ケトン、始めました。
子どもたちも手がかからなくなり、マカナイーノを楽しむ時間も増えた今日この頃。寄る年波や重力は皆に平等にやってくる。怜那のウエストも体重も見事にふくよかになった。代謝が悪くなってきているのだ。
「ケトンがいいよ!糖質カット!」
幼なじみの長谷川綺羅々が言った。
綺羅々によると、炭水化物やその他糖質を摂らないようにして、その分、たんぱく質と脂質を摂ると痩せるというのだ。脂質はかねてより取り入れていたココナッツオイルを意識して摂取することになる。ご飯、パスタ、うどんなどなど炭水化物が大好きな怜那としては、ためらうものがあったが、ココナッツオイルならば、ダイエットしても髪も肌もツヤツヤだからと。そして何より怜那の心を動かしたのは「アルコール類も、甘くないものなら、飲み過ぎなければOK!」という点だ。炭水化物カットも、徐々にやっていけば大丈夫だからということだったので、ダメもとでやってみることにしたのだ。手始めに朝食の炭水化物カットからスタート。
朝食は、炭水化物の比率が高い。その分を埋めるには…?
「とりあえず、豆腐を食べよう。」
豆腐を軽く水切りして、フライパンの片隅で焼く。そして卵。目玉焼きかゆで卵か迷ったが、フライパンのついでがあるので、今日は目玉焼きにした。もちろん、ココナッツオイル使用だ。あとは、今まで通り、味噌汁に納豆や漬物、梅干しを食べる。
「なんだ、ご飯食べないのか?」
「食べないの。」
「調子悪いのか?」
「大丈夫だよ。なんでもない。」
ダイエットを始めたことは、まだ綺羅々と二人だけの秘密にしておきたいのだ。効果が出るまでの秘密がいい。綺羅々を信じていないわけではないが、効果が出なかったら?という不安もある。
…もし痩せたら、ご褒美に服でも買おうかしら。
アツアツの豆腐を口に運びながらワクワクしている。
「何ニヤついてんだよ。更年期障害か?」
寝起きの悪い翔が悪態をつく。
「なんでもないわよ。ったく!誰が更年期障害よ。」
言いながらもまだワクワクしている。
『初めのうちは、朝だけ炭水化物カットしてね。慣れたら徐々に昼も夜もカットで大丈夫だからね。』
家事をしているうちに昼になった。初日なので昼食は今まで通りに食べ、ココナッツオイルのおやつを作ることにした。
スイーツも市販のものは徐々に食べないようにしていくのだ。これからは怜那のおやつだけは自家製だ。ハチミツや、ココナッツの花蜜から作ったものを甘味として使用する。砂糖や小麦粉を摂らないようにするのだ。その他のおやつは、チーズやナッツだ。
手始めにココナッツオイルのチョコレートを作ってみた。ココナッツオイル100グラムに対してココアパウダー30グラム。なかなかの量なので、もったいない気もするが、ココアパウダーをケチると油っこくなるらしい。ハチミツは30グラムよりもやや少なめ。ここへ、ミックスナッツを混ぜて、クッキングシートを敷いたバットに流し、冷蔵庫で冷やし固める。
洗濯物をたたみ終え、ドキドキしながら冷蔵庫の扉を開ける。
「やったー!」
固まっているチョコレートを見て歓声を上げる。手で豪快に割り、一欠片を口に放り込む。
「おいしー!」
甘さ控えめのナッツチョコレート!これなら食べてOKなら続けられそうだと、気分が上がる。
「何これ?食べて良い?」
夕方には紗雪が帰ってきて、冷蔵庫のチョコレートを見てさっそく手を伸ばす。
「普通のチョコレートとちょっと違うよね。それに、もっと甘い方が好きだなあ。」
紗雪のコメントには少々さみしさを感じたが、やるぞ!ケトンダイエット!秘密の工程は始まったばかり!




