いた。


「急いで発生源を突き止めたまでは良かったんだけれど、既に軍備がされた段階になっていて、もう生半可な冒険者では太刀打ち出来なくなっていたのよ。もうこの辺りはアンデッドがはびこっていて現在どんな状態なのかすら把握できていないわ」

「そうね、一騎当千なんて夢物語。大抵は数こそ一番の暴力でしょうし」


 それを一騎当千と謳われた勇者イヴが口に……いや、イヴだからこそ口にするのか。その結果が現状なんだとしたら、何という説得力だろうか。


「確かこの辺りは度々隣国との衝突で戦場になっていましたから、アンデッドが発生しやすくはなっているでしょうけれど……」


 赤丸が付けられた場所は周囲に村も街道もなく人の気が少ないが、森や河に囲まれた平地でもある。国境を突破された帝国軍がここで迎え撃った戦も何度かあった、と記憶している。当然回収しきれずその場で埋葬された死体は少なくない筈だ。

 が、イゼベルはわたしのつぶやきに反応して首を横に振った。本当は自然発生であってほしかったが、悲しいかな現実は違う、と言いたげに。


「アンデッドはね、自然発生していないようなのよ」

「自然発生していない? いや、意図的には生み出せないでしょう」


 アンデッド等の死霊の創造はゴーレム生成とは違って普通の魔導では決して出来ない。死を弄ぶ所業はそれこそ、わたしが最近になって手を付けだした冥府の魔導を用いない限り不可能な……。


「え、いや、まさか……?」


 つまり、故意にアンデッドを生み出している、冥府に魂を売り渡した魔導師がいると?

 冥府の魔導だなんて稀少すぎて存在すら怪しまれてすらいる有様なのに。わたしだってマリアから魔導書を受け取る前、つまり学院卒業直前ならその仮説はあまりに馬鹿げていて選択肢から真っ先に外していただろう。

 けれどイゼベルはまた扇子で口元を隠しながらも、わたしの言葉に頷いてきた。


「冥府を司る魔導師が裏で糸を引いている、と我々は考えています」


 静寂が辺りを包み込む。室内の脇に立てられた壁時計の振り子の音がうるさい位に耳に入ってくるほどだ。深刻な事実を口にしながらもイゼベルは動じないよう振舞いながら紅茶のカップ内をマドラーで混ぜ、イヴは興味なさ気に窓の外を眺めていた。

 わたしはイヴの前に置かれた皿からフォークで菓子を取り、イヴの口元に運んだ。それに気づいた彼女は驚いて退きながらも、少し考え込んだ後で恥ずかしさで頬を紅色に染めながら口にしてくれた。何だかかわいい、と面白い、が入り混じった思いが込み上げてきた。これ当分食事は手伝ってあげないといけないかもしれないのに、楽しくなってしまいそうだ。


「あら、随分とあっさり受け入れるのね。冥術だなんて聞いた傍から否定するとも思ってたのに」

「あらゆる可能性を踏まえた上での結論でしたら、どんなに信じられなくてもそれが真実でしょう」


 とイゼベルの質問にはもっともらしく答えたものの、実際はそれも在りうるとわたしが知っているからに過ぎない。他の魔導師と同じ条件ではないから、ある意味ズルとも言えるだろう。


「原因が究明できたなら後は解決するだけですよね」

「ええ、そう遠くないうちに討伐軍が組織されて攻略作戦が発令されるはずよ。その際この支部からも魔導師を何名か選出し、冥府の魔導師の討伐に向かってもらおうと考えています」


 ならわたしが危惧する必要はないか。上層部がきちんと問題を検討して解消に向かうのなら、あとは一介の魔導師に過ぎないわたしは座して見守るだけ。後は普通に日常を送ればいい。何せ新生活が始まるのだから色々と慣れていかないと……いや、待てよ?

 なら、このやりとりの意味は何だ?


 解決する道筋が立てられているのに、帝都から移ったばかりの新米魔導師にその事実をどうして教える? それもわざわざ支部長が直々に、だ。帝都から帰ってきた変わり者に興味惹かれたとか言われたって信じられるものか。何か意図が――。


「まさかとは思いますが、その討伐隊にわたしも加われと?」

「学院から取り寄せた成績表を見る限り、貴女は回復魔法において秀才天才ぞろいの学院の中で平均。この西の公都でもそれを活かした開業魔導師となる予定、だったかしらね」 


 否定できない。学院での普通は他の魔導師にとっては十分優秀に入ってしまう。だからこそわたしでも開票魔導師としてやっていけると計算して西の公都に戻ってきたんだ。だからって籍を置くとは言え支部の構成員でもないわたしが駆り出されるのはちょっと納得がいかないんだが?

