表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日の華琳さん家  作者: 黒崎黒子
50/121

天上天下無双計画


「ご主人様!行くわよ~!それ☆」


山ほどの大きさの岩を投げてくる

たかーく10mは上がりあとは重力に

任せて俺の所に落ちてくるだけ


"ゴゴゴゴ……!!!"


「おぉ!高いですね~」

「…"正義のスターテス"は無茶苦茶だな」

「さすがにないわよ…あれ」

「一刀、絶対に避けると思うな」

「一刀様!逃げてください!」


みんなの言うことも分かる

轟音を伴い堕ちる姿は

最早、隕石と変わりない


だが…悪いな。俺はヤツを超えるんだ

今日こそ俺は…勝つ!!!


「よっしゃ!来いやー!!」


「「「一刀(様)!?」」」


手を堕ちてくる岩にかざし

受け止める態勢を取る


"ど―――――ん!!!"


凄まじい衝撃が辺りに響き

砂埃が辺りを覆う


「あ……ご主人様…死んじゃったかも…」


貂蝉はあわあわと震える

正直、みんなは避けると思っていた

だが、一刀は避けることなく

岩を受け止める姿勢を見せたのだ


一刀の基礎体力は飛躍的に

高まり、今では貂蝉と

変わらないほどになっている

しかし、1トンの岩となると話は別!

貂蝉でも受け止めるとなると

無傷では済まないだろう

ましてや、一刀では…


「そんな…一刀様!!」


空は隕石の落下地点に走って行く

そこには大きなクレーター

真ん中には岩が無傷で鎮座していた


「一刀様!?一刀様!?」


空は焦燥に駆られ、クレーターを

滑り降りる。服が汚れようが

顔に泥が付こうが、どうでもいい

今は一刀の安否を知りたい一心で走る


岩の前に着くが

何処にも一刀の姿は見当たらない


「っ!?これは……一刀…様…の…」


懸命に岩の周りを探すと

岩の下に白い布が見えた

否が応でもイヤな予感が

湧き上がってくる

空は地面に膝を着くと

空は岩の下を掘り起こし始める


「ぅう…一刀…様…かず…と様…うぅ…」


涙が溢れてくる

やがて、岩の下敷きとなっていた

布が正体を表した

それは…一刀のTシャツの切れ端


「か…ずと…さま…そんな…」


もはや、一刀の安否は絶望的だ

空は布を握りしめ、涙を流すしかできない


その時


"ガラ…ガラガラ…ど――――ん!!"


岩が大きく揺れ、吹っ飛んだのだ


クレーターの上から見ていた皆は目を疑う

岩は高く上がり

後方で固まっていた貂蝉へと堕ちた


「ぽぴー!?」


奇声を上げ、ヤツは天に召された


「ふー、思ったより楽だったかな」


クレーターの中央は一刀を中心に

さらに陥没していた

Tシャツは破けてしまい

服としての役割はもう果たしていなかった

一刀は邪魔、邪魔と服を脱ぎ捨てる

その姿に皆は再び我が目を

疑うこととなった


一刀の四肢は極限すらも超えて鍛え抜かれ

もはや、この地に降り立った頃の

面影は影も形もなかった

丸太のように太い四肢

鎧の如き筋肉は貂蝉より

薄く細く見えるのが少しばかり残念か

服を着てしまえば

普通の成人男性に少し筋肉が付いた

くらいにしか見えない


しかし、それは間違いだ!

極限超えに鍛え抜かれたからこそ

筋肉は引き締まり

密度と柔軟性を合わせ持った


故に見た目は変わらなくても

その力は貂蝉を裕に凌ぐほどまで

成長したのだった


「一刀様!一刀様ー!」


空が胸に飛び込んでくる


「お、空!どうしたんだ?危ないぞ?」


胸に空を抱いた一刀は

空の涙を指で拭う


「だって!だって!一刀様が

 ぺしゃんこで!布が!布が!

