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蒼眼の反逆者 〜ウィル〜  作者: そにお
第2章 自由解放戦争
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25話 海の上へ

 翌朝、強い日差しにウィルは目覚めた。

 久しぶりにすっきりとした気分だった。


 「よく眠れましたか」


 夜はいなかったアルフレドが部屋の一角でコーヒーを飲んでいた。

 寝起きに若干いらついたが、それよりも気になったことを聞く。


「昨日、帰って来た?」


 着替えながらアルフレドに問いかける。


「あなたが涎をたらしているくらいに帰りましたよ」


 寒気がしたウィルはそれ以上は聞かないことにした。

 寝顔を見られたのかと思うと心の底から気持ち悪さを感じた。


「あ、そう……」


「朝食は夕食と同じ下のレストランに用意してくれてますよ」


 どうやらアルフレドは既に朝食を済ませていたようだ。

 だからこそのコーヒータイムなのだろう。


 ウィルはなぜか安心し、顔を洗った後、部屋から逃げるように階下へと向かった。


「おはよー」


 階段を折りきったところで、後ろから声をかけられた。

 レインシエルが元気に駆け下りてくる。

 どんなに短い睡眠でも朝は強いらしい、さすがはメレネイアの娘といったところだろう。


 その背後からは反対にふらふらと目をこすりながら降りてきたのはニーアだった。

 明らかに寝不足だとわかる。

 

 ウィルは昨夜の夜更かしが原因だろうと合点がいった。


「おはよー。レイ、と……ニーア」


「おはよー……ふあ」


 昨日の今日で恥ずかしさもあったがそれに対してニーアは特に気にも留めてないようだった。

 ウィルの脇をあいさつもそこそこに通り過ぎていく。


「どしたの?」


 レインシエルがウィルの顔をのぞきこむ。


「いや、なにもなかった」


「ん? まあ早くご飯たべよ」


 レインシエルはきょとんとした後、空腹が優先したのか突っ込んでくることはなかった。

 そのままレインシエルについていった。


 レストランにはいると他の乗船待ちの客が数組既に食事を進めていた。


 「そういえばメルさんは?」


 「お母さん? もう済ませたみたい」


 アルフレドとご飯を食べたのだろうか。

 ウィルは朝のアルフレドの様子を思い出したが、即効で打ち消す。


 「さっきからどうしたの?」


 「いや、なにもなかった……はず」


 「ん? あ、ニーアちょっと待ってよ」


 きょとんとするレインシエルは空腹よりもニーアを優先したのか、同じテーブルにつきウィルに手招きした。


 ニーアとレインシエルの向かいに座る。

 ほどなくして料理が運ばれてくる。

 海を見渡せる席で、外では数隻の船が出ていた。

 遠くの沖にも1席大きい船がかろうじて見えた。


 食べているうちに目が覚めてきたのかニーアはウィルを見て数秒停止したかと思うと、突如、顔を赤らめ盛大に咳き込んだ。


 「ウィ、ウィル兄いたんだ」


 レインシエルに背中をさすられながらナプキンで口元をぬぐう。


 「お前の寝ぼけ具合に衝撃だわ」


 一瞬むっとしたニーアだった突っかかることはなく、飲み物を一気に喉に流し込む。

 意外な反応にウィルは調子を狂わせるが、食事の手を進めたのだった。



 食後、しばらくして宿の前へと集合する。

 「お、あれかな」

 ウィルは船着き場に客船が停船していることに気づく。

 少し遠目だが、船員たちが荷物を運んでいる様子も伺えた。

 

 「おはようございます」


 ユーリがにわかに現れた。

 「びっくりしたあ」

 後ろから声をかけられたレインシエルは思わず飛び退いた。

 そしてニーアの背後から手が伸びてアイリが抱きついた。


 「ひゃあ!?」


 素っ頓狂な声を上げ飛び上がる。

 満足そうにしてアイリは手を離す。


 「おもしろい」


 口角を上げ不気味ににやつき手をもみもみさせ相変わらず感情の乗らない口調だった。


 「変な集団になったなあ」


 しみじみとその光景を眺めてウィルは呑気につぶやいた。


 「そうですねえ」


 ウィルの耳元にささやく声が突如聞こえ、ウィルは右耳を抑え転がる。


 「ひっ……」


 叫び声よりも身の危険を感じた。


 「あんたまで張り合うな!!」

 ウィルは顔を上げ、アルフレドを視認した後、怒りに任せ叫んだ。


 「負けてられませんからねえ」


 成功したためか満足げにアルフレドは微笑む。

 その後なぜかユーリ、アイリ、アルフレドで握手を交わしていたのだった。


 「はあ、何やってるんですかあなたたちは」

 ため息混じりに宿からメレネイアが出てきた。

 どうやら会計が終わったようだ。

 

 他の民間人に混ざり船へと並ぶ。

 客層を見渡すと家族連れが多く見られる、それ以外は単純に旅行者かと思われる。

 危機感があるのかないのかあいまいな客層だった。


 特に何も起こるはずもなく、乗船は滞りなく終わり、客室へとそれぞれ引っ込む。


 ウィルは荷物をおいた後、早々に甲板へと向かった。

 甲板へは既に乗客が出て風を感じていた。

 周りを伺うと、護衛らしき船が四隻、沖に出ていた。


 『ただ今より出港します。厳しい情勢の中、お客様に快適な旅を提供いたします』


 海に面した両側の推進部分が紫色文字を浮かび上がらせると緩やかに波を作り前進していった。




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