帰る手立て
「ご主人様…それじゃ…私、行くけど
寂しいからって、千葉ちゃんに手を
だしちゃダメよん?
千葉ちゃんも気をつけてね
ご主人様は優しそうに見えるけど
一国の女性たちをオトした
手練れなんだから…♪
その数、14人よ!」
「え!?一刀ってそんなに凄いの?
わわ!私、身体保つかな…?」
「おい、貂蝉、いらないことは言わずに
黙って逝け。そして、周作さん?
何でヤルこと前提で話が進んでるんだ」
「私、魅力ないかな?」
周作は口を尖らせて拗ねる
「い、いや、魅力あるよ!とっても!」
「じゃあ、やっぱり危ないね♪」
いや、だから何で嬉しそうなの?
「ご主人様…ほどほどに…ね」
もじもじと頬を染めて、一刀をたしなめる
貂蝉。お前、マジで黙れ
「それじゃ行くわね♪」
「お土産よろしくね~貂蝉ちゃん!」
「とりあえず、俺、肉まん!
あと、華琳の書いた本を頼む!
お金は俺の部屋の引き出しにあるから」
「分かったわ~♪」
貂蝉はルンルン♪と山道を歩いて行った
貂蝉の背中を見ながら
昨日のことを思い出す
こっちに来て一年
『一度、あっちの世界に帰るわ~☆』
貂蝉が突然にそんなことを言い出した
『は?いや、あっちの世界って…
そんな簡単に帰れるのか!?』
『え?ええ。そうよ?ご主人様が
この山に落ちたとき
あの世界に通じる道ができたの。』
知らなかったの?と眉をひそめる
『そうだったのか…その道は
俺も使えるのか?』
『もちろんよ♪何なら、一緒に行く?』
貂蝉は新婚旅行みたい、キャー!と騒ぐ
(あ……一刀…)
横から小さな声が聞こえた気がした
『うーん、いや、まだいいや。』
一刀はあっさりと答える
『俺まだ、満足してないし。
もっと、剣の腕と出来れば知識も
身に付けて、彼女たちの元に帰りたい』
そのまま腕を組むとうん!と頷いた
"キュ"
そのとき、袖を掴む手が
『………』
周作であった
どうした?一刀が聞くと
顔を真っ赤にした周作は俯いて
ふるふるふる……
ただ、首を振った
『ふむ……』
よく、分からなかったが
ただ、周作の頭を撫で続けていた
『また一人……ご主人様も罪な人ね♪』
貂蝉は楽しそうに二人を見つめていた