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今日の華琳さん家  作者: 黒崎黒子
65/121

魏、呉、蜀

「やぁ、北郷!よく来てくれた!」


政務室の扉を開けると上機嫌で

夏侯淵こと秋蘭が出迎えてくれた


「ごめんな、秋蘭。心配させた」


秋蘭に促され席に座ると、そう呟いた


「ふふ…いいさ。こうして顔を見て話せる

 それでいいじゃないか

 私はそれだけで嬉しいと思うよ

 お帰り、北郷」


秋蘭は椅子の後ろから

ゆっくりと抱きしめてきた


「うん、俺も嬉しいよ。ただいま、秋蘭」


「ふふ…」


二人は小さく笑い合い

再開の喜びを噛み締める


"バーン!"


「「っ!?」」


と、突然、ドアが開かれた

俺は立ち上がると秋蘭を後ろ手に身構える


「北郷はいるかー!?」


「なんだ、春蘭か」


扉を開いて突入してきたのは

秋蘭の姉、春蘭だった


「姉者…姉より先に逝ってほしく

 なければ、あまり脅かさないでくれ」


「何を言っている!姉の私が可愛い妹の

 長生きを願わないわけがないだろう!」


「なら、とりあえず、無茶苦茶な突撃は

 止めてくれ。妹の寿命が縮む半数は

 それが占めているんだ」


「う、うむ…考えとく…って!

 それどころではないのだ!北郷!」


キッ!とこちらを睨んで春蘭が叫んだ


「え?な、なに?」


「いいから、来い!」


俺の手を掴むと引っ張っていく


「ま、まて、姉者!何かあったのか?」


秋蘭も慌てて、その後を追いかけて来た


「ついて来れば分かる…」


妙に真剣な顔の春蘭に

俺たちは静かについていった


「……で?これは何かなー?」


俺の前には三国の武将たちがいた

まぁ、何人かいないようだけど


関羽、張飛、趙雲、馬超

雪蓮、孫権、甘寧、黄蓋

春蘭、季衣、霞


「はぁ…誰か、説明してくれないか?」


秋蘭が周りを見渡すと皆、目をそらした


「ふぅ。仕方ない。蓮」


「えー?私?」


「「「っ!?」」」


"スッ"と雪蓮の後ろから蓮が現れた


「い、いつのまに!?」


雪蓮が本当に驚いたのか

孫権の後ろに隠れた


「なによー!人をお化けみたいに!」


「わはは…!変わりあるまい、文台様!」


「ぶーぶー。私だって好きで消えたん

 じゃないもーん。まぁ、いいけど

 あのね。この子たち、一刀のこと

 気になってるみたいよ?

