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蒼眼の反逆者 〜ウィル〜  作者: そにお
第3章 鮮血の巫女と蒼眼と緋眼
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86話 取引条件

 憔悴したメレネイアは別室で休んでもらうことになった。

 今まで見たことのない母の様子にレインシエルは心配でたまらず一緒に部屋に向かう。


「すみません。力不足で。ただ、ルイとアリスニアも私たちもそれにまったく疑問を持っていなかったと思います」


 去り際に足を止め、記憶は抜けていたが当時の心情、感情があったのかそれだけ言ったあと部屋を出ていった。


 残った部屋には言いようのない重苦しさが漂った。


「私のせいで申し訳ありませんでした」


 それが自分のせいだとウォルトは頭を下げる。


「いや、そんなことはないよ。えーっと、とにかく俺たちは楔を解放しにいかなきゃって話でクロムって遺跡は入れないのか?」


「難しいとは思いますが、今どうなっているかは私も確認しておりません。メレネイア様のこともありますし確認は明日にしましょう。我々も協力する、ということでよろしいですよね若」


 ウォルトはフィドルの許可を確認する。

「ああ、この辺りは庭みたいなもんだ。いいぜ」


 フィドルはすんなりとウォルトの提案を受け入れる。


「それは助かるけどよ、いいのか?」


 ウィルは協力してくれること自体は嬉しく思ったのだが、そもそもフィドル達には関係のない話で彼らにはもっと大事なことがあるはずだと思った。


「それに関してですが、今後のあなた方への協力と引き替えと言ってはなんですが、我々にもウィル様達の協力を申し出たい」

 その問いにウォルトが代わりに答えた。


「最初っからそのつもりでしたでしょうに」


 ユーリがすました顔で紅茶をすする。

 どうに乗り気じゃないようで感情は表情には表さないものの口調は淡々としていた。


 

「ふっ、ユーリ様のおっしゃる通りです」

 参ったと言わんばかりにウォルトはおどけてみせる。


「と、言うと?」

 ウィルは何か条件があることに気づき、続きを促す。


「俺から言わせてくれ。ウィル達の楔の解放の協力と同行させてもらいたい。父上の行方はウィル達についたほうが確実そうだからな。それとこれはウォルトとも話していたんだが……」


 ウォルトが答えようとはしたがそれを手で止めるとフィドルは立ち上がり、ウィルに頭を下げる。


「頼む! ミリアン奪還に協力してくれ!」

 

 その突然の願いに反応したのはウィルではなくユーリだった。

 かたん、と紅茶のカップをわざとか音を立てて置く。


「それは出過ぎた願いでしょう。僕達の目的は楔の解放であってあなた達の国を助けることは関係がありませんよ」

 

 ウィルにはどうしてそこまでユーリがつっかかってくるのかがまったくもって不明だった。


「それは分かっている! だめならだめでいい! それでもおまえ達の協力はする」


 しかし、負けじと頭を上げずにフィドルは一生の願いのように必死に訴える。


「私、いやこれは我らについていてくれた同志達の願いでもあります。それに政治的な話ではありますが王の保護を完遂すれば我らは正規軍としてミリアン奪還を果たせます。もちろんあなた達のリーベメタリカ構想に参加するよう王を説得しましょう。この状況で孤立無援を脱出することは王も承諾するでしょう。

それはあなた方イストエイジアにとってもリーベメタリカ構想の主目的のはずです。決して悪い話ではないかと」



「ウィルさん、断っていいんですよ。あなたは戦争に参加するということに賛成していないはずです」


 ウィルは確かにそうだと思った。

 少なくともニーアは巻き込まない。

 それが巻き込まれた結果ならまだしもこれは参戦するという意味に他ならない。


「ウィル兄が決めていいよ。だいたい言われなくても決めてたでしょ」


 ウィルはニーアの言葉に目を丸くする。


叶わねえな、妹には。


「ユーリ、お前の言うことはもっともだけど、事態をややこしくしているのも無関係ではないし、俺はフィドルに力を貸したい。もちろんユーリ達が嫌ならというか協力してくれるかは任せるよ」


「もちろんウィルさんについてきますよ?」


「は?」


 今までのやりとりはなんだったのかと思うほどユーリはウィルの決断を支持した。


「お前、反対だったんじゃねえの?」


「反対するとは言ってませんよー」


「さようで」

 軽く返事するユーリにウィルは脱力した。


「まあこいつはいいといして、オルキスとティアは?」

 

 話を聞いていたオルキスとティアにも確認する。

「わたしはついていきます! わたしだけ何もしないのなんて嫌です!」


 オルキスは自分の意志をそのままウィルに伝える。

 それはなによりも気持ちを優先した力強い言葉だった。

 一番、気持ちが強いのはオルキスであるとウィルは尊敬していた。

 決して折れない心が幾度も折れてきたウィルには羨ましくも思った。


「もちろん記録係ですので行かないはずないでしょ!」


 ティアに限っては目的がずれている気がするが、協力してくれるようで素直にありがたく受け止めた。

 ただ前線にはいろんな意味で立たせたくないとは思った。


「うし、という訳だフィドル。あとはメル達だけど」


 ウィルは頷きフィドルに協力の意志を示す。

 後はメル達だけだ。

 


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