元気の源
部屋を覗くと未だに幸せそうに
周作は寝ていた
「…んん…ごはん…」
「ぷっ!何だよ…その古典的な寝言は」
くくく…!と笑いを堪えて障子を閉める
「それじゃ…愛する人の期待に
答えられるよう、頑張りますか!」
意気揚々と台所に向かっていく
いつもはこの台所では周作が小さな身体で
くるくると回りながら食事を作っている
その姿を初めて見たとき
若奥様?ていうか…中学生くらいの子が
エプロンを着けて一生懸命になる姿は
尽くす妹を連想させた
また童顔だから余計にね…
一度…本人を前にそんなこと言ったら
丸一日、ご飯を作ってくれず
部屋の隅で一日、のの字を書いてたな
「ふふ…可愛いかったな、アレ」
ふと、秋蘭の笑顔が一瞬、過ぎる
あ…同じ趣味してるかも
今なら分かるぞ…姉萌えな秋蘭の気持ち
と考えながらも下拵えは進んでいく
流琉や秋蘭に教わっておいて良かったな
手際は二人のように玄人級とはいかない
までも危なっかしさは無く
落ち着いたものだ
食材は周作の口でも食べれるよう
小さく切っておく
ご飯は丁寧にといで炊きに入る
味噌汁は起き抜けの身体に
良いように塩加減は薄め
魚もまた塩加減は薄めにして火で炙る
卵が残ったな…どうしようか…
そういえば、千葉家の食卓には卵焼きが
並んだことがない
「……卵焼き、してみるか」
とりあえず、だし巻き卵にしてみた
卵が焼き上がった頃、ご飯が炊き上がる
膳にできたての料理を置いていく
ふっくらご飯、芳ばしい香りの焼き魚
色華やかに飾る卵焼き、箸休めのお浸し
優しく味を手助けするお味噌汁
最後に御新香を付ければ
「和食定食☆完成でござ~いっと!」
腕を組み…完成品を眺める
俺、店開けるかも…なんて自画自賛して
いると後ろから
"きゅるる~"
と可愛い音が聞こえる
どうやら我らがお寝坊さんが起きたようだ
「おはよう、周作」
「えへへ///…おはよう、一刀♪」
彼女の照れた笑顔を見る
うん、今日も頑張れそうだ