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蒼眼の反逆者 〜ウィル〜  作者: そにお
第3章 鮮血の巫女と蒼眼と緋眼
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78話 頭上注意

 船は順調にミリアンへ航行し、崖に面した入り江に船は停泊した。

 人は恐らく来ない。

 どうにも昔は海賊の根城に使われていたようで辺りには朽ちた木材や木箱が捨て置いてあり、所々破れたまさに海賊といった髑髏の旗が地面に湿っていた。

 入り江の洞窟を抜け、森を抜ければ街道にでるとのことだった。


「え、帰っちゃうの」

 レインシエルは早々に踵を返してイストエイジアへと帰還へ向かっていった船にあんぐりと口を開けた。


「はい。万が一、イストエイジアの船を確認されてはまずいですからね。ここからは結構かかる想定なので帰りはバダード領イリイエ港からの帰還となるでしょう」


 イリイエという町はニーア救出時にイストエイジアへ渡る時に使った港町だった。


「懐かしいですね。そこでウィルさん達と運命の出会いがありましたね」


 ユーリは無駄に強調するようにウィル達との出会いを思い出す。

 それはスルーしたがウィルにとっても色々と考えた町だった。

 次にイリイエに行った時は、心境の変化を感じるだろうかと帰り道を早々に想像した。

 

「それじゃ、行きますか!」


 ウィルは薄暗がりの洞窟を前に気合いを入れ直す。

 他の面々も一様に頷きウィルの後に付いていく。


 入り江の崖の森から見下ろす二人の存在には気づかなかった。

 気配の隠し方は絶妙で庭のようになっている二人の男の姿をウィル達には感じることはできなかった。


「おい、あいつ……」


「ああ、若に報告だ……」


 二人は互いに向き合い頷くと森の闇へ消え失せていった。



 洞窟内は不思議と全体がほのかに明るくなっており足下にも困ることはなった。

 内部は入り組んでいるようだったが、既に看破されているようで、古めかしい地図をメレネイアが片手に持ち皆を先導した。海賊が根城にしただけはあり、地図がなければ迷うことは確実だっただろう。


 時々、メレネイアは立ち止まり分岐と地図を見比べる。

 道決めに少し時間がかかることもあり、段々と首を傾げる回数が増えていった。


「地図結構わかりにくいのか?」


 度々悩むようにするメレネイアに寄り、地図をのぞき込む。

 古いようではあったが一見してもわかりにくいとは思えなかった。


「いえ、基本的な構造は変わらないようですが、所々違う箇所が見受けられて、風化によるものでもないようです」


 メレネイアは地図を指さし現在地をウィルに見せる。

 確かにそれと実際の道を比べると分かれ道となっているが地図ではそんなことはなかった。

 それに地図にない方の道をのぞくと行き止まりのようでそこには木製の棚やら樽やらが転がっていた。

 それは入り江の付近のような朽ちているわけではなく、それなりに最近のようにしっかりとした作りのようだった。


「あ、おい」

 ウィルの制止も聞かずにユーリはあえてそちらを進み棚を触ったり間近で観察していた。

 いつもの興味がてらの観察ではなく、確かめるように樽をのぞき込んだりにおいを嗅いだりしていた。


「どうやら海賊の後に住んでいた者達がいるようですね。今もかは分かりかねますがそれなりに新しいワイン樽のようです」


 ユーリがこちらに戻ってくるとそう報告した。 

 一転して興味深げにほこりかぶったグラスを持ち底にこべりついたワインの残りを見せてくる。


「まあ確かに海賊が拠点としていた事実もありますし後から人が入ってくることも考えられますね」


 それも考えられないことは確かになかった。

 道中それを念頭に進んでいくとそこかしこに生活の跡が見えた。


 出会わない事に既に住んでいる者がいる可能性は小さくなっていった。

 魔物の影もなく地図ももう少しで出口を示していた。


 突如広い空間に出た。

 空は見えないが道中よりも一際明るくドーム状の空間を照らしていた。


「これはすごい! 早速書き留めなきゃ!」


 ティアが前に躍り出てその空間の様子を残したいのか懐から分厚い本を取りだすが書くものはその手にはなかった。


「リンク」


 ティアがつぶやいた途端、日記は最新のページを開き、紫色の光が浮かび上がるとそれらは文字や絵となって書き込まれていく。

 色もかき分けれられティアを小さくしたようなイラストが所々描かれていること以外は傍目から見ていたウィルも感心した。


 空間内の細部が自動的に書き込まれていき、側面に開いた水が流れる複数の大きな穴を描いている途中で小さなティアが困ったように顔をしかめる。


「あれ?」


 不思議そうに筆が止まったことを眺めていると、ダーナスが剣を抜く。

 ほぼ同じタイミングで各々武器を取りだし構える。


「来るぞ!!」


「何がですか?」


 状況を全く察していないのか武器を抜いている仲間にティアは見当違いな返答をする。

 するとティアの頭上から影が差し大きく広がっていく。


「上!!」


レインシエルがティアの直上を指さす。


「え? あ? ああああ!!」


 指を追うように初めて上を向いたティアは迫り来る突然の影に声を上げるだけだった。


「って硬直すんな!」

 

 ウィルはティアに走り込みその勢いのままにティアを抱くようにして飛び込んだ。

 影が地面に直撃する。

 水音のような音が木霊し影は光に照らされその姿を現した。



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