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今日の華琳さん家  作者: 黒崎黒子
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三国合同合宿の舞台裏

全てが終わり、ぞろぞろと魏の面子が長い廊下を歩いている


目指すは寝室、皆意気消沈で布団に入ればすぐに眠りに落ちてしまうだろう


「す、スゴかったわね…。一刀…」


「え、えぇ…。正直、甘く見ていました…。姉者は大丈夫か?」


「うぅ…。正直、まだ違和感がある…」


「ひぅ!?…あ、歩きにくいよー。流琉、おんぶしてー」


「む、無理だよ。私だって、ふらふらなんだから」


「むむむ…。ええ男になったんは、ええけど…あのデカさ反則やろ~」


「しかも、体力も凄かったですね…。昔は、全員を相手にするなんて出来るわけなかったのに。最後は、失神した皆を運んで、着替えまでさせてくれましたから」

「"魏の種馬"なんてハッタリがまさか、ほんまになるとは、隊長…どんな修行したんや?」


「うぅ…。きっと、閻魔とか魔王とかホったに違いないの。でなきゃ、あんな、暴れん棒が生まれたりしないのー!」


「ふぅむ~…失神したのは久しぶりですね~。きっと、最後はワケの分からないこと、叫んでいたに違いないのです。うぅ…恥ずかしいのですよ~」


「風だけではありません。ここにいる全員が、何度も失神させられてますよ。皆、一刀殿の腕の中で、完全に辱められましたよ。桂花殿は大丈夫ですか?」


「えぇ…な、何とか…生きているわ。もう、二度とごめんだわ…」


「でもでもー、ちゃーんと、優しくしてくれたよね?一刀♪」


「うん。ゆっくり、じっくりと準備してからシテくれたから、むしろ、これで済んだのかもね。ちぃはもう一回くらい、シテも良かったけどなー」


「ダメよ、ちぃ姉さん。それだと、私が保たなかったもの。一刀さんは優しいから、一人にシタら、みんなにするから」


「そ、そうなってたら…みんな、立ってられなかったわね、きっと…」


「「「あ、あはは…」」」


華琳の言葉に、みんなが苦笑する


「で?ウチらを、クテクテにしてくれた愛する男は、今頃、風呂でゆったりしとるん?」


「あぁ…。そういえばそんなことを言っていたな。北郷め、我らを好き勝手に辱めておいて、後はさっさと部屋に追い返すとは…許せんヤツだ!!!」


「ふふ…違うわよ、春蘭。あれは一刀なりの嘘。あそこは、明日も皆が使う場所ですもの。今頃は、私の使った風呂と大浴場を掃除しているわよ」


「「「……」」」


皆は、元来た廊下を振り返り、掃除している一刀を想像する


「そ、それなら、お手伝いを!」


「流琉、あなたの気持ちも分かるけど、その身体では無理よ。だから、一刀の気付いを無駄しないためにも、私たちは部屋に戻ってゆっくりと休むべきなの。…そうね。明日、美味しい料理を作って、労ってあげなさいな」


