チョコレートの次は…。
朝食の炭水化物カットを初めて半月。慣れてきたので、昼も時々、カットするようになった。果物もだんだん減らして、市販のスイーツもほとんど食べないようになっている。慣れたのは良いがチョコレートに飽きてきたので、別の一口サイズのおやつを作ることにした。「ブラックベリーのチーズケーキ」だ。
溶かしたココナッツオイルにクリームチーズとブラックベリーのジャムをブレンダーで混ぜる。なめらかな淡いピンク色になったら、最後にジャムを軽く混ぜてマーブル状にしたものをバットに流し込む。冷蔵庫で冷やし固めたら一口サイズに切り分け、容器に保管しておくのだ。使うジャムは自家製で、砂糖ではなくハチミツ使用の、甘さ控えめのものだ。
「うん!これならいける!」
少しの時間で作り置きが用意できるので、それほど苦にならない。
「あ。何これ?美味しそう!食べていい?」
夕方、腹ペコの紗雪が帰宅するなり冷蔵庫を開けて声を上げる。ベリー好きな彼女が見逃すわけがないのだ。
「ブラックベリーのチー…。」
「おいしー!」
言い終わらないうちに紗雪は感想の述べる。
「それ、ココナッツオイルのだよ?」
「ほんと?これならおいしく食べられるよ!」
相川家のココナッツオイルは無臭のものなだが、料理によっては、先日のチョコレートのように匂いが気になるものもある。本日は合格とのことだ。
「市販のより、糖質も控えめだから、いいでしょ。」
「うん!」
もう中3になろうとしている、お年頃の紗雪にはとてもありがたいおやつだ。
「今夜のママのメニューは?」
怜那は、ケトンダイエットを初めて以来、タンパク質やら糖質やらの兼ね合いでで、別メニューにすることが多くなったのだ。ちなみに子供達は豚カツ。体が順応するまでのしばらくの間は、衣の糖質すらカットしたいからだ。もっとも、この“ケトン式マカナイーノ”も、紗雪には楽しみなようだが。
「ササミのキャベツ蒸し。」
「お。いいですねー。」
ササミを厚めにスライスしたものを塩もみしておき、粗くちぎったキャベツとともに、ココナッツオイルフライパンで蒸し焼きにするのだ。ササミを先に塩もみしておくと、後から塩胡椒を振るよりも、格段に美味しい。
「晩ご飯、た…」
「足りなくない!別腹!」
食べ盛りで、食べる量が増えたのだが、別腹は健在なのだ。
翔と紗雪が豚カツにかぶりついているところに、ケトン式マカナイーノのフライパンがテーブルに登場すると、二人の箸が伸びてくる。
「コレ、美味しい!」
レギュラーメニューにできそうだと、ほくそ笑む怜那だった。




