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13話  学校帰りの寄り道は危険が多し

13話  学校帰りの寄り道は危険が多し



拓人「やっと終わった......」


そう言い終えると同時に、6時間目の終了を知らせるチャイムの音が鳴った。

まだ部活も入部期間ではないので、1年生は原則として6時間目が終わったらすぐ帰るのが普通だった。

ましてや、今日も元気な4人娘に”取り合い”をされていて疲れている拓人にとって、

6時間目が終われば、家に帰れてゆっくりできる......はずだった。

あの一言さえなければ......


ベル「みなさん! 今日帰る途中に,カフェで寄り道していきませんか?」

最初は拓人はその呼びかけに誘われていないと勝手に思っていた。

夏美「う~ん、そうね、OK!」

茜「私もいいわよ!」

初音「ボクも大丈夫だよ」

ベル「わかりましたわ! では、行きましょうか、拓人さん?」

拓人「ん? 俺?!」

拓人がその寄り道のメンバーに入れられていたと気づいたのはこの時だった。

ベル「当たり前ですわ! 拓人さんが行かなくて誰が行くと言いますの?」

拓人「いや、でもほら、こういうのは女の子だけで行った方が......」

夏美「誰がそんなの決めたの? ほら、拓人も一緒に行こ?」

そう言うと、夏美は拓人の手を取った。

茜「ちょっと夏美! なんで拓人の手をさりげなく握るのよ!」

ベル「そうですわ!」

初音「うんうん、不平等だよ! ということでボクも......」

そう言うと、今度は初音がもう一方の手を握ってきた。

茜「初音まで何やってるの! もう拓人!」

ベル「拓人さん!? わたくしとの愛を放棄するつもりですの!?」

拓人「俺はなにもやってない!」

そして、結局こんなこともあり、拓人は寄り道に付き合うことになった。



拓人「ここがそのカフェか~思ったよりも落ち着いたところでいいな」

ベル「わたくしも初めてここに来ましたけど、いいところですわね」

学校から5分ほど歩いたところで、拓人らは寄り道場所であったカフェについた。

このカフェはどうやら新しくできたようで、閑静で落ち着いたところだった。


店員「お客様は何名様でしょうか?」

拓人「5人で」

店員「かしこまりました。それではこちらへ」

店員のマニュアル通りの質問に答え、後をついていって俺らは席に着いた。

席順はというと、ソファーの席の右端から、夏美、拓人、初音。

そして、その向かい側の椅子の席には、ベルと茜が座っている。

席も座れたことだし、いざ注文をしようとしていたら、ベルと茜がむくれ顔で俺らに訴えてきた。

ベル「なんだかおかしいですわ! なんでわたくしが拓人さんの隣の席じゃありませんの!」

茜「そうよ、拓人が座った瞬間夏美と初音は気づきもしない速さで隣に座ったじゃない!」

その時のことを思い出しながらベルと茜はさらに続けた。

ベル「しかも、ここに来る前に拓人さんの手を握っていましたし!」

茜「うんうん!」

ベルと茜の言葉を反論するように、夏美と初音も続ける。

夏美「私は最初からソファーの席がよかったからここに座ってるだけで、

別に拓人の隣に座りたいとか思ってなかったわ」

初音「ボクも拓人がここに座るとは思わなかったけど、

隣に来てくれるとは思っていたよ、だって拓人は優しいもん!」

拓人「いや、別に俺は優しいから隣に座ったわけじゃ......」

そんな拓人の言葉も聞かず、4人はまた熱い議論に入ってしまった。

こうなると飛び火して拓人にもなんか言ってくる可能性があるので、

拓人は4人の中に入っていった。


拓人「とにかく! 今日はせっかく寄り道してるんだし、はやくなんか注文しようぜ?」

俺の言葉を、4人は渋々了承し、オーダー表を手に取った。

ベル「それにしても、わたくしは何にしましょうか......

あ! 拓人さん、拓人さんはどれになさいますの?」

拓人「え、う~ん......俺はこのカフェオレにしようかな」

ベル「ま~! わたくしもこのカフェオレがいいと思っていましたの!

拓人さんと同じですわ」

拓人「お~そうだったのか、これおいしそうだもんな!」

拓人に拾ってほしいところを拾ってもらえず、頬を膨らますベル。

ベル「もう~拓人さん.....」

拓人「え、俺怒らせるようなことしたか?」

そのベルの様子をみて、なぜベルが怒っているのかわからずにいた拓人。

そんな拓人に、初音がすこしいじわるな顔をして告げた。

初音「拓人も罪作りな人だね~」

拓人「やっぱり、俺なんかしたのか?!」

初音「まあ、そんな大して怒ってもなさそうだし、放っておいても大丈夫だよ、

それより、ボクこのドーナツを食べたいんだけど、一人じゃ食べきれないと思うんだ。

だから......拓人も一緒に食べてくれないかな?」

拓人「だったらいいんだが......

あ~確かに少し一人で食べるには多いもんな......おう、わかった!」

初音「ありがとう拓人!」

拓人の返事にとても嬉しそうにはしゃぐ初音。

その姿に少しばかり見とれていたら......


