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第六話

派手な戦闘のせいでヒロインが追い込まれています。仕方ないか。

 はいどうも、華川里佳です。放課後の教室からお届けします☆

 何故この人のいない教室で掃除をしてるかと言いますと、もちろん昨日の騒音が原因。あの後、私がベッドのバリケードを退ける間にエグモント様と魔物たちはきれいさっぱり退散してしまい、後には荒れた部屋と私だけが残されましたとさ。こってり絞られた後のいわゆる罰掃除ってやつですね。

 ブラックライトの件はあまり公にしたく無かったので、襲撃の件は黙っておくことに。言ったところで結局自衛しか方法は無いわけですし。


 友達でもいれば手伝ってくれるのかもしれないですけど、私の目標は魔王。人類の敵です。下手に仲良くなると情が湧くから。


 というのは建前で、この学校がお嬢様学校過ぎて平民の私には社交費がキツイのが実情(泣)。放課後には一流パティシエのスイーツパーラーでお茶。領収書に目が点です。お迎えに来てるリムジンにちゃっかり載せていただいて同行したんですが、あんなもの学校に乗り付ける人ってホントにいるのな。


 もちろん掃除は適当に終わらせて、私の心のオアシス、サキュバスと人間のハーフのカイトさん(昨日のフラグが無事回避できたためまだ生きてるはず)に会いに礼拝堂へGO! するつもりです。そろそろいいか。

 適当に書いた反省文を引っ提げ、ヒロイン補正で純情そうに見える顔に適当に真面目な表情浮かべて謝ります。

「今度からは気をつけるように」

 担任がこう言ったあと、気を緩めてはならぬ! 家に帰るまでが遠足なら、部屋を出るまでが罰掃除。職員室のドアをぴったり閉めたのを確認して、やっと一息。

「前線後退型? 爆心地? いずれにせよ将来は悲惨だね」

 こんな不謹慎な事を口にしながら踵を返して廊下を急ぐと緊急事態。


 向こうから攻略キャラが歩いてくる!

 栗色のつやつやした髪にすっとした青色の瞳、澄んだ声。確か正統派王子枠の……名前は何とかミシェル。だったような。不味いですね、本編には無い戦闘をしてしまったせいで色々とタイミングがズレてきているっぽい。攻略キャラが取り巻きの女の子に囲まれているのは運が良かった。さっさと紛れて逃げてしまおう。三十六計逃げるにしかず。

 ん? 何かこっち見てる? 近寄って来てるような。間近で見ると顔きれいだな。って、え?

「君。華川さんだよね?」

 初日のうちに出会いはしたんですが、そんなに印象的なイベントも無かったはず。名前覚えられてたのはヒロイン補正?

「ええ。お見知りおきいただいて光栄ですわ」

 美貌を鼻にかけた態度とうさんくさい優しさが苦手でskipしてたキャラの一人。財力は一番あるし攻略進めとくか、なんて呑気な事を考えていると手を掴まれた。

「あの、わたくしはこの後少し予定がありまして」

 そういったとき、ドン、と背中に堅い壁の感触。見上げれば端正な顔が間近にあった。耳元でささやかれる。

「なあ、お前。昨晩は随分父の使い魔を可愛がってくれたんだってな。お礼を言っておこうと思ってたところだ」

 そういい終えた何とかミシェル氏の顔は完全に悪役のそれだった。


 えっ? いやいやいや、乙女ゲーの壁ドンってこんなのでしたっけ。ひいっ! 口調変わってるしキャラブレ半端ない。軽くホラーだよこの状況。我が兵器のBL(ブラックライトの事、もちろん)は教室の鞄の中だし、スタンガンは昨日の感じだと効かない。

 そんなことを考えていると、ミシェル氏の顔はすっと離れていった。またうさんくさい笑みを浮かべている。

「急によろめくなんて危ないな。僕が送っていこうか?」

「結構ですわ。では!」

 掴まれた手だけに霊力を集中させて弾き飛ばし、手が離れた所で猛ダッシュ。教室の荷物をロッカーから引っ張り出し、走って走って礼拝堂へ駆け込んだ。新体操設定が生きてて良かった。これだけ走って息が上がらないのは優秀だ。

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