 ふ、ふえぇ――――ん!」


言っていることはよく分からないが

とりあえず、凄く心配

させてしまったようだ


「たかだか、ドッチボールで

 死にはしないよ。大げさだなー

 あははは!」


そう、今は休憩時間、俺たちは

ドッチボールをしていただけなのだ


ルールは簡単、ボールが当たり

落とすと負け


最初は砂を入れたボールで

やっていたのだが

一時すると普通のボールと

変わりが無くなってきたため

貂蝉が持って来た

ボーリング玉へ変更した

それも一時

どんどんと大きさと重さが

増加して今の形になっている


「しかし、反撃が遅いな…」


俺は空を抱えるとひとっ飛びで

左慈たちの所にたどり着く


「いやー完全に一刀くんも

 化け物の仲間入りですね一」


と于吉の出迎えの言葉がかかる

随分な言い草だな


「普通だ、普通。あの世界の子たちなら

 軽くこんなのやってのけるよ」


「ふっ………」


というと、何故か皆

無言で首を降った


何だよ…その目は


「おい、貂蝉!反撃はどうした!

 お前の漢女魂はそんなもんか!!」


"……"


空を皆に預けて、貂蝉の元へ歩みよる


「そんなのお前じゃない!

 これくらいで倒れるなんて

 漢女の名が泣くぞ!立て!貂蝉!」


"…グラ……"


岩がわずかに揺れる

どうやら彼女が目覚めたようだ


"グラ…グラグラ…ど―――ん!!"


「っ…ぅおおお!恋する乙女は!」


筋肉が唸りを上げ、貂蝉が立ち上がる

全身から湯気が上がり、目が輝く

なんと、恐ろしき姿か…


「国士無双―――――――!!!」


岩は先ほどの倍、20mほど垂直にうち上がる


「おはよう、貂蝉」


俺はにこやかに笑い、彼女に手を振る


「ふうぅ…いやん♪ご主人様の声が

 聞こえたわ!私を乙女と認めて

 受け入れてくれるのね!」


貂蝉は俺、目掛けて突っ込んでくる


「愛を!熱き愛を頂戴!ご主人様~!」


「…ふっ」


俺はニヒルに笑うと


"スカッ!"


貂蝉の包容を避け、視界から消えた


「あらん!どこ?

 どこにいるの!ご主人様!」


貂蝉は回りを見渡すが一刀の姿はない


「貂蝉!上です!」


その時!于吉の声が掛かる!


ふっ。だが、もう遅い!


「上!?くっ!眩しい!」


貂蝉は逆光で目が眩んでしまう


そう、俺は貂蝉をかわすと

高く飛び上がり

貂蝉に飛ばされた岩にしがみついたのだ


なに?無理だろうって?ははは!

だって俺、人間捨てたからな!


岩の上昇速度が落ちてきた時

俺は岩を踏み台にしてさらに高く飛ぶ!


あとは簡単だ!

貂蝉目掛けて、岩を!


「メテオ…アターック!!!」


バレーボールの要領で激しくアタック!


自由落下に更に加速をつけられ

岩はメテオへと昇華した!


「岩が…燃えている!あれはまるで!」


「元○玉ですか!?あれが!男のロマン!

 最強の戦士にのみ使うことを許された

 最強の証!元○玉ですか!?」


左慈と于吉が目を輝かせながら

ギャー!ギャー!騒ぐ

もっと近くで見たいのか

二人は足が自然と動き

貂蝉のすぐ隣に並ぶ


「眩しい!そして!熱い!

 あぁ!これが愛!愛なのね!

 わたし、受け止める!

 ご主人様の愛を!受け止めるわー!」


貂蝉はまだ目が眩んでいるのか

目を閉じ、頬を染めて

両手を広げて立っている

貂蝉自身"愛"の正体は

分かっていないようだ


「まぁ、うん、分かってはいたけど

 あいつら、バカだ」


俺が地面に着地すると同時に

メテオはバカ三人を直撃した



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