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蒼穹に影  作者: 夜博
3/3

黎明期 ⅰ

腐敗


愚かなこの手は

その果実を手放すことを知らなかった

今となっては

この手ごと

取り返しのつかないことになっている



白い仮面


真っ白な仮面を被って

貴女はそこにいる

没個性の白い仮面

他者のピエロであるための

姿なき仮面を被って


「私はロボットのように」

「自分の事はどうでもいい」


本心ですか

仮面の言葉ですか

惑うたび 私は馬鹿になってしまう


「じゃあその仮面 ぶち壊していいですか」

「真っ赤なペンキで塗りつぶしていいですか」


知らない私が出てくるたび

私は私でなくなってしまう


仮面と仮面で向き合う

私と貴女



If


もしも

この世界ができる時

何かの間違いを起こしていたら

[true]と[false]の二元論で出来た宇宙で

予期せぬ方向へ進んでいたら

今 この瞬間は

時を同じくして

天文学的な数値を持った距離へと

シフトしていたのかもしれない


「ある」と「ない」の定義が

「yes」と「no」の境界が

「自分」と「他者」の違いが

大幅に揺らいでいたのかもしれない


未だ 完結しないこの世界

一瞬一瞬、何かしらの選択をしながら

未来は着々と 構成されていく


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