「…はい!」


「さぁ、部屋に戻るわよ。魏の部屋は、他国の部屋とも近いから、気付かれないように静かに…ね?」


「「「御意」」」


皆は頷くと、忍び足で部屋へと戻って行った




「ふぅー…。終わった…」


三国の皆が眠りについた頃、俺は風呂場で一息吐いていた


「精が出ますね、一刀くん」


「皆、就寝したようだな」


「お?みんな、帰って来たか」


掛けられた声に振り返ると、入り口にいつもの面々が立っていた


「ご主人様。天和ちゃんたちを連れて来ちゃったけど、良かったのよね?」


「狙われる可能性を考えたら、連れて来て正解だと思うよ。天和たちの鼓舞で、兵の志気は大きく変わるし」


「全国のアイドルですものね~。もしも、暗殺でもされれば、簡単に暴動が起きそうだわ~」


「まぁ、何事もなく連れて来れましたから、ひとまずは安心ですね」


「うん、そうだね。あー、そうだ、貂蝉。三国の将と一緒に、張三姉妹の体力づくりもやってくれないかな?」


「天和ちゃんたちの?」


「うん。天にも届くアイドルになりたいそうだ」


「天…ねぇ~。面白いじゃないの!分かったわ。私に任せなさい♪彼女たちを、外史も越える歌姫にしてあげるわよん!」


「あぁ、頼んだよ」


「一刀様~♪明日からの修行プランが出来ました。確認、お願いしますね♪」


空から束の書簡を受け取り目を通していく


「確か、修行は各個人別だったよね?」


「はい♪大会で分かったそれぞれの力量から、修行プランを練り上げました♪皆さんにも、プランはお渡ししておきますね」


「…おい。俺に、コイツの担当をさせろ」


左慈が書簡の一つを手に取り、俺を見つめてくる


「どぅふふ…なら、私はこの子にするわ!」


貂蝉も書簡の一つを手にして微笑んだ



「ダーメ。依怙贔屓になるから。みんなで、みんなを強くするの」


「ちっ」


「残念ね~」


「ただ、そうですねー…。その子達が強くなれば…触発される子が出てくるかもしれません。仲間や好敵手が、頭一つ強くなれば、自然と皆も引っ張られるかと」


空が頬に手を当て、思案を巡らせると、やんわりと二人の案を肯定した



「そうくるか……仕方ない、いいよ。ただし、あからさまな贔屓指導はダメ。皆もちゃんと指導すること、いい?」


「ヨッシャー!貂蝉、聞いたか!?互いの弟子を闘わせ、悪正義の雌雄を決していいそうだ!どっちが師に相応しいか、勝負だ!貂蝉!」


渋々と頷く俺を余所に、左慈はハシャギ始める


そんなこと、言ってないよな?

俺、一言もそんなこと言ってないよな?


「ぬふふ!分かったわ~!正義の指導力を見せてあげるわよん!」


「いいや!悪の指導が上だ!」


「あはは…聞いちゃいないし…」


拳を交え、じゃれ合う二人に苦笑すると、横に目を移す


「……」


「さっきから、気になってたんだけど…桜、どうしたの?」


名前を呼ばれた少女は、よりキツく腰に抱きついてきた


頭を撫でながら、顔を覗き込むが、桜は目を合わせまいと俯いてしまう


助けを求めて蓮を見ると、肩を竦めて苦笑された


「んー…たぶん、先刻のあれでしょ?弟子に…美味しく頂かれちゃった件♪」


「未然に防いだもん!」


「なーんだ。守りきったのね、つまんないのー」


「…蓮、ちょっと、こっちに来なさい。そのふざけたことをいう頭を切り離してあげるから」


「やーよ。そんなにハネたいなら、一刀から離れて、アンタがこっちに来なさいよ」


「……うぅ…一刀…あの淫乱変態バカがイジメるよー!」


「いん!?こっんのー!言わせておけば、最年長のチンチクリンが!」


「ぷっちーん…。言ったね?今、人が気にしてること、二つも言ったね!?」


「えぇ!言ったわよ!言ってやったわよ?だからなによ、ベロベロベー!」


「っ~~~!ハネる!今すぐ、その首ハネてやる!そこに直れ!」


「ま、まぁまぁ、お二人とも喧嘩はそれくらいで…。ほ、ほら!一刀様も、お困りですし!」


「「アンタは黙ってなさい!毒料理メイド!」」


「ガーン…」


「こらこら、確かに空の料理は世界を滅ぼすことができる物体だけど、そんな言い方しちゃいけないぞ?誰にだって得意不得意があるんだから」


「一刀様♪フォローがトドメになってますよ♪」


引きつった笑いを浮かべながら、空が俺の肩に手を置く


「気のせいだよ」


「そうですか?」


「そうだよ。それより、空の予定を元に、明日からの確認をしよう」


俺は書簡を広げると手を挙げ、皆を呼び集める


首を捻る空と、それを見て含み笑う于吉が隣に座った


「よし!勝負は次回に持ち越しだ、貂蝉!必ずアイツを最高の悪にしてやるからな!」


「ぬふふ~!いいわよ~!私も負けないからん!弟子を最高の正義の味方にしてあげるわ!」


「はいはい、頑張れ頑張れー」


俺は苦笑しながら、二人を座らせると、まだ騒いでいる二人を見る


あの二人は火が着くと手に負えないな


弟子が弟子なら師も師だ


どうも、曹家と孫家は因縁深いらしい


「うぅ~~!黄河に沈めんよ!?」


「やれるもんなら、なってみなさい!返り討ちにして長江に投げ入れてやるから!」

「……はぁ」


俺は睨み合う二人に近付くと、怒りに燃える肩に優しく手を置き微笑みかける


「ははは…そんな遠くに行かなくても、目の前に水ならあるじゃないか。なんなら、俺が直々に、今すぐ風呂に叩き入れてやろうか?二度と浮イテ、コレナク、ナルダロウケド…ネ?…アハ、アハハハハハ…!!!」