 モテるわねー、一刀~♪」


このこの~っと、蓮が脇腹を小突いて笑う


「「「な!ち、違っ!」」」


「うん!人選ミス。霞、頼む」


「ちょ!なによ!間違いないでしょー?」

「確かにその通りやなー」


霞が深く頷いた


「確かに、間違いないで。ここにいるヤツ

 みんな、一刀の強さに惹かれとる

 せやから、みんなで魏の人間捕まえて

 あれこれ聞いて来てん」


「で、それでも、満足できない数人が

 一刀の悪口を言ったってわけ」


雪蓮が観念したように、首を竦めて呟いた


「そうすれば、怒った誰かが

 俺を引っ張ってでも連れて来てくれる

 だろうと考えたわけだ」


「ほぅ!北郷殿は頭もよく

 回られるようですな

 しかし、まさかそれが

 夏侯惇殿とは思いもよらなんだ」


心底、驚いたように趙雲が苦笑した

なるほど、主犯はこの人ね


「正直、俺も意外だな」


「ふふ…皆、お前を待っている間に

 膨らんだ想いもあるというわけさ」


私も含めてな、と秋蘭が微笑んだ


「そうか。春蘭、本当にありがとう」


「ふ、ふん!別にお前のためではない

 何か、こう、お前の悪口を聞いていると

 無性に腹がたっただけだ。ただ、何故か

 私がここでコイツ等を倒すのは

 何か違う気がして。だから、呼びに

 行ったまでだ」


「…そうだな、姉者。それで正解だよ」


真っ赤になった春蘭の頭を秋蘭が撫でた


「秋蘭…」


「あぁ、春蘭は凄いな」


俺も春蘭の頭をぽんぽんと撫でると

一歩前に出た


「北郷…」


「でも、どうしようか」


俺は首を捻り、皆を見る


「そうよねー、稽古なんて言ったら

 後々シコリが残りそうだし

 いっそのこと…」


蓮が頬に指を当て考える


「っ!?…ガクガクブルブル」


と突然、雪蓮が震え出した


「あら~?どうしたの~?雪蓮ちゃん?」


にっこりと微笑み、蓮が娘を見つめた

蓮、目が笑ってない、笑ってないから!


「れ、蓮?」


「正直、さっきの悪口。私も聞いてたのよ

 何度、後ろから刺し殺してやろうかと

 思ったか分からないくらい

 我を失いかけてたわ」


にっこりと微笑み、ゆっくりと皆を見回す


「「「ひぃ…!?」」」


「か、母さん!ま、まさか、一刀に!」


雪蓮がガクガク震えながら呟く


「そうなのー♪私、一刀に

 二度目の恋、しちゃったのよねー」


頬に手を当て真っ赤になりながら

孫堅さんが何か騒いでますよ!皆さん!そこで、彼女が言ってはいけないこと

言っちゃうんだもんなー


「お、お母様?北郷とは

 だいぶ、年の差もあるようですが」


"ピシッ"


あっ、蓮の動きが止まった


「……蓮華。まずは、私が相手に

 なってあげようかしら?」


「ううん、蓮ちゃん。私が稽古つけるよ」

「いいえ、私にヤラせてください」


いつの間にやら、孫権の周りを

懐かしの江戸三大娘が取り囲んでいた

そういえば、この三人で年長って桜だっけ

不思議だよなー…世の中


「北郷…お前、華琳様の師にまで

 手を出したのか…」


秋蘭が頭に手を当て苦笑する


「まぁ、兄ちゃんですから」


「まぁ、一刀やし」


「…?北郷なら、当然だろ?」


「お前らなー…」


否定できないので、苦笑しながら

孫権を見ると


「(ちーん…)」


ほ、干されてらっしゃるー!?

しかも、亀甲縛りって、マニアックな!

あられのない姿で、孫権さんが

木に吊されているところでした


「う~ん、完璧ね♪」


「芸術の域まで高めてみました!」


「ふふ…年長の私を怒らせるからだよ…」

三人は満足そうに頷くと

真桜、お手製のカメラで写真を取り始めた


「じ、自分の娘に容赦なさすぎだろ」


「ふふ…あんなもの序の口よ…」


遠い目をして雪蓮が孫権の

公開処刑を見ていた


「橋玄様は、何をしてらっしゃるの?」


「孫権の公開処刑中」


「何故?」


「恋愛するにしては年が離れすぎ

 って言ったからだろ?」


「へぇ…一刀は橋玄様のこと好きなの?」

「あぁ、好きだよ」


「孫堅様は?」


「勿論、好き」


「廬植様は?」


「聞くまでもなく、好き」


「じゃあ、私は?」


「華琳は……華琳!?」


"ジャーン!ジャーン!ジャーン!"


毎度、お馴染みの登場で華琳が現れた


「わ、私はどうなのよ…」


「か、華琳は…だ、大好きだよ」


「…あ、ありがとう///」


もじもじとして、華琳は俯いてしまった


「そ、それより。これは何の集まりなの?

 まさか、蓮華の公開処刑を見るために

 集まったわけじゃないんでしょ?」



「それがなー、華琳。聞いてな~

 カクカクシカジカで…」


「カクカクウマウマなわけね…

 なるほど。確かに一刀の実力も

 気になるところよね。分かったわ

 第二回、武道大会を開きましょう」


「おっしゃー!みんな聞いたかー!

 武道大会やんでー!」


こうして、武道大会が開催されることと

相成りましたとさ

はぁー。とりあえず孫権を助けよう…

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