2話 ご機嫌斜めなお嬢様(プリンセス)
2話 ご機嫌斜めなお嬢様
拓人は夏美と別れると、一人で下駄箱に足を運んだ。
拓人は1年2組だったのであそこら辺かと玄関のドアを開け、自分の下駄箱に
向かうと、何やらあちこち周りを見ながらそわそわしている一人の女子を見つけた。
??「もう~~私の下駄箱どこなのよ~~!!」
拓人「どうしたの?」
??「はぅ!? な、なんでもないです!///」
拓人「そ、そう? そうには見えないけど......
ところで、君、名前なんて言うの?」
??「な、なんであなたに私の名前を言わないといけないんですか!///」
拓人「いいからいいから!」
そういって拓人は何か考えているような顔でその女子に話しかける。
??「い、いやです!だいたいあなたとは初対面ですよね?
そ、そんな人にいきなり名前を聞かれても答えませんよ!」
拓人「へ~じゃあ俺は自分の下駄箱の位置知ってるから先行っちゃおっかな~」
??「う~~~......」
拓人「......じゃあ名前はいいから、何組かだけでも教えてくれないか?」
??「あ......はい、えっと、その、1年3組です......」
拓人「そっか、じゃあたぶんこっちだな」
そういって拓人は1年3組の下駄箱へとその少女を案内した。
拓人「たぶんここら辺にあるはずなんだけど......」
??「あ! ありました!!」
拓人「そっか。よかった、見つかって」
??「は、はい///」
拓人「じゃあ、俺はそろそろ行くよ、雨宮茜さん」
茜「な、なんで私の名前を///」
拓人「ほら、ここに名前書いてあったから」
そう言い、拓人は彼女の下駄箱の名前の欄を指さして答えた。
茜「はぅ~~~~~//////」
拓人「ぷっ、はははは(笑)」
拓人が盛大に笑いだすと、茜もつられて笑い始めた。
お互い初対面だというのに、よくもまあ仲良いものである。
拓人「んじゃ、俺そろそろ行かないといけないから」
そう言い、背中を向け数歩歩くと彼は真剣な顔で振り返ってこう告げた。
拓人「困ったときは、自分で抱え込もうとせずに誰かに頼ったほうがいいぜ」
その言葉はまるで、その少女へではなく自分に言い聞かせたかのように。
茜「えっ......?」
拓人「それじゃ、さよなら、雨宮さん」
そうして彼は小走り気味に階段に上がっていき去っていった。
あ、そういえば私あの男の子の名前聞いてない......それに、
茜「お礼......まだ言ってない......」
彼女はそう呟くと、手を胸に引き寄せある決心をした。
もう一度彼に会ってお礼を言おうと-----------------
拓人は下駄箱であの少女、雨宮茜を助けたあと、自分の教室へと向かった。
そして今、彼は教室のドアの前に立っている。
拓人は深呼吸して、これからはじまる学園生活のドアを開けた。
拓人「あ、朝峰拓人です!! よろしくお願いします!」
開口一番、俺はかなり大きめの声で自分の名前と自己紹介をした。
周りの反応は......正直ちょっと引かれている。
ヤバい、ミスったか、と思っていたところにあいつが俺の前にやってきた。
真「よ~~~拓人~~~お前もこの組だったのか!」
拓人「真! お前この学園受験してたのか!?」
真「あったりめーよ! この学園女子生徒が美人ばっかって聞いて
今まで行こうと思ってた志望校全部蹴って受験したんだよ~お前にも言ったろ?」
拓人「あ~言われてみればそんな話したな......」
こいつの名前は山野真。小中と同じで夏美と真と俺でよくつるんでいた。
いわば、俺の親友だ。俺の家のことも知っているがあいつは特に気にしてない。
それが俺にとってどんだけ助けられたことか量り切ったものじゃない。
まあひとつ、欠点があるとすれば......
真「それでさ~俺この前エスカレーターにのってたら俺の前に超美人な人がいてさ、
段差がつき始めたらその人ミニスカートだったから、
”アレ”見えたんだよ~~いいだろ~~はっはっは!! ちなみに、白だったぞ」
親友よ、少しは周りの目も気にしてくれ。
お前が今超美人のパンツを見れてよかった話を大きな声でいうから、
聞いていた俺までみんなから軽蔑の目で見られているじゃないか。
彼の欠点......まあほかにもあるが主にこういうところだ。
そうして決して良いスタートとは言えない学園生活がはじまり、
自分の机にバックを置いて席に座ろうとすると、
??「あなたが朝峰拓人ですの?」
拓人「え......う、うん」
??「なんか、思ったよりもひ弱そうですのね」
拓人「一体なんの話を......」
俺の目の前に立つこの謎の美少女。
金髪で顔は整っていて、目は青く胸も大きくいかにも西洋美人というべき見た目だった。
そんな彼女がなぜ俺の名前なんか知っている?
いや、まさかこいつ............
拓人はふとある考えに思いふけっていると、次の瞬間、俺の左頬にパーン!と激しい痛みが走った。
なにが起こったのかわからず、目の前の彼女に目を向けると、
彼女は手を平手にしたままこちらを見ていた。
拓人は何が起こったのか分からず呆然とその少女の方を見つめる。
そして周りを見渡すと周りの視線はまたしても拓人に向けられていた。
今起こっていることがなんなのかわからずただ呆然としていると、金髪少女は口をひらいた。
金髪少女「あなたさえいなければ、私はこんなとこに来ることはなかったのに!」
そう言った彼女の目には涙が少しだけ溜まっていた。
その表情はまるで捨てられた子犬のように......
拓人の予想していた考えはたぶんあっているだろう。
彼女はおそらく俺の父の財閥のライバル財閥の令嬢で御曹司である俺の偵察のために
はるばる祖国から来たのだろう。
そう思えば彼女の言っていることはだいたい筋が通る。
だから俺は嫌なんだ、財閥の御曹司なんて......
こうやって関係のない人が、俺のせいで不幸になるから。
今回は茜、真、金髪少女の登場回でした
茜と金髪少女については次回書いていこうと思っています!
拓人の過去や家のことについてですが、まだまだ先の話で明らかになると思いますので
今はまだ深くは触れません。すみません。
応援よろしくお願いします!