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蒼眼の反逆者 〜ウィル〜  作者: そにお
第2章 自由解放戦争
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21話 鞘なき剣とありし王

 ウィルの快復は予定より早かった。

 一週間たちある程度、自由に動けるようになったあと、出発へとこぎつけることができた。


「また馬車かー。 王都で見たフォーゲルってのに乗りたかったなあ。それか機空挺!」


 レインシエルはそう言いながら荷台に乗る。


「あれは一般人には普及しきれてないですからあきらめてください。

 それにこうして馬と旅することも風情あってよいですよ」


 アルフレドは手綱を握り後ろに向かって声をかける。


「旅!旅!タビ!」

 ニーアはテンションがあがりすぎて同じ言葉しかしゃべられなくなっているようだ。

 ウィルは生温かい目でニーアを見守り正面に座った。


 手に持った布でぐるぐる巻きにした剣を置く。


「鞘が砕けたので気をつけてくださいね」


 隣のメレネイアが心配する。

「短い付き合いだったなあ」

 ウィルは残念そうに剣を見つめる。


 ウィルの使っていたナイフは今、布に巻かれている剣となっていた。

 かの戦いで鞘は砕け散りナイフだったものは刀身が延び片手剣へと成長し落ち着いた。


 収まり切らなくなった鞘は砕け散り、その鞘の機能がそのまま剣に引き継がれたため剣の長さが保たれているらしい。

 確証はないとアルフレドは言っていたが。


 抜き身は危険なため布で巻いているが、なるべくなら合う鞘も調達しなければならない。

 ただ品質の高いアーティファクト製の鞘を調達しようとするとやはり、アストレムリが一番良いらしい。

 技術者を囲っているということが大きく、他の周辺国は技術不足が深刻らしい。

 ただ個人でアトリエ持っているところも少なくはなく、いろんな分野が存在するとのことだ。


 「お、機空挺だ」


 ウィルは頭上はるかに数隻の機空挺が飛んでいるところをみる。

 

 「まあ戦時中ですからねえ。それにエファンジュリアの驚異も少ない今、攻め時なのでしょう」


 声が聞こえたのかあるふれが反応する。


 ウィルがアストレムリで来た頃に見た機空挺よりも若干見劣りしている印象を受けた。

 それも技術力の差がでているのだろう、そんな中で戦争を仕掛けることに少しばかりウィルは疑問を抱いたが関係のない話なので特に口にはしなかった。




ーーーーーーー

 イストエイジア王国、城下町エイジア内、同名の場内にて伝令が謁見の間へと入る。

 端末での連絡も可能ではあるが盗聴や改竄を防ぐため伝令の役割がなくなることはない。


 倹約気味で豪華とはいえない質素な場内は、謁見の間だけは幾分か豪華な装飾で飾られている。


「我が君、報告します!」

 伝令はひざまづき頭を垂れる。


「はいよ。ケイン」


 対面する王は、まだ若い。

 王の威厳はほぼ感じられず返事も軽かった。



 その軽さはいつもの事なのか、隣の王女、側近、伝令ですら何の違和感もなく過ごしていた。

秘書官の女だけため息を漏らしていた。

 ケインと呼ばれた華奢の青年はそのまま答える。

「気まぐれ男が現在ミリアンからこちらへと移動中。移動の融通の依頼です」


一見、市民のように一般的な服に身を包む彼ははっきりとした口調で答える。


「イリア、頼む」


王は横目でイリアに伝える。

イリアと呼ばれた秘書官は無言で頷き、手にもった端末を操作する。


「ミリアン王国の動向はどうだ?」


「現状は優勢のようです。おそらくそろそろ援軍要請がくるでしょう」


「うーん、やだなあ、いや、嫌だな」


「ジェイル、対して変わってません」


「リーチェ、やはり王には向かん、やめようと思う」

王女リーチェの指摘に王はいつもの軽口をたたく。


「はいはい。引退はまだ早いですよ」

気品漂うたたずまいのリーチェことヘクトリーセはいつもの調子で軽く流す。

さらさらとした金の髪が美しくなびく。


「まじめにやってるこっちがばからしくなるからちゃんとしてくださいよ」

先ほどまでかしこまっていたケインが言葉を崩す。


「少しは王女や私を見習ってください」

眼鏡を直しながらイリアは意見する。


「へいへい、さてと……、 国境の防衛線を強化、今はまだ参戦の意向は出すな。商会には話を通せ、

彼らには各方面動いてもらう必要があるからな。

 情報は可能な限り収拾しろ。特に敵戦力の分布だな。すべて先手を打つ」


「お、有能っぽい」

ケインは拍手する。


「こちらの計画がばれては目もあてられんからな、しばらく無能ですごさなあかんのよ」


さも本当は賢王といわんばかりにどや顔をかます。

それに対しその場の護衛の兵士までも全員がやれやれと両手を振る。

そして、少し間が開いた後ケインは姿勢をただし右手を左胸に当て握りこぶしを作る。


それに続き全員が同じくリーチェ、特に国王ジェイルに対して同じ姿勢をとる。


「全ての民に安寧を!」


『安寧を!』


ジェイルはゆっくり頷き自らも同じく誓う。


「あまねく生きる者たちにこの命捧げん」


その場は一つの想いしか存在しない。

王はそう信じる。

信じることこそ力になると顔も思い出せない友人に向けて誓うのだった。

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