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我が家流。

相川家は、子供達がおせち料理をあまり好まないので、積極的に作る気もなかったが、年のせいか、キレイな重箱が手に入ったせいか、情緒が恋しくなった。

「きちんと作っても、食べてもらえなさそうだしなぁ…。」

恭兵だけは喜ぶだろうが、子供達が食べないのは寂しい。そして何より、おせちに対するスキルがないので、何を作れば良いのかわからないのだ。煮しめ、出し巻き卵、伊達巻、蒲鉾、栗きんとん、黒豆、エビ、数の子、なます、田作り…。その程度は思い浮かぶが、その中で、子供達が食べそうなものはといえば、かなり少ない。主婦向け雑誌を見てみると、和食にとらわれない、色とりどりのオードブルが重箱に入った写真が賑わう。

「やってみようかな。」

怜那は買い出しに行くことにした。雑誌の自由な雰囲気に気持ちが軽くなったのだ。


「見た目は重要よね。」

大手スーパーの食料品フロアで買い出しをする。百円ショップも考えたが、急に思い立っただけに時間がないので、一度で済ませられるようにここに来たのだ。お正月バージョンのピックやおかずカップを選ぶ。ついでにバランも。カゴに入れると、次は食料品だ。黒豆と、栗の甘露煮、蒲鉾をカゴに入れる。そして数の子。これだけは外せない。キュウリ、ゴボウ、コンニャク、サラミ、玉子、牛肉、色とりどりのミニトマトなどをカゴに入れる。

ずっしりと重いエコバッグを手に帰途についた。


「ヨシ!始めるか!」

エプロンを着けて戦闘開始である。…と、髪を結んでエプロンを着けた紗雪がキッチンに立っていた。

「一緒にやりたい。」

満面の笑みに怜那も笑顔で頷く。頼れる助っ人が登場したので、いよいよ作業開始。

まず、数の子の塩抜きだ。そして調理、熟成と時間がかかるローストビーフに着手。糸で縛ってからフライパンで焦げ目をつけたかたまり肉をオーブンに入れる。オーブン内での熟成時間と冷蔵庫での熟成時間をスマホのタイマーでセットする。これで他の作業に没頭できる。続いて煮しめと、牛肉の信田巻きに着手。特に信田巻きは、人気メニューだ。いつもより丁寧に牛肉を巻いていく。煮しめの加減を見ながら出し巻き玉子のダシ汁の味を調える。出し巻き玉子もいつもより丁寧に、キツネ色の焦げ目すらつかないように焼く。エビはグリルで殻のまま塩焼きする。

次は冷たいものだ。キュウリとサラミをコロコロに切って、ピックに刺す。蒲鉾は均等な厚さにスライス。さらに半分の大きさに切ったら、ずらして市松模様にする。


いよいよ仕上げともいうべき、詰める作業。全品が入るように詰めていく。入り切らない分は、別の容器に入れて、補充用にしておくのだ。ここで、栗の甘露煮と黒豆も小さなカップに入れて合流する。おおかた詰めてから、カラフルトマトを隙間にそっと配置する。


「でーきた!」

怜那の声を聞いて集まる男子チーム。

「あ。これなら食べられる。」

「お。一杯やっていいか?」


「いいよ。どうぞ。」

取り皿と箸を渡すと、早い夕食が始まった。

「こういうのなら、おせち料理が楽しみになる。」

翔が特に喜んでいる。そんな様子を洗い物をしながら、紗雪と二人で眺める。

「頑張って良かったね。」 「ね〜。」

大晦日の夜は、おせち料理でワイワイするのも良いと、我が家流おせちに、達成感を感じた怜那だった。


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