 そんな気構えを起こしたわたしのどこがおかしかったのか、イゼベルは鈴を転がすように笑う。


「勿論こちらから優秀な、冒険者達の表現する、白魔導師を派遣します。ただ貴女が動員される可能性も考慮に入れている、とだけは伝えておきたくって」

「……はあ、なるほど」


 予備軍、か。それならまだ収まりがつく。ただ、そうなった場合は色々と引き受ける条件とか相談の上で契約内容を煮詰める必要がありそうだな。命令されてのただ働きをする義務も義理もないし。だがイゼベルの口ぶりでは今は無関係でいられそうだ。


 わたしは自分の紅茶を一気に飲み干すと、物件の契約書の記載内容を全部読んだうえでサインを書いた。これでここを訪れた当初の目的である事務処理は完結した筈だ。


「すみません、わざわざわたしの為に時間を割いていただいて」

「いいのよ、私の仕事はほとんど優秀な部下がやってくれているから。ただ判子を押すだけの簡単な事務処理なんて省略してくれていいのにね」


 イゼベルの冗談は脇に置いておくとしよう。わたしは立ち上がるとまずはイヴの車椅子を展開し、彼女の身体を乗せる。そして三人分の紅茶と皿をテーブルの脇に寄せて、改めてイゼベルへと向き直った。


「本日はありがとうございました。貴重な話も聞けましたし」

「あら、私は貴女の自己評価より貴女を評価しているのよ。これぐらいは当然の待遇でしょう」


 持ち上げすぎだ。そんな事した所で高さに耐え切れなくなって落ちるのは目に見えている。可もなく不可もなく、そんな平穏の中でわたしには十分だろう。変に主張するとこじれそうだから表にはこの思いは出さないが。

 しかし、イゼベルはそんな私の冷めた感想を見抜いたのか、滑稽だとばかりにせせら笑った。少なくともわたしにはそう感じた。今まで温厚そうに見えた印象からは考えられないほど、それは影を伴っていた。


「まさかこの薄っぺらな羊皮紙に書かれた評価だけでわざわざ私が出向いたと思っているの? その程度の魔導師風情だったら視界にも入れていなかったでしょうね」

「なっ……!」


 彼女は学院でのわたしの成績が書かれただろう手元の羊皮紙を変な工程で折り曲げていき、何やら形作っていく。そしてそれをそのままに手だけで軽く飛ばした。紙はゆっくりと飛んでいくと見事にゴミ箱へと入っていく。

 おおっ、あれだけで簡単に紙を飛ばす事が出来るのか。でも丸めて放り投げればそれだけで済むのに、妙な所で凝っているものだ。


「隠す必要なんてないのよ。こう見えて長く生きているけれど、私の期待に応えてくれたのは指を折る程度だったもの。黒曜のマリア、貴女はその貴重な一人よ」

「それ、どういう……」


 わけがわからないとばかりに困惑していると、イゼベルは手の平を上に向けつつイヴの方を指さした。


「見事な冥府の魔導じゃないの。初めてにしては上手く縫合出来ているから、後は回復魔法で少しずつ彼女自身のものにしてあげるだけね」

「――っ! 何故それを……!」


 まさか、イヴが冥術を施されているって見抜いている!? そんな、長袖の上着やロングスカートを着ているからイヴがどうなってるかなんて無理な筈なのに……! 何らかの感知魔法でも使ったか? いや、そんな動作は全く見られなかったと思う。なら、どうして……!

 イゼベルはそんな混乱するわたしの方……いや、正確にはわたしの道具袋の方へと指先を移した。


「だってその冥府の魔導書、執筆したのはこの私だもの」


 そして、さらっと衝撃の事実を口にしてくれた。


「冥府の魔導書を、あんたが?」

「なん……ですって……?」


 イヴは警戒感を露わに腰に差したナイフに手を伸ばし、わたしも得体のしれない何かと対峙している気分になりとっさに杖を掲げて身構えてしまった。そんなわたし達の反応もまた愛おしかったのかどうだか、イゼベルは先ほどまでの微笑みに表情を戻し、踵を返す。


「それで何を成すのか、じっくりと観劇させてもらうわよ」


 最後に彼女はそう言い残し、奥の部屋へと立ち去って行く。扉が閉まる音が聞こえた後、辺りは再び静寂へとまき戻ってしまった。残されたのは呆然とするわたしとイヴ、それから出口への扉を開く先ほどの秘書だけだった。


「どうやらあいつも一癖も二癖もありそうね」

「そう、ですね」

「ま、ああいった胡散臭さが表に出ているだけまだいい方じゃない? 油断はできないけど」

「……ええ、確かに」


 イヴの感想には完全に同意するけれど、だからとイゼベルの思惑を見抜くほどの洞察力は持ち合わせていない。今わたしに出来るのは彼女の思惑通りになっている現実をかみしめるのと、警戒感を強めるぐらいだろう。


 ……冥府の魔導書がイザベルがもたらしたもの、か。彼女は一体わたしに何を期待しているんだろうか? それを考えるだけで末恐ろしいものをどこか感じた。

お読みくださりありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