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家族会議。

「何の会議なの?」

紗雪が聞く。

週末の朝、後片付けが済んで怜那の手が空いた頃、朝食後のテーブルに再び召集がかかったのだ。

怜那が四人分のコーヒーと、お手製のクランチチョコを運んできて、それぞれの前に置き、席に着く。恭兵が怜那にチラリと目配せをしてから切り出した。

「実は、転勤になったんだ。そのことについて、相談したいんだ。」

「どこへ?」

「俺ら、学校どーすんの?」

「それを相談するために、集まってもらったんだよ。行き先はニュージーランド。二人はどうしたい?」

「どうって…。」

二人は同時に声を発した。

「そうだよな。ピンと来ないよな。じゃあ、まず、今の進路について、考えていることを聞かせてくれないか。」

翔と紗雪は顔を見合わせる。数秒の沈黙の後、翔が切り出した。

「俺、大学受験のことしか考えてねーけど。」

「高校、どうしたらいいの?…ママは?ママはどうするの?」

「あなた達の状況にもよるけど、できればパパについていきたいと思っているの。」

3人の言葉を聞いた後、恭兵がゆっくりと口を開いた。

「お前たちの学校のことがあるから、すぐにとは言わないけど、俺としては、ママについてきてほしいと思っている。」

「どうしよう…。ママと離れたら、マカナイーノが食べられない…。」

紗雪がクランチチョコをポリッと噛みながらつぶやく。

「そっちの心配かよ!呑気な奴だな。」

翔も呆れながら、クランチチョコをほおばる。

コーンフレークをココナッツオイルのチョコで固めたそれは、二人の口で小気味よい音を立てる。口の中でココナッツの風味が優しく広がる。

「お兄ちゃん、分かってるの?こういうのも、食べられなくなるのよ!」

「あ…。」

翔がハッとする。

「俺としても、マカナイーノがないと困るんでね。というのはさておき、海外だからこそ健康管理という点でもママについてきてほしいんだ。お前たち、現地校に通ってみる気は無いのか?」

「留学は、憧れるけど、自信ない。」

「俺も。言葉の問題があるから。理系だし。」

普段ならワイワイしているティータイムだが、初の家族会議で、議題が議題だけに、二言三言の発言の後、気まずい沈黙が訪れる。みんなが、家族一緒にいたいと思っているだけに。

「…日本に残るとしたら、寮に入って、やっていけそうか?」

恭兵の問いに対する答えは、沈黙で帰ってきた。翔も紗雪も、YesともNoとも、すぐに答えが出せないからだ。

「ママが日本に残ることは、できないの?」

「…ついていかない方が、良い?」

その選択肢があってもいいはずだと、翔が顔を上げる。

「二日間、それぞれで考えてくれないか。今日は、ここまでにしよう。明後日、LINEでいいから、それぞれの考えを俺に知らせてほしい。…じゃあ、解散。」

恭兵が冷めたコーヒーを飲み干し、翔と紗雪も続いて飲み干すと席を立った。


「どうしよう…。お兄ちゃん、どうする?」

「俺にもわからねーよ。二日間で決めろとか、急すぎだろ。」

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