シミュレーション仮説
突然だが僕の話を聞いてほしい。
そうだな、名前はXとでもしておこう。
僕は昨日、今日を経験している。
昨日と同じ日付、昨日と同じ友人の言葉、昨日と同じことを繰り返しているのだ。
僕だけその記憶が残っているらしい。もうすぐ明日になる。
でも恐らく…。
やはり昨日だ。
いや一昨日と同じ今日か。
どうやら僕の記憶だけがきっかり1日を繰り返しているらしい。
僕は次の日も次の日も同じ日を繰り返した。
決まって同じ親友の言葉。僕は嫌になるほど聞いた。
そこでこの世界はシミュレーションのようなものではないかという考えに至った。
この世界は高い次元のだれかによって作られたものなのではないかと。
この世界を抜け出すには、僕がイレギュラーななにかをやって見せれば良いのではないか?
なにかやってやれば、上手く事が運んで脱出できるかもしれない。
もうこの今日が続く世界から抜け出したい!
僕は言葉を発した。
「○○○」
いままでの今日では発さなかった言葉。
発した瞬間、世界はブラックアウトした。
-------------------------
『Segmentation fault』
私のディスプレイにはそう表示されている。
無限ループにしたところの条件処理が上手くいかなかったらしい。
いやはやプログラミングとは難しいものだ。
論文もうやだ…。