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蒼眼の反逆者 〜ウィル〜  作者: そにお
第2章 自由解放戦争
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47話 仮面の蒼

 ウィルは水路を飛び越え、その跳躍のまま仮面の男に飛びかかる。

 まずは一発殴る。

 それしか頭になかった。


「遅かったな、ウィル」


「!!」

 顔面に拳が当たる瞬間に仮面の男はウィルの名を呼んだ。

 止まらない拳は仮面の右頬を捉える。


 鈍い衝撃音が響く、殴られた本人は首をもたげその一撃を受けた。

 だが頭のフードが取れただけで上体を崩すことはなかった。

 素肌は一切見せずフードの下も鈍い黒色の服装だった。

 ウィルは勢い余って体もろとも仮面の男にぶつかりそうになる。

 振り抜かれた拳を仮面の男は黒い手袋をはめた右手で掴み、勢いそのままに回転しながらウィルを振り、仲間の元へと投げ飛ばした。


「ウィル!」

 ニーアは飛んできたウィルを受け止めようとするが、一緒にとばされそうになる。

 後ろに更に支えを感じるとなんとかウィルは止まった。


「ずいぶんな歓迎ですね」

 後ろにいたのはアルフレドだった。

 珍しく声に余裕がない、戸惑いが見られ言葉に迷っているようにも感じた。


「それはこっちのセリフだ」


「話に聞いていたより堅苦しい話し方ですね」

 ウィルの、オルティの日記にあったような軽い話し方ではなかった。

 仮面にくぐもった話し方はどこか重く感じ、仮面を被った謎の男という雰囲気にはよくあっているようにも感じた。

「……」

 それに関しては返事はなかった。


「お、親父……!」

 脳が揺らされたか足下はおぼつかない中でウィルはかろうじて立ち上がる。

「なんか知らねえけど、やっと追いついたんだ。全部話してもらうぞ!!」

「……」

「お父さん……?」

 答えない父親にニーアは不安を覚える。

 抑えきれない涙があふれる。

 それは再会の嬉しさと思い出とは違う不安からだった。


「なんか言えよ! 親父!」

 たまらずウィルは叫ぶ。

 雰囲気は父親そのもので昔よりは筋肉が落ちたようで細い印象を受けていたが、時間の経過がそうさせたのかと思うとウィルは10年の空白の時間の重さを感じた。


 ルイノルドは答えず台座に手を触れる。

 紫色の紋章が浮かび上がる。

『塔の強制起動を確認。本来の承認フロー外のため、起動後速やかに管理者権限による最終承認が必要です。起動まで10分。その後、5分以内に承認が行われない場合、不正起動と見なし全システムはパージ後、シャットダウンします』

 

「あの野郎、強制起動だと! この先の管理者フロアにいかねえとどっちにしろ崩壊して終わるぞ!」

 切迫した表情でジェイルは叫ぶ。

 その表情から本当にまずい状況であることが分かる。

「……親父、お父さん。まだまだ子どもだな。失望させるなよ。答えを聞きたきゃ」


 ルイノルド、は腰に手をかける。

 フードに隠れていたが携えた鞘から剣を抜く。

 その瞬間、蒼い光が漏れ出る。

 ウィルの蒼よりも濃いゆっくりと揺らめく光を纏った長剣が抜かれウィル達に構えられた。


「見せてみろ、覚悟をな」


「やめなさい! ルイ! あなたは誰に剣を向けているのか分かっているの!?」


 メレネイアが一歩前に出て剣を向けるルイノルドに怒りに満ちた表情で睨む。


「……もちろん、お前らだ」

 静かに言い放つ。

 その瞬間、言いようのない重圧に全員気圧された。


「なっ……」

 油断すれば切られるイメージすら沸く。

 それは疑いようのない殺気。


「皆さん、ここは再会を喜んでいる場合じゃないですよ」

 一人ユーリだけが武器を構える。既に紫電は剣の形を作っていた。


「そんな、おかしいよ。親子で」

 レインシエルは震える手で短剣に手を伸ばす。

 この危機的状況から本能的に身を守るために動いていた。


「仕方ありません。使いたくはなかったのですが」

アルフレドは初めて武器を取る。

 懐から取り出した小さな正方形の箱。

 それにマナをそそぎ込むと箱に縦横に亀裂が入りパズルのようにその形を変えていく。

 大きさまで変わりアルフレドの手に収まった。

 出来上がったのはウィルが持っている銃のようだった。

 ただ光沢を放つ黒一色の銃は銃身がウィルのそれよりも太く、そして古びた様子もなく明らかなアーティファクトだと分かる。

 銃身上部に空いた空間に透明な液体に満たされ浮かぶ白い石が格納されているカートリッジをはめると、石は輝き、銃身の溝に光が這う。

「はあ、もったいない。あなたのアイデアで創ったものですがこうなるとは」

 アルフレドは本当にがっかりと名残惜しそうに銃をルイノルドに構える。


「……やろう」

 ウィルは剣を抜く。

 ウィルにも冗談ではないことはこれまでの戦いの経験から分かるようになっていた。

「わかった……フォルテ」

 ニーアは涙を拭い父親を見据え、ウィルの蒼を発現させるための歌を唄う。

 ウィルの別人格が現れることはなかった。

 自らの意志で蒼を剣に纏わせる。


「全員で来い」

 ルイノルドは構えを崩さず迎えうつように真っ直ぐに剣を向けていた。

「ちい、やるっきゃねえのか」

 ジェイルは舌打ちした後、両手に指輪をはめる。

 マナを込めると拳から肘までを覆う手甲を出現させた。


「後で説教だかんな! 泣いても知らねえぞ親父!!」


 ウィルは剣先を後ろに向けルイノルドに突っ込む。




 


 

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