「「ひいっ!?……ガタガタガタブルブルブル…!!!」」


震える二人の首根っこを掴むと、ズルズルと引きずり、無言で皆の横に座らせる


「さてと、明日の予定を練るよ。三国の未来を占う大切な一日だ。出だしがモタつけば、皆も不安になり、成長が阻害されかねない。だから、喧嘩やら、言い合いやら、仲間割れやらしてる暇はないんだよ…な?」


「「はい…」」


俺の言葉に、桜と蓮がしょんぼりと頷いた


「えーっと…それじゃあ、まずはどうする?」


「基本は一刀様と同じ方向性で行きます」


「じゃあ、まずは貂蝉の体力づくり。それと並行して、武を磨くんだね?」


「はい。担当は振り分けた通りです」


「やっぱり、武器ごとに分けた方が良かったんじゃない?」


「それも考えたんですが、武器ごとに分けると明らかに、人数にバラつきが出ますからね。槍が八人、太刀が七人、大剣が一人、曲刀が一人、双剣・チャクラムが二人、弓が四人、大槌・金棒が三人。ナックルが一人。これを分けると…」


「空が、槍と大槌・金棒で、十一人。蓮が、大剣と弓…まあ、曲刀もいれて、六人。桜が、太刀と双剣・チャクラムで、九人か…ふむ。体術の指導は俺がやるとしても、バラつきが否めないな」


左慈は顎に手を当てながら、首を捻る


やっぱり、武器での振り分けには難があるようだ


「そうですね…まぁ、今日の試合を分析した限りでは、皆、達人と呼べる猛者ばかりですから、あとはより強い者と闘えば、自然と武は磨かれていくと思いますよ?」


「だな。じゃ、当初の予定通り、三国での指導にしよう。たまに、ローテーションしてみるのもありだろう」


「「「ろおてい?」」」


「担当を交換することだよ」


「交換かー。うん、それ面白そう!私、孫策ちゃんとも闘ってみたいし!」


「そう?私は断然、関羽かしら?」


「では、私は張遼さんでしょうか」


「俺は…うん、恋と他の武器で再戦したいな」


「私は、馬岱と孫尚香、孟獲を仙術でイジメ倒したいですねー」


「俺は、楽進と拳を交えるぞ!」


「私はそうねー、曹操ちゃんの挑戦状を受けなくちゃいけないわねん!」


「そういや、そんなこともあったな。華琳…それよりまず、貂蝉と対峙できるのかな?」


「あはは…。どうだろ?」


「あらん?それってどういう意味かしらん?二人とも」


「「服を着ろって話だよ」」


俺と桜は声を揃え、満面の笑顔で答える


「し、しどい…着てる!着てるわよん!ほぅら、見てごらんなさい!この、デザイン性溢れたビキニを!気品と美しさを兼ね備えた逸品なのよん!」

「…下品と疎ましさの間違いだろ?」


「ぬああぁんですってえぇー!!?左慈ちゃあぁん!?」


「な、なんだ?や、やるのか?だが残念ながら、今回は俺にも賛同者が…」


「あーぁ、左慈。女の子にそんなこと言っちゃいけないんだー」


「ダメだよー?貂蝉ちゃんも、繊細なんだからー」


「な!?北郷!?桜!?う、裏切ったな…貴様らああぁぁ!!!」


「乙女心の分からない、朴念仁へ、"正義と愛"の鉄槌を下すのだ!」


「ヤッちゃえ♪貂蝉ちゃん!」


「ヌ゛ルアアアアアァァー!!!」


「ふ、ふざけんなああぁぁー!!!」


こうして、その日の会議は終了した


さぁ、明日からいよいよ

三国合同合宿の始まりだ!

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