相川怜那という人。by紗雪。
母、相川怜那という女性は、マカナイーノを作ることにかけては天才であると、私は思います。あのように、思いつきで美味しいものを産み出す能力は、凡人の技ではないと、声を大にして言っておきます。母親似と言われる私に、この能力も遺伝していることを願うばかりです。
しかし、それほどこまめなわけではありません。というのは、マカナイーノは作っても、メインがお肉屋さんのコロッケなんてことは珍しくないのです。味噌汁と、煮物orサラダor炒め物などの野菜類は必ず作るが、メインをお惣菜にして「ごめんなさい。サボります。」と宣言するのです。
彼女曰く「パパが不在がちなんだから、私が故障したら家の中の機能がストップしちゃうでしょ?」ということで、まわりから見ると元気そのものなのにコロッケや、その他のお惣菜が食卓に並ぶ。しかし、ササッと作る味噌汁は、お惣菜に対するクレームを見事に流し去ってしまいます。
彼女はたいていの場合、“サボります宣言”は一日で終了して、翌日には復活しています。長引くことは滅多にありません。もし長引いたら、その時は観念して病院に行くようです。
どこか、ゆるゆると生きているようで、自身の体調を調整している。必死な感じがしないので、お気楽にしか見えないのです。
そんな彼女は昨日のうちに、今夜の“サボり”に備えてお惣菜を買い、黒豆を煮ています。我が家では黒豆を食べるのは、母だけです。彼女は、家族のためのこともするが、自分の為のことも欠かさないのです。
「自分の為にも好きなことするのが、元気の源なの。」
これが口癖で、そうでないと、“まわりに優しくなんてなれない”んだとか。
そして、自慢しておくと、祖母譲りの、母の梅干しは絶品です。味はもちろんのこと。無添加なのに見事な赤い色を楽しませてくれます。私も、引き継ぎたいと思っています。