夏美「ちょっと拓人~? 初音のこと見すぎじゃない~?」

拓人「そ、そんなことねーよ! それより、夏美はなに頼むか決めたのか?」

夏美「うん~......私はアップルティーかな~」

拓人「夏美はホント変わんねーな~、昔からずっとアップルジュースとかアップルパイ

とか好きだったよな」

夏美「そ、そんな昔のことなんで覚えてるのよ!///

い、いいじゃない......だって好きなんだもん」

夏美はそう言って、顔を赤くして、体を小さくさせながら「う~~」っと唸った。

そんな姿にまたもや赤面してしまう拓人。

その姿をみて、向かい側の茜はむすっとした顔をして拓人に言った。

茜「ホント、両手に花とはこのことね」

拓人「な、なにをいってるんだ!」

拓人はそういわれると即座に夏美から視線を背け、茜の方を見た。

拓人「それで......茜はなんか頼むもの決めたのか?」

茜「うん、私はパフェにする!」

拓人「オーケー、じゃあみんな決まったな?」

みんなの注文するものが決まると、拓人は店員を呼んでそれぞれの頼んだものを注文した。

そして数分後、他愛もないやりとりをしながら、みんなの注文したものが届いた。


拓人「お~やっと来たか~」

茜「待ちくたびれたわ~早く食べましょう~」

初音「そうだね、ボクもおなかが空いたよ」

そういうと、みな一斉に自分の前に置かれたものを食べる人は食べ、飲む人は飲んだ。

ベル「このカフェオレおいしいですわ! 拓人さんと同じものを選んで正解でしたわ!」

拓人「確かにこのカフェオレはおいしいな、ベルがそう思ってくれてほっとしたよ」

ベル「わたくしは拓人さんが選んだものならなんだって良いと感じますわ!」

たぶんそれは本当に思ってくれているのだろう......

拓人はそう思いながら、真剣な顔でベルを見つめる。

拓人「ありがとうな、ベル」

ベル「......///」

急に真剣な顔になった拓人にそんなことを言われ、もう顔は真っ赤になっていた。

そのところを見ていた初音がすかさず拓人に言い寄った。

初音「拓人! やっぱりボクにはこれ全部は食べきれないと思うから、

食べてくれないかな?」

拓人「お、おういいぜ」

その返事を聞くと、初音はドーナツを拓人の前に出した。

初音「はい、食べて食べて!」

拓人「お、おう......」

拓人は初音にせかされるままにドーナツを頬張った。

しかし、次の瞬間、拓人は赤面しながら大慌てでドーナツから離れた。

拓人「お、おい初音! なんで”一緒に”食べてるんだよ!///」

初音「だってその方が効率いいと思うんだ!」

拓人「効率はいいかもしれねーけどいくらなんで恥ずかしすぎるだろ!」

初音「ボクはこのくらいどうってことないよ!」

胸を張って誇らしげにそういう初音のしばし呆気に取られていた拓人。

初音は逆にどういったところで恥ずかしくなるのだろうか......

少し気になった拓人であったが、今は留まって、一口カフェオレを口にした。


夏美「ね~拓人が飲んでいるそのカフェオレおいしい?」

拓人「ああ、結構おいしいぜ。夏美のアップルティーもおいしいか?」

夏美「うん、おいしい! ねー、お互いの飲み物飲みあわない?」

拓人「ああ、そうだな!」

ベル・茜・初音「!?」

拓人と夏美は、お互いの飲み物を交換してその味見をした。

拓人にとっては昔から夏美とやっていたことなので、恥ずかしくはないのだが、

ベルたちから見たから、単純な間接キスなのだ。

おまけに、当事者の夏美があんなに顔を赤くして拓人のカフェオレを飲んでいるとなると、

話はまたややこしくなった。

拓人「このアップルティーもおいしいな! さすがはアップル!」

夏美「拓人のカフェオレもおいしかったわ!」

そしてお互いの飲み物を返してもう一回飲んだところを見て、ベルたちは思うのだった。


......羨ましい............と


茜「た、拓人......」

拓人「ん? どうしたんだ、茜?」

茜「いや、その......私もこのパフェ一人じゃ食べれなくて......」

そういうと茜は体を立たせて、アイスをスプーンにのせて、そのまま拓人の口の前に運んだ。

拓人「え!?///」

茜「は、はい あ~ん///」

ベル「こ、これって......!」

初音「......これがあーんってやつ....なの......!」

夏美「私もしたことないのに~~!」

茜は手をプルプルさせながらスプーンを持っていた。

さすがにこのまま食べないのも茜に悪いとおもい、拓人はスプーンを自分の口に入れた。

拓人「......うん、おいし...かった///」

茜「......そ、だったらよかった///」

お互いに赤面している姿をみて、夏美たちは拓人に言い責めた。

夏美「拓人! そんなに茜にあ~んされて照れてるの!?」

拓人「いや、これはさすがに仕方のないことで......」

ベル「だったらわたくしも拓人さんにあ~んしますわ!」

初音「あ! だったらボクもする!」

夏美「な!? じゃ、じゃあ私も!」

茜「あなたたち、横取りしないでよね! 拓人には私があ~んするんだから!」

そう言い終わると、4人はテーブルに置いてあったスプーンを手に取り、

パフェのアイスをのせて俺の口の前に運んで言うのであった。


「「「「はい、あ~~ん!」」」」

拓人「いい加減にしてくれ~~!」


その日、拓人の疲れが取れることはなかった。



















昨日は投稿できなくてすみませんでした。

事前にお知らせできなかったので活動報告のところで書きました。

これからも急に予定などが入って投稿ができなくなってしまったらそちらでお知らせしようと思うので

よろしくおねがいします。

これからも応援よろしくお願いします!

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