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蒼眼の反逆者 〜ウィル〜  作者: そにお
アストレムリにて
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18話 うつろな目覚め

 まぶたを通して光を感じた。

 重いまぶたをゆっくりと開けると、いっそうまぶしい光が目に直接そぞがれた。


「うっ・・・・・・」

 思わず顔をしかめる。

 視界がまぶしくはっきりとその様子を伺うことに時間を要した。


「あ、起きた!!」

 聞き覚えのある声に顔を向けると、

 ちょうど輪郭はぼやりと浮かぶ、

「ニーア・・・・・・?」


「・・・・・・待ってて」


 その反応から違うということがウィルにはわかった、

 おそらくレインシエルだ。

 悪いことをしたと、悔やんだ。


 まだ視界がはっきりしない。

 体は鉛のように重い。

 全身の筋肉が脳からの指令を受けていないのではないかとも不安にもなったが、

 感覚自体はあったので少しだけ安堵した。


 頭も重い。

 重力に首が持っていかれそうだ。


 かろうじて見渡すと木造の部屋できれいに掃除されている部屋のようだった。

 あの王都の騒がしさはなく外では小鳥のさえずる音が聞こえ、目覚めには最高だった。


 なんとか体を起こす。

 自分の体とは思えないほど重く鈍く動く。

 

 妙に思考がはっきりしない。

 どうしてここにいるのかを今一度考えてみる。

 思考は遡る。

 

 確か、聖堂で戦って、どうなった?

 そこで血塗れの場面を思い出す。

 自分の血ではなく殺した兵士の返り血が自らの全身に浴びていた。

 猛烈な吐き気がわき上がるがなんとか押さえ込む。


 その時、扉が再び開く。

 入ってきたメレネイアは口元を押さえているウィルに気づくと急ぎ駆け寄る。


「大丈夫ですか?」


 メレネイアはウィルの背中をさする。

 そのかいもあってか吐き気は奥へと引っ込んでいった。


「もう大丈夫です」


 ウィルは手をあげる。

 改めて冷静になり、自分の弱さを思い知る。

 

 覚悟。

 あの戦ったおおがらの男の言葉を思い出す。

 自らの手を眺める。

 あのときを思い出すと少し手が震えていた。


「情けな・・・・・・」


「ほんとにね」


 ウィルがふとつぶやいたときそれに同意するように聞き慣れた、しかし懐かしい女の声が聞こえた。

 思わず顔を上げると、そこには探していた人物が仁王立ちしていた。


「な・・・・・・、ニーア!」

 ウィルは立ち上がろうとするが、体が思うように動かずよろめいてしまった。

 そこをメレネイアが支え転倒は免れた。


 「そんな焦らなくても逃げないわよ」

 一瞬、ニーアは駆け寄ろうとした素振りはしたのだが、メレネイアが支えたところで慌てて元の体勢に戻る。


 改めてウィルはニーアを仰ぎ見る。

 「なんだよ。

 元気じゃんか……」


 ウィルの目頭は熱くなる。

 いろいろ聞かなきゃならないこともあるが、まず無事に再会できたことに心から安堵した。

 そのせいか涙が溢れそうになる。


 それを見てニーアは先ほどまで堅い表情していたが、徐々に目に涙が溜まっていき表情は崩れ始めた。


「なによ……そんな顔しないでよ。

 私だって……、っウィル兄……!」

 耐えきれなくなったのかウィルにニーアは抱きつく。


「怖かったよ」

それから少しの間、ニーアは怖かったことと会えてよかったことを言葉にならない声で泣き続けた。


「感動の再会ですねぇ」


扉にはさらに細目の男、アルフレドがハンカチを片手に眺めていた。

後ろからはレインシエルが脇から顔をだし貰い泣きしていた。




ひとしきり落ち着いた後、ウィルはベッドへと腰掛ける。


「さて、なんかよく分からないけど、たぶんありがとうございます」

ウィルは深々と頭を下げた。


記憶はないが、おそらく皆が助けてくれたのだろうということだけは分かった。


「顔を上げてください。

 あなたの…力がなければ私たちも無事ではなかったでしょう」


少し間があったことにウィルは気づく。

さらに周りもどういっていいのか迷っている様子だった。


「俺は何もできなくなった後……の記憶がありません。話してもらえますか?」


「いいでしょう」


アルフレドは聖堂での顛末を話し始めた。


次回は回想へ

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